産出量ギャップ

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米経済のGDPギャップ。潜在GDP (細線) と実際のGDP (太線) の差分がGDPギャップである。(議会予算事務局による推計値)
各国の産出量ギャップの対GDP比 (%) (IMFによる2009年の推計値)

産出量ギャップ(さんしゅつりょうギャップ、output gap)とは、経済学において、潜在産出量(潜在GDP) と実際の総産出量 (actual output) の差である。GDPギャップ(GDP gap) または需給ギャップとも呼ばれる。

概要[編集]

総産出量をY、潜在産出量をY*とすると、Y-Y*で算出される。この差が正数ならインフレ・ギャップ (inflationary gap) と呼ばれ、総需要の増加が総供給の増加を上回っていることを示し、経済インフレーション(好況)をもたらす。負数であればデフレ・ギャップ (recessionary gap) と呼ばれ、デフレーション(不況)をもたらす圧力となる[1]

GDPギャップのパーセンテージは、実際のGDP(GDPactual)と潜在GDP(GDPpotential)の差を潜在GDPで割って算出される。

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オークンの法則:産出量と失業の関係[編集]

産出量と失業の間には安定した負の相関関係が観察され、これをオークンの法則と呼ぶ。 この法則は次のように表現できる。

産出量ギャップ (%) = -β × 循環的失業率 (%)

産出量ギャップ (GDPギャップ) がβ% 減少する度に、循環的失業率 (実際の失業率 - 自然失業率)が1% 上昇する。

上記の関係は次のように表現することもできる :

(Y-Y*) / Y* = -β(u-ū)

記号の意味は下記の通り:

  • Y は実際の産出量
  • Y* は潜在産出量
  • u は実際の失業率
  • ū は自然失業率
  • βは上記の回帰分析から導出された定数

日本[編集]

内閣府の「今週の指標 No.1055」によると、2012年7-9月期の日本の需給ギャップはマイナス2.7%と推計され、日本経済は年換算の名目値で15兆円程度の需要不足(供給超過)の状態であるとしている。[2][3]ただし、需給ギャップの水準は、定義や前提となるデータ、推計方法によって異なるため、相当の幅をもってみる必要があるとしている。内閣府は、「経済の過去のトレンドから見て平均的に生産要素を投入した時に実現可能なGDP」を潜在GDPと呼んでおり、この定義に基づいて国民経済計算の潜在GDPを推計し需給ギャップを算出している。[4][5][6]

2011年には東日本大震災が発生し、需要を抑制し供給を制約するショックとなった。その影響により、製造業の潜在稼働率が低下し、潜在資本投入が下押しされたと考えられる。資本ストックの損壊、電力危機サプライチェーンの寸断などが供給制約となり、生産活動が阻害された。[7]潜在GDPが実質年率換算でI期に4兆円減少、II期に1兆円減少した後、III期に7兆円増加、IV期に1兆円増加したと試算されている。[3]震災前のトレンドで潜在GDPを延伸すると2012年I期の値とほぼ等しく、2011年の趨勢的な潜在成長率は前年とそれほど変わらなかった。[8]

出典・脚注[編集]

  1. ^ Richard G. Lipsey and Alec Chrystal. Economics. Oxford University Press. 11th edition. January 2007. p. 423.
  2. ^ . ロイター. (2012年12月14日) 
  3. ^ a b 今週の指標 No.1055 2012年7-9月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について(今週の指標No.1049図1のアップデート)”. 内閣府 (2012年12月14日). 2012年12月15日閲覧。
  4. ^ 日本経済2010-2011 付注1-1 GDPギャップの推計方法について”. 内閣府 (2010年12月10日). 2011年4月29日閲覧。
  5. ^ 平成19年度年次経済財政報告 付注1-2 GDPギャップの推計方法について”. 内閣府 (2007年8月). 2011年4月29日閲覧。
  6. ^ 今週の指標 No.1026 SNA基準改定後のGDPギャップ”. 内閣府 (2012年3月19日). 2012年3月21日閲覧。
  7. ^ 日本経済2011-2012 第1章 第1節 揺れ動く日本経済”. 内閣府. 2012年5月31日閲覧。
  8. ^ 今週の指標 No.1032 2012年1-3月期のGDPギャップは改善”. 内閣府 (2012年5月28日). 2012年12月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]