雨畑ダム

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雨畑ダム
雨畑ダム
所在地 山梨県南巨摩郡早川町
位置
雨畑ダムの位置(日本内)
雨畑ダム
北緯35度24分31秒 東経138度19分54秒 / 北緯35.40861度 東経138.33167度 / 35.40861; 138.33167
河川 富士川水系雨畑川
ダム湖 雨畑湖
ダム諸元
ダム型式 アーチ式コンクリートダム
堤高 80.5 m
堤頂長 147.6 m
堤体積 72,000
流域面積 99.7 km²
湛水面積 0.6 ha
総貯水容量 11,000,000 m³
有効貯水容量 11,000,000 m³
利用目的 発電
事業主体 日本軽金属
電気事業者 日本軽金属
発電所名
(認可出力)
角瀬発電所 (13,000kW)
施工業者 鹿島建設
着手年/竣工年 ?/1967年
出典 [1] [1] [2]
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雨畑ダム(あめはたダム)は山梨県南巨摩郡早川町にある富士川水系早川支流雨畑川に建設された発電専用のダムである。

概要[編集]

日本軽金属アルミニウム製造の電力確保のために、柿元ダムに続いて建設した民間企業所有ダムであるが、柿元ダムが重力式コンクリートダムなのに対し、地形上の理由でアーチ式コンクリートダムとなっている。

柿元ダム同様このダムより発電された電気は静岡県静岡市清水区にある蒲原製造所へ送られアルミニウムの精錬に使われている。

近年ダム底の堆砂が進んでおり、2016年の堆砂率は93%と総貯水量500万m3以上のダムではトップとなっている[2]。また、この堆砂や土砂の不法投棄などで雨畑川から早川、さらには富士川を経て駿河湾へ濁水が流れ、サクラエビの不漁の原因になっているとする指摘があるが因果関係は証明されていない。[3][4]

また、2011年9月の台風での山腹崩落による河川への土砂の流入、2020年7月の台風では上流の稲又第3砂防堰堤などが破損[5] するなど自然災害が発生する地域であり、山梨県の調査[4] によれば降雨時などに雨畑ダムに流入する雨畑川上流の濁りが確認されている。[6]

死の川[編集]

日本軽金属が運営する雨畑ダム。山梨県の自治体に多額の補償金を渡し、一方で山梨県からの天下りを受け入れることで、富士川の汚染を黙認させ、富士川を「死の川」にしたと2019年より静岡新聞の特集記事で報道されている。

雨畑ダムの下流にある富士川はかつてはアユ釣りが盛んで、2010年ぐらいまでは熊本県の球磨川とともに「尺アユ」(30cmを超える大型のアユ)が釣れる川として全国に知られた。なかでも「富士川鮎釣り大会」は、富士川町制90周年記念として1991年に第一回が開催されて以来、山梨県の観光資源の一つであった。しかし2010年代以降はアユの生息がほぼ確認されていない。

静岡新聞の報道では、少なくとも台風被害による土砂流入で上流河川の懸濁が続いた2011年以降、山梨県の元治水課長が社長(当時)を務める採石業者(日本軽金属が一部出資)が雨畑川(山梨県早川町)に凝集剤として水中の懸濁物質を分離するために利用されるアクリルアミドポリマーを含む汚泥を不法投棄したことにより、富士川水系の中下流域が汚染され、生物が生息できない「死の川」となっている[7]。駿河湾におけるサクラエビ漁業も、1999年には2451トンの水揚げがあったものが2020年には25.8トンと近年は著しく減少しているが、日本軽金属雨畑ダムの濁った水が早川、富士川を経て駿河湾に注ぎ込んでいるためだと2020年現在の静岡県知事の川勝平太は主張している[8]。雨畑ダムは日軽金の経営する発電専用のダムで、ダム湖の水は日本軽金属のアルミ製錬のために利用され、普段は富士川に放出されずに日軽金の敷設した専用のパイプラインを通って日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から放出されるが、2016年時点での堆砂率93%と全く治水機能を持たないため、雨が降るたびに近隣への浸水を防ぐために発電を停止し、洪水吐ゲートからヘドロを含んだ大量の土砂を富士川に吐き出していた。採石業者は「増水すれば流れる」[9] と承知のうえで汚泥を敷地に投棄、またコンクリ業者も採石業者の許可を得てコンクリくずを採石業者の敷地に投棄し、ほとんどが雨畑川に流出した。雨畑ダムの堆砂率の多さから、2019年8月の台風10号によってダム周囲の集落が浸水するなど大きな被害を受けたため、水害対策の為に角瀬発電所への水の引き込みは2019年8月より停止しており、現在は雨畑ダムの濁った水が富士川水系にそのまま流れている。

サクラエビの不漁問題を抱える静岡県側では非常に問題視されており、山梨県の採石業者の不法投棄問題も、由比港漁協(サクラエビが水揚金額の約9割を占める)の訴えを受けた静岡・山梨両県の合同調査によって2019年に判明した。この問題は静岡新聞では積極的に報道されており、駿河湾のサクラエビ問題に始まってヘドロ不法投棄問題から戦後の日本軽金属の水利権問題にまで切り込んだ静岡新聞の特集「サクラエビ異変」が2021年に「水産ジャーナリスト賞」を受賞している[10]。静岡新聞は「駿河湾の宝石」と呼ばれるサクラエビの不漁の元凶として雨畑ダムと日本軽金属を2019年より激しく非難しており、2020年元旦には日本軽金属が雨畑ダムを含む富士川水系の4つの発電所を「アルミ製錬のために利用する」という建前で実際は売電に転用していた「水利権の目的外使用」であったことを報道[11]。2020年2月には地元政治家(山梨1区)の中島克仁衆院議員を動かして政府の答弁書を引き出し、2020年11月には山梨県が国交省からの意見聴取を受ける事態となり、2021年2月より日本軽金属の水利権問題が国会で議論されるまでに至った[12]。静岡新聞は山梨県の自治体による「水返せ運動」を引き起こすべく、山梨県や地元自治体に対する情報公開請求やアンケートなどの数々のアクションを起こしている。

一方で、山梨県側としては特に問題視もされておらず、サクラエビの不漁問題の原因も「不法投棄の泥かは分からない」と考えており、したがって検出試験などの調査も行われていない。2019年に行われた山梨県・静岡県の合同による富士川の浮遊物質量の調査の結果では、山梨県側としては「調査前にまとまった降雨の見られたときを除き、目立った濁りは見られなかった」という認識であり、「富士川は、水の汚れが少ない、清らかな川」[13] と結論付けられた。一方で、静岡県側としては「環境基準の4倍を超えた観測地点があった調査日が、早川中下流で5日、雨畑川上流・雨畑ダム貯水池では8日あった」という認識であり、その濁りの原因を公式発表に記載しようとして山梨県側と対立、公式発表まで半年もめた末、山梨県大気水質保全課の公式発表とは別に静岡県水産業局が「雨畑川上流からの土砂流入が原因の可能性が高い」と静岡県庁で「独自の補足」を行う異例の事態となった[6]。山梨県の採石業者の不法投棄問題は、当初は山梨県によって刑事告発も検討されていたが、2019年6月に「撤去完了」し、また下流域の水質にも異常は見られなかった(山梨県環境整備課の認識)ため、告発はなされなかった。

これらの富士川流域(山梨県内)の問題への対処は静岡県と山梨県で温度差があるのも問題で、静岡新聞では2019年元旦より連日報道されているが、山梨県内ではあまり報道されておらず、山梨県環境整備課も「富士川にアユがいない」ということを2020年12月に静岡新聞の報道で知ったとのこと。また、2020年現在の山梨県知事の長崎幸太郎は、雨畑ダムのヘドロ問題はあくまで浸水対策の観点から問題視しているだけで、さらに「山梨県は海がないので、われわれが関心を持っているのは河川だ」[8] と、駿河湾のサクラエビ問題には全く関心を持っていないため、[要出典]山梨県は静岡県側と協力してヘドロ問題に対処する行動をみせながら、現実には両県で対立している[14]。雨畑ダムは、2019年の台風19号で県道や「雨畑の吊橋」が崩落し[15]、地区の孤立を招いたために長崎知事がダムを視察して日軽金を厳しく批判した[16] が、日軽金自身も雨畑ダムの問題で2020年3月期に特別損失110億円を計上する[17] など手を焼いており、国から行政指導を受けたために誰かが対処せざるを得ない雨畑ダム問題は、2021年現在、山梨県と日軽金で問題を押し付け合う形となっている。[要出典]

富士川から鮎がいなくなっても、富士川漁協(山梨県身延町)からは特に問題視されていないが、その背景として、日本軽金属から富士川漁協に年間1500万円という多額の補償金が流れていることを静岡新聞が2019年6月に報道した[18]

雨畑ダムにおける水害の惹起[編集]

富士川水系の雨畑川に日本軽金属が建設した雨畑ダムの堆砂率が90%を超えており、川岸の集落にたびたび浸水等の水害を惹き起こしている。集落に壁を設置するなどしているが、抜本的な解決には至っていない。国から対策するよう命令を受けている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1976年度撮影)
  2. ^ “雨畑ダム(山梨)堆砂率93%、全国の中規模以上でトップ”. 静岡新聞. (2019年8月7日). オリジナルの2019年8月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190807115644/https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/666723.html 2019年8月7日閲覧。 
  3. ^ “雨畑ダム放流で汚泥流出 山梨県が現場調査”. 静岡新聞. (2019年5月23日). オリジナルの2019年5月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190531045043/https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/636821.html 2019年8月7日閲覧。 
  4. ^ a b 富士川等の水質調査(山梨県・静岡県合同での水質調査) 山梨県 (2020年2月26日)
  5. ^ 漁場環境保全の活動 その1 第1回合同パトロール① 山梨県漁業協同組合連合会 (2021年5月27日)
  6. ^ a b 富士川の濁り、原因は記載せず 静岡・山梨両県が調査結果: 日本経済新聞
  7. ^ 富士川の中下流域 凝集剤、生態系破壊か 山梨で業者が不法投棄 静岡新聞 2020年12月28日
  8. ^ a b ダムの堆砂、東京ドーム5個分撤去 計画に山梨、静岡知事なお不満 - 産経ニュース 2020.1.6
  9. ^ 山梨県、雨畑川の不法投棄で業者の社名公表: 日本経済新聞
  10. ^ 静岡新聞連載「サクラエビ異変」 水産ジャーナリスト賞 |静岡新聞アットエス 2021年3月4日
  11. ^ 水利権を目的外使用か 日軽金、製錬せず売電に転用 富士川水系 静岡新聞アットエス
  12. ^ 山梨2町、水返還求め意見書提出 日軽金発電所の水利権更新問題 静岡新聞アットエス
  13. ^ 山梨県/富士川等の水質調査(山梨県・静岡県合同での水質調査) 山梨県
  14. ^ サクラエビ不漁の原因は不明 山梨、静岡両県に温度差も - 産経ニュース
  15. ^ 雨畑ダム(山梨)湖底に大量ヘドロ 魚類や水草、確認できず 静岡新聞アットエス
  16. ^ 山梨知事「日軽金を提訴も検討」 上流浸水の雨畑ダムを視察 - 産経ニュース
  17. ^ 日軽金、純利益6割減 3月期決算、雨畑ダム対策で特損|静岡新聞アットエス
  18. ^ 富士川漁協、濁り「究明せず」 日軽金からは多額補償金 静岡新聞アットエス 2019年6月24日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]