雨漏り

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雨漏り(あまもり)は、が意図しない場所から建築物などの内部へ侵入すること。雨漏りは建物だけでなく乗り物類やテント類でも起きる。

建築物の場合[編集]

雨水が建物に侵入しがちな箇所

建築物の雨漏りは次のようなことが原因で起きうる。

  • 設計の欠陥。設計上の想定の見込み違い。
  • 建築材料の選択の誤り
  • 施工のミス、手抜き、忘れ
  • 建築材料の劣化
  • 雨樋などに木の葉や塵が溜まり機能不全を起こすこと
  • 強風による屋根の歪み
  • 強風による屋根瓦の欠落

などである。

多様化する工法、部材等により、複雑化する雨漏りメカニズムを究明するために、雨漏りに関する調査、研究、教育を担う「特定非営利活動法人 雨漏り診断士協会」があり、保有する豊富な構造別検証データ等から体系的に「雨漏り診断」の技術を学ぶことが出来る。 近年では、雨漏りの浸出位置を推察するための補助的な機器として、赤外線カメラによるサーモグラフィー法が利用される場合がある。

湿気は建物に二次的なダメージを与える傾向がある。不要な湿気は木材の様々な真菌の繁殖を促進し、腐朽やカビによる健康被害を引き起こし、最終的にはシックハウス症候群を引き起こすこともある[1][2][3]。漆喰や塗装は劣化し、壁紙は剥がれ落ちる。水、塩分、カビの汚れは表面を劣化させる。空気中のカビ濃度が最も高いのは、カビが著しく蔓延している建物で、通常、大量の水の浸入や洪水被害の結果である[4]。カビはほとんどどのような表面にも生える可能性があり、雨漏りや高湿度などの構造上の問題により湿気が多い場所で発生する可能性がある[5]。空気中のカビ濃度は潜在的に吸入可能であり、健康への影響を及ぼす可能性がある[6]。

ほとんどの湿気の形態は、思慮深い建築設計と慎重な建設によって防ぐことができる[5]。国によっては、よく建てられた近代的な住宅には、地面から15cmほどの高さに合成防湿コーティング[6](DPC)という形で防水が施されており、水が通らないバリアとして機能している。スレートや空隙率の低い「エンジニアリング・レンガ」は、地面から数センチ上の部分によく使用され、問題を最小限に抑えるのに役立ちます。

既存の建物の湿気を取り除くには、様々なアプローチがある。適切な処理方法を選択する鍵は、建物に影響を及ぼしている湿気の種類を適切に診断することである[7]

乗り物の雨漏り[編集]

雨漏りは、自動車でも発生する。たとえばルーフキャリアを設置する際に屋根への施工に不備があったり、経年によるで自動車の屋根(ルーフ)に微小な穴があく、ルーフと側面の継ぎ目に(ほとんど見えない)錆による穴があく、そのほか外から見えにくいトランク蓋まわりの水はけ用の溝に錆で穴があく、防水用ゴムパッキン(窓ガラスやドアやトランクの蓋の周囲にある)が劣化しひび割れる、などといったことが原因である。

中古車の売買においては買い手側が購入前の時点でこの問題に気付きにくいということもある。新車であっても設計不良や工場出荷時の検査不備によって雨漏りする自動車が市場に流通し、購入者らがメーカーを相手取り集団訴訟を起こした事例もある[8][9][10]

鉄道車両においても経年等により雨漏りが発生することがある。そうした場合は別の車両に入れ替えるといった措置が取られることがある[11]

脚注[編集]

  1. ^ What Is Dampness”. civiljungle.com. 2024年1月15日閲覧。
  2. ^ Rising Damp”. cms.pm. 2024年1月15日閲覧。
  3. ^ Natural bio-based products for wood coating and protection against degradation: A Review”. bioresources.cnr.ncsu.edu. 2024年1月15日閲覧。
  4. ^ Indoor Environmental Quality”. books.google.com. 2024年1月15日閲覧。
  5. ^ The Causes, Impact of Dampness in Buildings on Health and Structural Integrity”. flashugnews.com. 2024年1月15日閲覧。
  6. ^ What Causes Rising Damp on Internal Walls? Damp Patches”. advanceddamp.co.uk. 2024年1月15日閲覧。
  7. ^ 6 Methods To Prevent Dampness In Building”. civilblog.org. 2024年1月15日閲覧。
  8. ^ 前代未聞だった現代自の欠陥新型車 雨漏り、燃費水増し…お粗末なクルマづくり - SankeiBiz”. 産経新聞 (2013年11月11日). 2016年11月6日閲覧。
  9. ^ 購入後に雨漏りを発見してしまったら!? - カーセンサー”. リクルート (2008年12月9日). 2016年11月6日閲覧。
  10. ^ 中古車に雨漏りがあった場合のクレームは受け付けてくれる? - Goo-net”. プロトコーポレーション (2015年5月21日). 2016年11月6日閲覧。
  11. ^ 国鉄時代から使用の気動車が雨漏り…出発遅れる 老朽化が原因か JR北海道”. 産経新聞 (2016年8月16日). 2016年11月6日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]