雀鬼流

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雀鬼流 (じゃんきりゅう) とは雀鬼・桜井章一が設立した「雀鬼会」のメンバーの麻雀の打ち方を指す。ただし雀鬼流は麻雀を打つ人だけのために存在するのではなく日常レベルからの矯正 (修正) や自己啓発の意味合いが強いので、雀鬼会に入会していない人や別のジャンルの一流の人が雀鬼流の考え方を取り入れるケースも見られる。

主なルール[編集]

一般的な「アリアリ」ではなく、「アリナシ」が採用されている。喰いタンは出来るが後付けは禁止するルールである。ただし先付け(原義)までは禁止されておらず先付け(原義)を行った後の副露、または暗刻暗順子で役をつけることは認められている。2面待ちで片方のみ役がある場合でも、もう片方が純カラであれば認められる。

局の進行
東南戦、西入り無し。流局時の親聴牌連荘三家和四開槓四人立直は流局。九種九牌は無し。四風連打は制限上存在しない。
点数について
30000点持ちの30000点返し。箱下、箱割れでもゲーム続行。精算時、1000点未満は切り捨て。ただし一度でも箱下になった場合には桜井による特別指導の対象、あるいは罰則の対象となる。
赤牌
赤5筒2枚がドラとして含まれる。

雀鬼流のルールとその考え方[編集]

雀鬼流のルールには独自の制約・制限が付いている。

打牌速度
打牌はできるだけ速く行う。1秒から4秒ぐらいが基本で、長考は少なくする。「待ち合わせ」と同じで、待たせるのは良くないことと喩えられる。また「リズム」の面や、「感性」で打つこと (考える麻雀から逸脱し、感じる麻雀に移行すること) の面でも重要視されている。
第一打目の字牌切りの禁止
雀鬼流では字牌の扱いを重要視する。第一打目ではなく第二打目ならいいのかというとそうではなく、字牌そのものを軽んじることをタブーとしている。風牌や三元牌を鳴かれたらそれだけで役を確定させてしまい、「役牌ドラ3」という簡単なあがりを生み出してしまう。また、前に出た時の受けがしっかり取れるように数牌を見極めることで手牌の構成力が上がりオリるんではなく「受ける」という姿勢が自然と取れるようになる。そして字牌を大事にするというだけでなく第一打に切らないようにする理由は、今の自分の状態が良い時は数牌の不要牌が自然と選べる形になっており、選びにくい時、迷いが生じる時というのは自分の状態があまり良くないという現れであるため、その良い時の状態を意図的に作り出すためである。そしてそれによって自分の状態の良し悪しを第一打の時点で計りやすくするためでもある。字牌を切ればダブル立直の状態であっても、それ以上の手替わり (点数向上) が望めない限りは切ってはならない。
不聴 (ノーテン) 時のドラ切りの禁止
「ドラは恋人、もしくは大切な人と思いなさい」というぐらい大切にされている。鳴かれてドラ3 (満貫以上確定) という事態になっても、自分が前へ出て常に勝負できる形を取っておくため。また、ドラとは本来、人間の思惑を計るために少しだけ目立つようにおかれた牌であり、時にはそのドラが面倒を起こしそうだったり、今の自分には不要だと思える時もある。自分がおかれた状況によって同じドラでも善玉になったり悪玉になったりしてしまう。そんなドラを大切に扱うことによって場全体の状況や、今の自分の状態が計りやすくなる。赤5筒はドラだが、ドラに準ずるものとされている。聴牌したからといって切ってはいけない状況も多々あり、その時の場の状況や自分の状態を照らし合わせた時に、まだ最終形ではないなら聴牌を崩すべきだとされている。例外としてドラが2枚切られている状況下であれば切ってもよい。配牌で3面子1雀頭が完成していて、余剰牌が字牌2種とドラの場合、面子か雀頭を崩す必要がある。しかしオーラスなどの条件がある場合は状況によって例外になることもある。
引っかけ立直の禁止
引っかけになる聴牌は1巡おいてから立直する。「騙されたほうが悪い」と考えるよりも、雀鬼会では「人を騙さないこと」を大切にしている。それは、努力と工夫を重ねてツモ和了を目指すことに重きを置いているからである。オーラスなどの条件がある場合を除いて、基本的に出和了はツモ和了を目指した結果としてついてくるものとされている。そして、即引っ掛けリーチをしないことで他家に対する他力よりも自力の方が強くなり自分の状態を良くしやすいことに繋がっている。
の制限
槓は門前かつ聴牌時の暗槓のみ認められ、明槓 (加槓・大明槓) は禁止されている。暗槓後は役が無ければ即リーチをしなければならない (ただし嶺上牌が上記の即引っかけに該当する場合は1巡おいてから立直する) 。また、立直後の暗槓見逃しは「弱気である」とみなされペナルティ扱いになる。槓をするということは、一つでも扱うのが大変なドラを増やし、さらに裏ドラまで乗せる可能性を作ることになる。それは自分が常に前へ出る意志を持っていなければ、自分も相手も巻き込んだ地雷を置いていくことになってしまう。そうならないように、どんな状況でも前へ出れる姿勢を取るため。
裸単騎の禁止
4副露した裸単騎は原則として禁止。1つぐらいは自力で作りなさい、といった理由から。
地獄単騎待ちの禁止
2枚切れの字牌単騎など出あがりの要素が強い待ちは原則として禁止されている。雀鬼流は自摸アガリを重視している。例えば白白白發發發中で中単騎の小三元であっても、中が2枚切れている場合は中待ちにしてはならない。(間に合ってない自分が悪いと見なされる。)似たような例ではドラ単騎も禁止されている。
一手変わり四暗刻の立直制限
これはそのままの意味で、役満への手替わりがあるのに手牌に蓋をしてはならないという理由から。ただし目に見えて空テン(仮にテンパイしても待ち牌が無い状態)であれば例外となる。
役満が見える副露に対する打牌制限
3副露で役満の可能性が見える場合、それに関連する牌は切ってはならない。大三元(2副露から)・字一色・四喜和・清老頭・緑一色が該当する。ただし自分が役満を聴牌している場合は切ってもよい。
自摸アガリを目指す
「出あがりはオマケ」ということ。出あがり自体は他力という考え方で、自分で持ってこられるような形にする努力をするという意味合いもある。
状況判断
現在の自分の状態や、場の型、それまでの各者の打牌によって生じた流れを考慮しながら打っていく。またアヤに気づき活かせるように工夫をしながら打っていく。南1局までは全員がトップを目指し、卓に乗っていくようにする。南2局以降は、自分が浮いている場合はそのままAトップ (1人浮き状態) を目指し、他家は逆に、3コロ (3人沈みの状態) 、2コロ (2人沈みの状態) 、チンマイ (1人沈みの状態) を生み出さないように判断しながら打っていく。
ウマとペナルティ
雀鬼会ルールでは、ウマは奪い合うものではなく、良い試合を行ったことに対するボーナスとして桜井から与えられる評価点という位置づけである。したがってマイナスや下位で終わってもマイナスのウマが付けられることはない。この逆がペナルティで上記の制約に反すると、「ペナルティ」としてその局のあがりや鳴きや聴牌宣言が禁止されたり評価点としてマイナス点が付くなどの罰則がある。またルール上ペナルティをしないことが最優先であるため雀鬼会の公式戦では順位はまずペナルティを行っていない者からつけられ、どんなに成績が良くてもペナルティを行った者はペナルティの無い者よりも下位とされる。

雀鬼流麻雀の目指すもの[編集]

雀鬼流で打つことによって精神の歪みを是正し、人間本来の感覚を取り戻すという精神修養が主眼になっている。またそうすることによって麻雀とは何なのか、何のために打つのかという本質的な部分が見えてくるようになるためでもある。そして、勝つために戦うのではなく「良い勝負をした結果として勝利がついてくるべき」という発想があり、悪いとされる内容での優勝 (例えば、ペナルティ多発により評価減点を持つ者が優勝した場合や選手全員がペナルティを犯しているようなケース) は祝福されなかったりもする。これらを基礎とすることで多様な場面での応用力がつき、様々な打ち筋に発展させ、対応する力がついてくる。

外部リンク[編集]