阿修羅ガール

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阿修羅ガール』(あしゅらガール)は舞城王太郎長編小説2003年(平成15年)に新潮社より刊行。第16回三島由紀夫賞受賞。現在は新潮文庫に収録される。今時の女子高生、アイコの一人称で語られる小説で、饒舌なガールズトークが特徴である。現代の女子中学生や女子高生の言葉遣いが使われることは、リアリティがあり、刺激的で面白いが、これまで三島賞の対象となるような作品において使われた時は、どこかわざとらしく不自然だったが、本作ではそれが生き生きと使われており、文章が今までになく躍如としており、初めての成功例として作者の功績として残したい作品である[1]

物語自体は女子高生アイコが好きでもない男とセックスしてみたはいいが、その男が行方不明になり別の思いを寄せる幼なじみの男と捜索に乗り出すという、一見すると新本格ミステリにも見えるストーリーだが、決してミステリの枠に収まる小説ではなく、暴力的な世界を計算された饒舌な文体で描いている。[2]

三島由紀夫賞[編集]

三島賞では宮本輝が「下品で不潔な文章」「支離滅裂な大きなエネルギーを持て余していて、まだ人に見せる段階じゃない」「お子様相手」と酷評し、受賞に猛反対した[3]。一方で、福田和也は「三島由紀夫の名を冠する賞から舞城を送り出せてよかった」と絶賛し[4]、筒井康隆も「現代の女子高生の言葉遣いを効果的に使っている」と評価した[5]島田雅彦は「ブーイングを浴びることで輝く狡猾な作品」と評価した。[6]

覆面作家である舞城は、この受賞によりはじめて公の場に出るか注目されたが、結局授賞式にはあらわれずコメントだけよせた。

あらすじ[編集]

第一部「アルマゲドン」[編集]

女子高生・アイコは、テクニックがすごいという噂の同級生・佐野と、好きでもないのにセックスをしてみたはいいが、あまりにも下手で全然性感を得られなかった。顔面に射精されそうになり、自尊心を傷つけられたアイコは、佐野を足蹴にしホテルに置き去りにする。翌日、佐野の一件で同級生達にリンチされそうになるも返り討ちにし、佐野の行方不明を知らされる。佐野の家族のもとに切断された指が送りつけられてきたという。アイコは幼なじみで思いを寄せる陽治と一緒に犯人探しを始めようとする。

一方で街では連続幼児殺人犯『グルグル魔人』が暴れており、匿名掲示板『天の声』では便乗した中学生狩りが始まり、アイコが住む調布市アルマゲドン状態となっていた。

第二部「三門」[編集]

アルマゲドンから脱出し、谷をわたるためにヘリコプターに乗る『崖』。アイコの第二の人格とも呼べる「シャスティン」とその友人が魔物がいる森に迷い込む『森』。そして幼児殺人犯の『グルグル魔人』。

第三部「JUMPSTART MY HEART」[編集]

三途の川から戻ってきたアイコがこれまでの経験を振り返り、愛の大切さを噛み締める。

登場人物[編集]

刊行情報[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 筒井康隆『笑犬樓の逆襲』 p.327『阿修羅ガール』を推すーー第16回三島由紀夫賞選評
  2. ^ 新潮社PR誌『波』2003年2月号 「油断ならぬ成長小説(豊崎由美)」より
  3. ^ 第16回三島由紀夫賞選評 宮本輝「お子さま相手」
  4. ^ 第16回三島由紀夫賞選評 福田和也「まだ見ぬものへの畏怖」
  5. ^ 第16回三島由紀夫賞選評 筒井康隆「「阿修羅ガール」を推す」
  6. ^ 第16回三島由紀夫賞選評 島田雅彦「阿修羅がる男」

外部リンク[編集]