阿久津忠男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

阿久津 忠男(あくつ ただお、1950年[1]昭和25年3月17日[2][3][4] - )は日本栃木県芳賀郡益子町の「益子焼」の陶芸家

主に手びねりで形成し、轆轤も使用し、吸い込まれるような深い瑠璃色が特徴[5][1]

子は同じく陶芸家の阿久津雅土[5][6]

来歴[編集]

1950年[1][7]昭和25年3月17日[2]栃木県高根沢町に生まれる[7]群馬県高崎市、そして中学3年と高校1年の時に栃木県足利市で育つ[8]

栃木県立栃木高等学校を卒業し青山学院大学経済学部に入学[7]

1972年(昭和47年)に青山学院大学を卒業した時[3][1]に「生まれてから大学卒業するまで積み重ねたものを全て0にして、何にもない荒れ地でちっぽけな種である自分がどう育ち何になるのか見届けるため」[5]、そして「土を耕しながら暮らし、何も無いところからものを作りたい」という「自然に湧き上がった欲求」に従って「やきものの道」を歩み始めた[7]

栃木県立窯業指導所に入所し[3][7]、卒業後、1973年(昭和48年)近代陶芸家の廣崎裕哉に師事[3][5][1][7]

1975年(昭和50年)に栃木県益子町上大羽に築窯し独立[3][5][6][1]

現在は「創作工房あくつ」として作陶活動を行う[6][8]

灰釉や糠釉を用いた器も作陶していたが[7]、もともと藍色が好きであり、目が覚めるような独特の藍色を魅せる器の釉薬を正倉院の面取瑠璃碗にあやかり「瑠璃釉」と名付けた[5][1][7]

その瑠璃色は実業家である仁平透にこれ以上に綺麗な青はないのではないか」と思わせ、栃木県益子町の食器販売店を兼ねた古家具店である「pejite」で「益子焼の器」を展示販売させるきっかけを作った[9]

師である廣崎裕哉からは「古いものを良く見ろ」と言われた。そしていつの日か中国の古窯である「鈞窯」の「青」を出したい、と挑んできた[7]

そして目立たなくてもいい。使って飽きないものを作ることを目指し作陶を続けている[7]

主な展覧会歴[編集]

  • 1976年 東京セントラル絵画館にて「円の会」出品
  • 1982年 東京セントラル絵画館にて「土とガラスの文具展」出品
  • 1983年 渋谷黒田陶苑にて 初個展
  • 1995年 目白椿山荘 京都八坂倶楽部「橘展」出品
  • 2013年 日本橋高島屋にて展示会
  • 2017年 「にわのわ」アート&クラフトフェア チバ2017 推薦
  • 2019年 松屋銀座「銀座・手仕事直売所」出品
  • 2020年 松屋銀座「銀座・手仕事直売所」出品
  • 2020年2月 GO KASAMASHIKO via TOKYO 2020 関連企画 「阿久津忠男 ・ 阿久津雅土 2人展」(pejite 青山)
  • 2022年1月 高根沢町歴史民俗資料館 「瑠璃の器~阿久津忠男展~」[10]
  • 2022年3月 pejite 益子 展示会
  • 2020年9月 松屋銀座「銀座・手仕事直売所」出品
  • 益子春の陶器市「もえぎM'sギャラリー」阿久津忠男・阿久津雅土 二人展
  • 益子秋の陶器市「茶屋 雨巻」の庭にて 阿久津忠男・阿久津雅土 二人展

家族[編集]

妻に窪田直史や薄田浩司に師事し、タタラ作りと絵付けを担当していた[7]。同じく陶芸家であった阿久津久美子[11][8][7]
子に益子町に生まれ、大学、栃木県窯業指導所(現在の「栃木県産業技術センター 窯業技術支援センター」)を卒業した後、父と母と同じく「創作工房あくつ」の陶芸家である阿久津雅土がいる[11][8]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 秋の益子陶器市が開催中!目利きに教わる「器の選び方」と「注目作家」”. 中川政七商店の読みもの (2019年11月2日). 2023年9月15日閲覧。
  2. ^ a b 近藤京嗣 1989, p. 13.
  3. ^ a b c d e 光芸出版,現代陶芸作家事典 1980, p. 39.
  4. ^ 益子の陶芸家 平成12年,近藤京嗣 2000, p. 13.
  5. ^ a b c d e f 黒田草臣 2005, p. 243.
  6. ^ a b c 「下野新聞」2007年(平成19年)10月10日付 25面「夫婦と息子夫婦 そろって作陶展」「小山で益子の阿久津さん」
  7. ^ a b c d e f g h i j k l コロナ・ブックス,やきものを買いに行く 1999, p. 10-13.
  8. ^ a b c d 「下野新聞」2002年(平成14年)9月6日付 11面「阿久津さん親子200点を展示」「足利市で“里帰り”作陶展」
  9. ^ うつわ作家名鑑,枻出版社, 2017 & p76-79.
  10. ^ 広報たかねざわ2022年2月号”. 高根沢町. 2023年11月9日閲覧。
  11. ^ a b 「下野新聞」2002年(平成14年)7月28日付 7面「親子3人それぞれに」「1日から「あくつ作陶展」」「益子町」

参考文献[編集]

  • 光芸出版編集部 編『現代陶芸作家事典』株式会社 光芸出版、1980年7月25日、39頁。 NCID BN06606545国立国会図書館サーチR100000001-I005615292-00, R100000001-I112799884-00 
  • 近藤京嗣『益子の陶芸家』1989年11月、13頁。 NCID BA34162878国立国会図書館サーチR100000001-I106304112-00 
  • 太陽編集部,コロナ・ブックス編集部 編『首都圏版 やきものを買いに行く』株式会社平凡社〈コロナ・ブックス 72〉、1999年11月17日、10-13頁。ISBN 9784582633696 
  • 近藤京嗣 著、近藤京嗣 編『益子の陶芸家 平成12年』近藤京嗣(自家出版)、2000年11月、13頁。真岡市立図書館 検索結果矢板市立図書館 検索結果大田原市立図書館 検索結果 
  • 黒田草臣『極める技 現代日本の陶芸家125人』小学館、2005年1月1日、243頁。ISBN 4096816914 
  • 『うつわ作家名鑑 保存版 人気ギャラリーと目利きが選ぶうつわ 400点収録!』株式会社枻出版社〈エイムック 3900 Discover Japan_DESIGN〉、2017年12月10日。ISBN 9784777948871 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]