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阪神競馬場誤審事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

阪神競馬場誤審事件(はんしんけいばじょうごしんじけん)は、1986年5月31日阪神競馬場で行われた競馬の競走で発生した誤審事件である。誤審の結果問題となった勝馬投票券の内容(枠番連勝の組み合わせ)から5-5事件ともいわれる。

概要

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1986年5月31日[1][2]の阪神競馬第4競走[1][3][2][4][† 1](発走は11時15分[4])は、3頭の競走馬(5枠7番のムーンダツァー[† 2]、4枠6番のグレートパスカル、5枠8番のロングヘンリー)が僅差で競り合いながらゴールする展開となった[5][2]。主催者である日本中央競馬会(JRA)は決勝審判委員の目視と白黒ネガ写真をもとに[2]1着ムーンダツァー、2着グレートパスカル、3着ロングヘンリーと判断し着順を確定[6]、払い戻しを開始し連勝複式馬券は4-5[† 3]で8590円と発表された[4]が、その後写真判定用に撮影された写真を場内に掲示する段階になって[6][2]、2着馬と3着馬の着順を逆に判定していたことが発覚した[1][6][2][4]

主催者の対応

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日本中央競馬会は第4競走確定からおよそ3時間以上経過した14時40分[4]に各競馬場および場外勝馬投票券発売所において場内放送によって誤った判定を行ったことを発表し[6]、あわせて誤って確定した1着ムーンダツァー、2着グレートパスカルとする内容の勝馬投票券(具体的には連勝複式4-5)に加え、1着ムーンダツァー、2着ロングヘンリーとする内容の勝馬投票券(枠番連勝5-5)についても的中したものとみなして換金に応じるとした[4][1][7][2]。誤った着順は競馬施行規程により変更されなかった[1]

しかし、中央競馬会がこの誤審に気付いたのは第4競走からわずか20分後[4]だったにもかかわらず、それを公表するまで3時間という長い時間を要することになった[4]。翌週の開催から、写真判定の際にはかならず焼き付けたポジを使うこととし、着順の判定にあたっては各馬の外見の細部に至るまで必ず確認をするなど、手順が見直された[1]。このため、手順見直し実施後は着順の確定に時間を要することとなった。

勝馬投票券の払い戻しをめぐる騒動

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枠番連勝5-5の配当は投票金額100円に対して23430円[1][8][2][4]となる万馬券であったが、払い戻しに関する発表が行われたときには第4競走の確定から時間が経過しており、当該勝馬投票券の一部はすでに破棄されていた。競馬場や場外勝馬投票券発売所においては破棄された勝馬投票券を探そうとする者が出て[4][8]、騒動になった[4][1][8][2]

JRAは勝馬投票券を破棄した者に対しても、本人の申告で枠番連勝5-5を買ったことが確認できれば払い戻しを応じることにしたものの[4]、そのうちの2名が[8]支払いを求め訴訟を提起した[8][2][4]原告側は第4競走においてみずからが購入した勝馬投票券の内容と購入金額を記憶しており、その内容がJRA側が保有していた勝馬投票券の発売記録と一致したことが決め手となり、[要出典]第一審[8]大阪地方裁判所)・第二審(大阪高等裁判所)ともに[要出典]原告の訴えを真実と認め、請求を認める判決を出した。これに対して一審ではJRA側は「証拠がない」ことを理由に控訴していた。[要出典]

注釈

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  1. ^ 同競走の出走馬の中には後に北九州記念朝日チャレンジカップを優勝するタニノスイセイがいた。
  2. ^ 後に繁殖牝馬としてテツノジョージを産んでいる。
  3. ^ 現在の枠番連勝。当時は馬番連勝は未発売。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h 「ニュース&インフォメーション『阪神競馬で2着と3着を誤審』」『優駿』、日本中央競馬会、1986年7月、168頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i j 競馬歴史新聞編纂委員会「阪神競馬で世紀の大誤審」『競馬歴史新聞』日本文芸社、1998年、167頁。ISBN 978-4537026689 
  3. ^ 田中2003、p.247
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 「阪神競馬場で世紀の大誤審。」『競馬 黄金の蹄跡。』文藝春秋〈Sports Graphic Number PLUS〉、1999年、155頁。ISBN 4-16-008108-8 
  5. ^ 田中2003、pp.247-249
  6. ^ a b c d 田中2003、p.249
  7. ^ 田中2003、pp.249-250
  8. ^ a b c d e f 田中2003、p.250

参考文献

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  • 田中貴英「世紀の大誤審・馬券2重払い戻し編 ゴミの山を漁るファンが続出」『ザ・競馬トリビア 史上最強の珍記録・怪事件』廣済堂出版〈広済堂・競馬コレクション〉、2003年、247-251頁。ISBN 4-331-50973-7 

関連項目

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