関門トンネル (国道2号)

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関門トンネル
Kanmon Roadway Tunnel - 01.JPG
門司側車道出入口
概要
位置 関門海峡
座標 北緯33度57分48.6秒
東経130度57分33.6秒
現況 供用中
所属路線名 Japanese National Route Sign 0002.svg国道2号
起点 山口県下関市
終点 福岡県北九州市門司区
運用
開通 1958年3月9日
所有 国土交通省
管理 西日本高速道路九州支社
通行対象 自動車歩行者
技術情報
全長 3,461m(車道)
道路車線数 片側1車線
設計速度 60km/h(規制速度:40km/h)
最低部 -56m(車道)-58m(歩道)
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関門トンネル 下関側車道出入口

関門トンネル(かんもんトンネル)は、山口県下関市福岡県北九州市を結ぶ国道2号トンネル海底トンネル)である。山陽本線同名のトンネルと区別するために関門国道トンネル(かんもんこくどうトンネル)と呼ばれることもある。

概要[編集]

関門海峡の海面下に掘削され、西日本高速道路九州支社が管理する有料道路のトンネルである。鉄道用の関門(鉄道)トンネル(山陽本線)、新関門トンネル(山陽新幹線)と並び、関門海峡(早鞆の瀬戸)の海底下で貫通する3本のトンネルのうちのひとつで、同海峡の道路用トンネルとしては唯一である[1]。1958年(昭和33年)に開通し、徒歩でも通行できる人道トンネルも併設されている[1]日本道路公団等民営化関係法施行法第26条により、通行料金は維持管理有料制度を根拠として徴収されていることから、料金の徴収期限は設定されていない。

山口県と福岡県の県境は関門海峡の海面下56 m(車道)ないし58 m(人道)にある。

歴史[編集]

関門海峡を貫いて本州と九州を結ぶトンネルは、1942年昭和17年)に関門鉄道トンネルが先に開通していた[2]。道路のトンネルは、関門海峡の最狭部である早鞆瀬戸の下に建設されることになり、鉄道より遅れた1937年(昭和12年)に試掘導坑の掘削を開始し[2]1939年(昭和14年)に完了。同年、本坑掘削に着工し1944年(昭和19年)12月に貫通したが、トンネルの掘削に適さない地質であったことや、第二次世界大戦の勃発で資材不足に陥り、相次ぐ戦災で1945年(昭和20年)6月ないしは7月に工事を中断するなど工事は困難を極めた[2]。その後、1952年(昭和27年)に道路整備特別措置法による有料道路としての工事を再開し、着工から21年の歳月をかけて1958年(昭和33年)3月9日に開通した[2]。総工費は当時の金額で約57億円である。世界初の海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性から全国から観光客が集まり、散歩を楽しんだといわれる[2]

施設概要[編集]

海底部の780 m間は真円断面の上3分の2程度が車道(原付通行止)、下3分の1程度が人道の2層構造になっている。前後のアプローチ部は車道のみの構造となっており、この間に歩道はない(車道を通行できない歩行者軽車両原動機付自転車は別のルートを迂回するよう案内看板が掲出されている)。

本州側の人道出入口付近に下関PAが設置されている(現在は駐車スペース・トイレ・自動販売機のみ)。九州側の車道入口付近には門司PAが設置されていたが、2006年2月28日に閉鎖された。

車道[編集]

本州側は下関ICと繋がっており、国道2号本線および山口県道258号武久椋野線と接続している。本州側のアクセス道路が下関ICと一体化し複雑な構造となっているが、下関ICの主たる接続道路である山口県道57号下関港線とは直接接続していない。一方、九州側は国道2号本線と接続しており(300m先の老松公園交差点が国道2号と国道3号の接続点)、福岡県道72号黒川白野江東本町線と間接接続している。

海底トンネルのため、道路法の規定によりタンクローリーなどの危険物積載車両は通行できない。

リフレッシュ工事などにより通行止めが長期にわたる場合は関門橋(関門自動車道)が迂回路とされ、関門橋が関門トンネルと同額で通行できる特例措置がとられる。ただし、事故などの一時的な通行止めの際はこの特例措置は適用されない。

トンネルポータルは地域の特色を現した意匠となっており、フグが口を開けた絵が描かれている。換気方式は横流換気方式を採用している(後述)。

要目
  • 起点:山口県下関市椋野町2丁目
  • 終点:福岡県北九州市門司区東門司一丁目
  • 距離:3,461 m(うち海底部分780m)
料金
2006年4月1日、維持および修繕に要する費用を勘案した料金に見直され値下げとなった。クレジットカードは料金所係員への手渡しで使用可能(人道は除く)だが、ETCは無線通行・カード手渡しともに利用できない。
※50cc以下の原動機付自転車は、通行できないため、人道を利用する(後述)。
交通量
2005年度(平日24時間交通量)[3]
  • 下関市 - 山口県・北九州市境:34,017台

人道[編集]

人道出入口。左は門司側、右は下関側 人道出入口。左は門司側、右は下関側
人道出入口。左は門司側、右は下関側
人道の県境部。中央部が窪んだ坂になっている
下関側の人道出入口施設。中央にポスト状の料金箱が見える

歩行者・自転車・50cc以下の原動機付自転車が利用できる幅4m・長さ約780mのトンネルで、徒歩で約15分ほどで関門海峡の海底を通り抜けることができる。両端とも国道2号に接続していないが、人道も国道2号に指定されている(国道2号車道に対する自転車歩行者道の扱い)[4]

地上と地下の人道トンネルの間は、下関側・門司側とも専用エレベーターを利用する[1][4]。なお、エレベーターとは別に保守・非常避難用の階段が設けられており、間寛平アースマラソンで通行した際にはこの階段を使用した[5]

通行料金は徒歩は無料で、自転車原動機付自転車は下関側の人道出入口に設置されたポスト状の料金箱に現金又は回数券を投入する。なお、ポストからやや離れた場所には詰所があり係員が常駐している。深夜は閉鎖される。

交通ルール上は歩行者専用道路に準じた扱いとなっており、トンネル内は右側通行で、車両(自転車および原動機付自転車)はエンジンをかけない手押しでの通行(道路交通法上「歩行者扱い」となる)、乗車しての通行は認められていない。

監視カメラが設置されており、乗車して通行すると、トンネル内の拡声器で注意される。本州・九州側双方には注意を促す看板が設置されている。この扱いは、車道が集中工事などのために長期通行止めとなる際に原付などの迂回路[6]となる場合も同様である。

人道トンネルの内面は、壁に海藻や魚、天井に朝・昼・夕・夜の空が描かれている[7]。日常の移動手段としてだけではなく、雨・日焼け対策が不要なジョギングウォーキングコースとして利用されているほか、下関と門司港を結ぶ観光周遊ルートとしての広報もなされている[8]。両側の入り口には、関門の観光マップや通行記念スタンプも設置されていて、旅行の記念に押す人も多い[7]

なお、人道トンネルの横のスペースは車道用の換気ダクトとなっており、新鮮な空気を車道に送り込む役割を果たしている[9]

要目
料金
  • 歩行者:無料
  • 車両(軽車両・原付):20円

試掘導坑[編集]

1939年に掘削された1,008mの試験導坑(パイロットトンネル)は、そのまま現在のトンネルの水抜き坑として活用されている。

海底トンネルの特殊性を考慮し、4本の換気縦坑の最低部に設けられたポンプ室を通じて、地上に排出される。トンネル湧水は岩盤亀裂の多い下関側で多く生じているが、下関側・門司側の双方から排出されているという[9]

接続道路[編集]

施設名 接続路線名 大阪から
(km)
備考 所在地
国道2号 広島山口方面
下関料金所 県道258号武久椋野線 山口県
下関市
下関側人道出入口
下関PA
国道9号 車道部とは接続せず
門司側人道出入口 県道261号門司東本町線 車道部とは接続せず 福岡県
北九州市
門司区
門司PA 2006年2月28日廃止
門司料金所
国道2号(国道3号接続) 福岡小倉北方面

リフレッシュ工事[編集]

人道リフレッシュ工事対応の代行バス(2009年10月)
人道リフレッシュ工事対応の二輪車向けトラック(2009年10月)

海底トンネルという特殊性と通行量の多さによる老朽化や損傷がみられることから、抜本的補修のために1979年以降およそ10年ごとに集中工事(リフレッシュ工事)が行われている。

実施時期

  • 1979年
  • 1988年 - 1989年
  • 1998年 - 1999年
  • 2008年 - 2010年
    • 2008年は10月15日から12月13日まで、2009年は9月1日から12月18日まで行われ、その間は全面通行止めとなった。なお、通行止め期間中は関門道下関ICと門司港IC門司IC間を迂回する場合に限り関門トンネルと同額の通行料金が適用された。なお、2009年は人道も通行止めとなったが、歩行者向けの代行バスおよび、125cc以下の二輪車向けのトラック便が運行された[10]
  • 2010年9月1日〜12月17日 車道および人道通行止め[11]
  • 2014年10月15日〜12月13日 車道通行止め[12]

交通[編集]

人道トンネルへのアクセス。

発行物[編集]

  • 1958年3月9日、関門トンネル開通記念の切手が1種(額面10円)、発行された。

出典・脚注[編集]

  • 関門隧道建設の碑(下関側人道入口)
  1. ^ a b c ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 87.
  2. ^ a b c d e 浅井建爾 『道と路がわかる辞典』 日本実業出版社2001年11月10日、初版、240頁。ISBN 4-534-03315-X
  3. ^ 平成17年度道路交通センサスより。
  4. ^ a b 佐藤健太郎 『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014年、27-28頁。ISBN 978-4-06-288282-8
  5. ^ Day752(6:01ごろ、通用門から山口県側に出る。) - YouTube
  6. ^ 関門橋へ迂回できない50cc超125cc以下の二輪車。
  7. ^ a b c ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 88.
  8. ^ 関門トンネル人道(エリアマップ) - 関門海峡Navi(関門海峡観光推進協議会)
  9. ^ a b 福永靖雄・城間博通 (2008). “関門トンネルの現況” (PDF). コンクリート工学 (日本コンクリート工学会) 46 (9): 65-70. https://www.jstage.jst.go.jp/article/coj1975/46/9/46_65/_pdf. 
  10. ^ 関門トンネルの大規模リフレッシュ工事を実施します”. 西日本高速道路 (2009年7月17日). 2010年5月8日閲覧。
  11. ^ 関門トンネルの大規模リフレッシュ工事を実施します - 開通後52年経過したトンネルの老朽化対策 -”. 西日本高速道路 (2010年7月16日). 2010年9月16日閲覧。
  12. ^ 関門トンネルのリフレッシュ工事を実施します ―平成26年10月15日から12月13日まで、車道の終日通行止めを行います― 西日本高速道路㈱ 2014年8月25日付

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]