関口祐加

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関口 祐加(せきぐち ゆか 1957年5月28日[1] - )は、日本の映画監督神奈川県横浜市出身[1]

来歴[編集]

国際商科大学卒業後、20歳代前半でオーストラリアに渡り、オーストラリア国立大学大学院で国際関係論を学ぶ。この時期に映画と運命的な出会いをする。1989年、本名の関口典子の名前で第1回監督作品「戦場の女たち」(英題:SENSO DAUGHTERS)でデビュー。この作品(英語版)が海外で高く評価され、メルボルン国際映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ、サンフランシスコ国際映画祭ベスト・ドキュメンタリー歴史部門など数多くの賞を受賞する。

1992年に『When Mrs. Hegarty Comes to Japan』(日本未公開)を監督。この作品は、オーストラリア・メディア賞審査員賞、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭の観客賞を受賞する。アン・リー監督からコメディのセンスを絶賛され、この作品以降コメディ・ドキュメンタリー作品を目指す。

その後もオーストラリアの大学や映画学校で映画制作を教えながら、2007年に自分自身を被写体にして撮った『THE ダイエット!』(原題:FAT CHANCE)を発表。この作品は、オーストラリアのTV局SBSのその日の最高視聴率を叩き出した。2009年度全米ライブラリー協会賞を受賞。

2009年9月より認知症の疑いのあった母親を被写体に自ら撮影を開始し、YouTubeに動画としてアップし始める。2010年1月、29年ぶりにオーストラリアより帰国し母との抱腹絶倒な介護生活が始まる。同年5月、母親が、アルツハイマー病と診断される。母親の新作は、『此岸(しがん)、彼岸』(仮題)として始動。

2011年3月、製作会社NY GALS FILMSを大先輩の渋谷昶子監督とともに起ち上げる。同年12月、制作/配給会社シグロが、制作協力・配給に決まる。

2012年1月12日、新作のタイトルを宣伝会議で変更。新しいタイトル『毎日がアルツハイマー』(略称「毎アル」)は、当時12歳の息子が、気に入り、最終的に決定された。「毎アル」は、2012年7月14日に公開以来、大ヒットロングランとなり、今も上映が続く。

2013年5月に『毎日がアルツハイマー・続編』(仮)製作が、決定。2014年1月『毎日がアルツハイマー2〜関口監督、イギリスへ行く編』が、完成した。「毎アル2」は認知症ケアの真髄【パーソン・センタード・ケア】を知るべく、その発祥地であるイギリスへ飛び、撮影を敢行した。同年7月19日より公開され、公開映画館にて5000人を動員した。

2015年より、「毎日がアルツハイマー〜ファイナル」が始動。

2012年4月〜2013年1月津田塾大学非常勤講師。卒業制作を担当した。

エピソード[編集]

  • 『THEダイエット!』は、アン・リー監督に「コメディーの才能がある。コメディーを作るといいのではないか?」と勧められたのがきっかけで、コメディーを意識して作った。コメディ・ドキュメンタリーという新しい分野を確立した。

主な作品[編集]

映画[編集]

  • 「戦場の女たち」(英題SENSO DAUGHTERS) 日本/オーストラリア作品 (1989)
    1989年 日本カトリック映画賞最優秀映画賞受賞
    1990年 メルボルン国際映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ受賞
    1990年 サンフランシスコ国際映画祭ベスト・ドキュメンタリー歴史部門受賞
  • 「WHEN MRS. HEGARTY COMES TO JAPAN」オーストラリア作品(1992)
    1992年 オーストラリア・メディア賞審査員賞受賞
    1992年 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭観客賞受賞
  • 「THEダイエット!」(原題FAT CHANCE)オーストラリア作品(2007)
    2009年 全米ライブラリー協会賞受賞
  • 「毎日がアルツハイマー」(英題EVERYDAY IS ALZHEIMER'S) 日本作品(2012)
    2012年 あいち国際女性映画祭選出
    2013年 チョンジュ国際映画祭選出(韓国)
  • 「毎日がアルツハイマー2 〜関口監督、イギリスへ行く編」(英題EVERYDAY IS ALZHEIMER'S 2 THE FILMMAKER GOES TO BRITAIN ) 日本作品(2014)
    2014年 あいち国際女性映画祭オープニング上映作品

著作[編集]

  • 1990年 「戦場の女たち」制作ノート リトル・モア出版
  • 2009年 「夢を壊さないでっ!ゆかのTHEダイエット!」 パド・ウィメンズ・オフィス出版
  • 2012年 「毎日がアルツハイマー」BOOKバージョン パド・ウィメンズ・オフィス出版
  • 2013年 「ボケたっていいじゃない」 飛鳥新社
  • 2014年 「毎アルツイート・マミー」 パド・ウィメンズ・オフィス出版

連載[編集]

  • 2011年10月〜 認知症予防財団報<新時代>コラム連載 「母を撮る」 http://www.mainichi.co.jp/ninchishou/
  • 2014年1月〜 「続・毎日がアルツハイマー」<女性情報>月刊コラム連載開始

出典[編集]

  1. ^ a b インタビュー”. 認知症きらきらネット. 認知症きらきらネット事務局. 2021年1月16日閲覧。

外部リンク[編集]