長谷川りん二郎

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長谷川 潾二郎(はせがわ りんじろう、1904年1月7日 - 1988年1月28日)は、日本画家。猫の絵で有名[1]。また、地味井 平造(じみい へいぞう)の筆名で探偵小説を執筆した小説家でもある。

2010年には『平明・静謐・孤高-長谷川潾二郎展』が平塚市美術館で開催された。また2016年12月3日から2017年1月22日まで『藤井コレクション 長谷川潾二郎展』が岡崎市美術博物館で開催されている。

生涯[編集]

1904年、父・長谷川清(後に淑夫に改名)、母・長谷川ユキの二男として函館に生まれる。長兄に、牧逸馬・林不忘・谷譲次の三つのペンネームを用いて活躍した作家長谷川海太郎がおり、弟には、ロシア文学者詩人長谷川濬(三男)、作家の長谷川四郎(四男)がいる。

旧制函館中学(現・北海道函館中部高等学校)卒業。中学の同級生に、探偵小説家・編集者の水谷準がいた。その後、画家を志して1924年に上京し、松本泰が大家をつとめる下宿で、水谷と共同生活を送る[2]

1931年、画の勉強のためパリへ渡る。数年滞在する予定だったが約1年で帰国。

1988年、84歳で死去。

作品[編集]

絵画[編集]

  • 『ハリストス正教会への道』(1923年) - 地元の風景を描いた作品。
  • 『窓とかまきり』(1930年)
  • 『道(巴里郊外)』(1931年)
  • 『時計のある門』(1935年)
  • 『バラ』(1938年)
  • 『早春の岬(伊東付近)』(1941年)
  • 『猫』(1966年) - 6年かけて愛猫のタローを描いた。
  • 『玩具と絵本』(1979年) 描かれている本は彼が幼い息子の光児に贈った『もじゃもじゃペーター』。
  • 『アイスクリーム』(1981年)

『道(巴里郊外)』、『バラ』、『早春の岬(伊東付近)』、『猫』は洲之内コレクションとして宮城県美術館に収蔵されている。 『ハリストス正教会への道』はおかざき世界子ども美術博物館、『玩具と絵本』は「藤井コレクション」として岡崎市美術博物館に収蔵されている。

  • 2010年には彼の絵のポストカードが発売された。
  • 2011年2012年には彼の絵を集めたカレンダーが出版されている。
  • 『猫』は『洲之内徹が盗んでも自分のものにしたかった絵』の表紙にもなっている。

小説[編集]

地味井平造名義の探偵小説。作品はすべて短編である。

  • 「煙突奇談」(『探偵趣味』1926年6月号)
  • 「二人の会話」(『探偵趣味』1926年8月号)
  • 「X氏と或る紳士」(『探偵趣味』1926年11月号)
  • 「童話三つ」(『探偵趣味』1926年12月号)
  • 「魔」(『新青年』1927年4月号)
  • 「顔」(『新青年』1939年3月号)
  • 「不思議な庭園」(『新青年』1939年10月号)
  • 「水色の目の女」(『新青年』1940年6月号)
  • 「新稿・水色の目の女」(『幻影城』1975年9月号)[3]
  • 「人攫い」(『幻影城』1976年1月号)

探偵小説は、中学時代からの友人で、『探偵趣味』の編集者だった水谷準の勧めで書かれたものである[4]。兄の海太郎がアメリカ時代にウィリアム・ヘイズと名乗っており(「ヘイズ」は「長谷川」 Hasegawa を「長谷」 Hase と縮め、アメリカ英語風に発音したもの)、潾二郎にジミーという英語名をつけたため、ジミー・ヘイズをもじった「地味井平造」を筆名とした[5][6]。作家活動は余技にすぎず、画業に熱中するうちに執筆から遠ざかって行った。1939年になって、『新青年』編集長になっていた水谷の勧めで再び数編を執筆した[7][6][8]

水谷、松本泰恵子夫妻、および中学の先輩である久生十蘭を除いて、他の探偵作家とのつきあいはほとんどなく、江戸川乱歩とも面識はなかったという[9]

参考文献[編集]

  • 鮎川哲也 『幻の探偵作家を求めて』 晶文社、1985年10月10日、15-37頁。 
  • 川崎賢子『彼等の昭和 長谷川海太郎・潾二郎・濬・四郎』(白水社、1994年)
  • 地味井平造、「(魔)について」 『日本探偵小説全集11 名作集1』 東京創元社創元推理文庫〉、1996年6月21日ISBN 4-488-40011-6 
  • 長谷川潾二郎『静かな奇譚 長谷川潾二郎画文集』(求龍堂、2010年)
  • 「美の美 長谷川潾二郎の静かな世界 上・下」『日経新聞』2012年9月9日付朝刊16面、9月16日付朝刊17面
  •  『藤井コレクション 長谷川潾二郎展』(岡崎市美術博物館、2016年)

脚注[編集]

  1. ^ 「読書 満州浪漫 長谷川濬が見た夢」『朝日新聞』2012年11月11日付朝刊15面。
  2. ^ 鮎川 1985, pp. 19-20.
  3. ^ これは、1955年頃に地味井が記憶を頼りに再執筆したもので、地味井自身がそちらを決定版としたい意向を示したため、『幻影城』1975年5月号では予定していた「水色の目の女」の再録を取りやめ、替わりに「魔」を再録した。:『幻影城』1975年5月号、178頁より。
  4. ^ 鮎川 1985, p. 24.
  5. ^ 鮎川 1985, pp. 20, 25.
  6. ^ a b 地味井 1996.
  7. ^ 鮎川 1985, p. 22-24.
  8. ^ ミステリー文学資料館編 『幻の探偵雑誌 (2) 「探偵趣味」傑作選』 光文社光文社文庫〉、2000年4月20日、218頁。ISBN 4-334-72994-0 
  9. ^ 鮎川 1985, pp. 20-21.