鐵蛋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鐵蛋。鶏卵のゆで卵は比較用。

鐵蛋(ティエダン[1]拼音: tiědàn: iron egg)はを材料とする台湾料理[2]。名は「鉄の卵」を意味する。発祥の地である新北市淡水区の名物とされる[3]

鐵蛋を作り出したとされている黃張哖は、海に面した淡水の町で港湾労働者を相手に軽食屋を営んでいた[いつ?]。ある雨の日、黄の店では醤油味の煮卵(滷蛋)がなかなか売れず、何度も温め直さなければならなかった。汁から上げて乾いた卵を煮直すことを繰り返すうち、卵は縮んで黒くなり、味が深くなり噛み応えが出てきた。この卵は地元民から非常な好評を得た。黄はやがて店を開き、この食品に阿婆鐵蛋(おばあちゃんの鉄卵)と名付けて売り出した[4]。よく混同される皮蛋とは異なり、アヒルの卵ではなくニワトリ、ハト、ウズラの卵で作られる[5]。鐵蛋の人気は台北市を越え、アフリカや中東など台湾以外でも見られるようになった[5]

ゆで卵を香辛料とともに煮込んでは風で乾かすことを1週間にわたって繰り返し、小さく縮まったものが鐵蛋である[6]。完成したものは「オリーブの様につやつやと黒く」、噛み切れないほど固く、通常のゆで卵よりも味が深い。その味は「甘さがあってスパイスが香り、わずかな塩気もあり、卵のうま味が濃縮されていて…酒のつまみに最適」と評される[7]。メーカーによって唐辛子入り、ニンニク入りなど多くのフレーバーがある[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 古屋江美子 (2006年8月10日). “2/3 一度は食べたい! 世界の5大珍味”. All About. 2018年11月10日閲覧。
  2. ^ Taiwan Iron Eggs”. Fondue of Life. Blogspot (2011年4月15日). 2011年6月5日閲覧。
  3. ^ Taiwanese Iron Eggs”. Sku's Recent Eats. Blogspot (2010年9月23日). 2011年6月5日閲覧。
  4. ^ 林明峪 (1983) (中国語). 聯經. pp. 21–5 
  5. ^ a b c Newman, Jacqueline (2006). “Iron Eggs”. Flavor and Fortune (Institute for the Advancement of the Science and Art of Chinese Cuisine) 13 (1): 5, 8. http://www.flavorandfortune.com/dataaccess/article.php?ID=546. 
  6. ^ 旅々台北【淡水名物 鐵蛋の生家 阿婆鐵蛋】” (2012年2月8日). 2018年11月10日閲覧。
  7. ^ Smith, Charmian (2012年1月25日). “Dipping into the Taiwanese bowl”. Allied Press Limited. https://www.odt.co.nz/lifestyle/food-wine/dipping-taiwanese-bowl 2018年11月10日閲覧。 

外部リンク[編集]