鎮魂の賦

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鎮魂の賦」(ちんこんのふ)は、上田真樹合唱組曲である。詩は林望混声合唱版が先に発表され、のちに男声合唱にも編曲された。

概説[編集]

2007年(平成19年)の第18回朝日作曲賞応募作品として混声合唱版が作曲され、同賞を受賞した。選考では審査員5人中4人が賞に推す圧勝ぶりで、「への共感、それゆえの調性や響きの選択、構成の力など、よく練られ、考えられている。」[1]「多くの合唱団が喜びをもって歌うことのできる作品だ。」[1]との評を得た。それまで合唱の世界では全くの無名であった上田を、一躍人気作曲家に押し上げるきっかけとなった作品である。

林の連作詩『鎮魂十二頌』から5編を選んで作曲した。上田にはこれ以前に『鎮魂十二頌』全編に作曲した歌曲があるが、これを合唱に改作したものである。

曲を貫くテーマは無宗教レクイエムである。上田は作曲の数年前に親しい友人を亡くしていて、「誰か特定の人のためのレクイエムではなく、何か特定の宗教のためのレクイエムでもない。死を悼むレクイエムではなく、温かい気持ちで死者の魂と心を通わせられるようなレクイエム。すべての人がどこか懐かしく思えるような、無宗教レクイエム。そういう鎮魂曲を書いてみたい」[1]「日本人が日本語で歌えるレクイエムを書いてみたい、そんな風に思いながら作曲しました。」[2]「いざ五線紙と向き合うと、詩の一句一節に感情移入するところが多く、全体を客観視できなくなってしまう。遅々として筆は進まず、何度も行ったり来たりしながら、刻むようにして書き進めた。」[1]と上田は述べる。

2014年(平成26年)には慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の委嘱により[3]男声合唱にも編曲された。

曲目[編集]

全5曲からなる。

  1. 時の逝く
  2. 家居に
    混声版は平成20年度全日本合唱コンクール課題曲。ト長調。A-B-A'-コーダ三部形式。「亡くなった人が空の上から、大きな愛情につつまれて過ごした日々を懐かしんで歌う歌であり、あるいは、誰か大切な人を亡くした人が、その人との想い出を歌う歌であるかもしれません。」[2]
  3. 鎮魂の呪
  4. 死は安らかである
  5. 春の日

楽譜[編集]

混声版・男声版とも全音楽譜出版社から出版されている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 『ハーモニー』142号、p.71
  2. ^ a b 『ハーモニー』144号、p.57
  3. ^ 男声版出版譜の前書き

参考文献[編集]

  • 「第18回朝日作曲賞決定」『ハーモニー』142号(全日本合唱連盟、2007年)
  • 「名曲シリーズへのアプローチ」『ハーモニー』144号(全日本合唱連盟、2008年)