鎌倉アカデミア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
光明寺境内にある鎌倉アカデミア記念碑

鎌倉アカデミア(かまくらあかでみあ)は、第二次世界大戦終結後の1946年5月、鎌倉で開校した高等教育のための私立学校。財政難のため1950年9月、わずか4年半で廃校となったが、映画演劇界などに多くの人材を輩出した。

歴史[編集]

敗戦直後、鎌倉在住の画家や演劇家らが設立した「鎌倉文化会」が、「自分の頭で考える人間づくりが必要」という趣旨で母体となり、地元町会長らの協力を得て開校した。大学設立を目指したものの、資産や運営資金の不足から専門学校として申請された。開校当初は「鎌倉大学校」と称したが、大学ではないとして、鎌倉アカデミアに改名した[1]

戦火を免れた材木座の光明寺を仮の校舎としてスタートし、後に横浜市栄区小菅ヶ谷の旧日本海軍燃料廠跡に移転(当時は大船駅が最寄り駅だったため通称「大船」校舎と呼ばれる)[2]。設立時の理事会が総退陣したあと、二代目の校長に就任したのが、哲学者の三枝博音だった。庫裡の入口には三枝校長自らがギリシャ語で刻んだ「幾何学を学ばざる者、この門に入るべからず」というプラトンの額が掲げられ、服部之総西郷信綱長田秀雄千田是也村山知義吉野秀雄高見順三上次男青江舜二郎中村光夫林達夫吉田健一野田高梧三浦光雄邦正美藤間勘十郎などが教鞭をとった。学科は、文学科、産業科、演劇科、映画科の四学科編成だった。しかし、創立時からの資金難に加え、自治体や企業からの援助も得られず、わずか4年半しか存続できなかった。教授陣は最後の1年以上は無給で講義に当たり、また140人の学生の半数は学費を納めていなかったと伝えられる。

開学時に入校した加藤茂雄の回想によると、同級生は20歳代も含めて30人ほど。男女共学で、女性も6人ほどいた。東京からも入学者がおり、延べ約500人が巣立った[3]。在学生の総数については600~800人ともいわれる。教授陣と学生は講義中だけでなく、鎌倉駅への帰路や列車の車中、さらに教授の自宅でも熱心に語り合ったという[4]

1996年、創立50年を記念して光明寺の一角に記念碑が建立。また2006年5月13日には、創立60周年記念祭が同じく光明寺の本堂にて行なわれた。創立70周年の2017年6月4日にも、光明寺で再現授業や講演会、演劇などの記念行事が実施された。

証言[編集]

鎌倉アカデミアはいかにして生まれ、いかにして挫折し、そしてその精神は、現在どのように生き続けているのか?を20人におよぶ関係者の証言と再現映像、歴史的資料などで再構成しようとする映画が製作された。タイトルは『鎌倉アカデミア 青の時代』。2017年5月20日公開[5]。『火星のわが家』『影たちの祭り』などで知られる大嶋拓が監督。彼は鎌倉アカデミア存続のため、最後まで三枝博音校長とともに金策に奔走した演劇科教授、青江舜二郎の長男である。映像に登場しているのは、鈴木清順岩内克己勝田久加藤茂雄川久保潔若林一郎など。2016年の日本作品で、119分。

著名な出身者[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ “【神奈川の記憶】(25)鎌倉アカデミア 創立70周年”. 『朝日新聞』朝刊(神奈川面). (2016年5月29日). http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20160530150280001.html 
  2. ^ 島田修一2011は横浜市戸塚に移ったとしている。
  3. ^ 加藤茂雄:永遠なれ 鎌倉アカデミア◇戦後4年半で廃校となった「幻の大学」の歴史たどる◇『日本経済新聞』朝刊2017年6月20日(文化面)
  4. ^ “【神奈川の記憶】(25)鎌倉アカデミア 創立70周年”. 『朝日新聞』朝刊(神奈川面). (2016年5月29日). http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20160530150280001.html 
  5. ^ 公式サイト http://kamakura-ac.blue/

参考文献[編集]

  • 山口瞳 『小説・吉野秀雄先生』 文藝春秋1969年ASIN B000J983GU
  • 前川清治 『鎌倉アカデミア 三枝博音と若きかもめたち』 サイマル出版会、1994年8月ISBN 4377410180
  • 前川清治 『三枝博音と鎌倉アカデミア 学問と教育の理想を求めて』 中公新書、1996年5月ISBN 4121013026
  • 廣澤榮 『わが青春の鎌倉アカデミア 戦後教育の一原点』 岩波書店〈同時代ライブラリー〉、1996年5月ISBN 4002602664
  • 島田修一「鎌倉アカデミア」、『新版教育小事典第3版』、学陽書房2011年4月、 58頁、 ISBN 978-4313610330

外部リンク[編集]

関連項目[編集]