薄焼き卵

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薄焼き卵(うすやきたまご)は、鶏卵を溶きほぐし、薄く延ばして焼いた料理である。

薄焼き卵を細く切った錦糸卵(きんしたまご)についても本稿で述べる。

概要[編集]

薄焼き卵は鶏卵をなめらかにといてから、フライパンなどの調理器具に薄く広げ、焦げないように両面を焼き上げた玉子料理である。

材料[編集]

卵(目安としては、L玉1個で直径20cmほどのものが1枚焼ける)、サラダ油適量

作り方[編集]

  1. 卵を割り、卵白を切るようにしてよく溶く。裏漉しすると均等でなめらかな生地になり、焼きやすくなる。
  2. フライパンを熱して油をよくなじませる。油が多すぎると卵がぶくぶくと膨れ上がってしまうので、余分な油は拭き取る。
  3. 卵液を1枚に必要な分量流し込む。直に強火を当てるとすぐに焦げてしまうため、ごく弱火で焼く、フライパンを火から浮かせてあぶるようにする、または火を切って余熱で焼くなどの工夫が必要。
  4. 卵の端が乾いてきたら、破らないように気を付けながらひっくり返す。ある程度火が通らないとフライパンからはがすことができないが、火が通りすぎるとぱさぱさで食感が悪いことこの上ないので、慎重にタイミングを見極める必要がある。
  5. 裏面を軽く焼いて完成。

薄焼き卵を用いる料理[編集]

寿司[編集]

寿司飯を薄焼き卵で包んだものは「袱紗寿司(ふくさずし)」と呼ばれる。また、巻き寿司海苔代わりに使われることもある。千葉県郷土料理太巻き祭り寿司は薄焼き卵で巻かれることが多い。農家にとって海苔は貴重で入手し難く、飼っているニワトリの産んだ卵を使ったのである[1]

薄焼き卵で関西風五目ちらし寿司の飯を包んで端をかんぴょうで縛った物は「茶巾寿司」と呼ばれる。京樽の定番メニューのひとつ。

江戸前寿司にもかつては柏づけ(柏餅のように薄焼き卵で寿司飯を包むもの)と呼ばれる寿司があったが、現在ではごくわずかな店の品書きに名を遺すのみである[2]

名古屋めし[編集]

名古屋市近辺で独自の発展を遂げた、名古屋めしと呼ばれる料理の特色のひとつに薄焼き卵の使用があり、イタリアンスパゲッティソース焼きそばの下敷きにする例がみられる。

錦糸卵[編集]

ちらし寿司の具として
冷やし中華の具として

薄焼き卵を細切りにしたものが錦糸卵である。文字どおりの糸のように明るい色彩を持つことからこの名がある。

錦糸卵の作り方[編集]

薄焼き卵の作り方参照。よく冷まして落ち着かせてから、細切りにする。

錦糸卵を用いる料理[編集]

鮮やかな色合いがポイントの料理(ちらし寿司や冷やし中華など)には欠かせない。その他にそうめんの具にも用いる場合がある。関西にあっては、アナゴ鶏肉とともに丼飯の表面に敷き詰めた「錦糸丼」が饗される[3]

既製品[編集]

現在は食品会社などから「錦糸卵シート」と称する切る前の薄焼き卵や、切った上でパック詰めにしたものが売られており、外食産業でも広く利用されている。これは電子レンジに使うマイクロ・ウェーブにより調理・乾燥されたもので、非常に薄く、まさに糸のように出来上がっている。しかし均等に加熱されていることで、食感はぼそぼそして味つけも画一的に感じられ、これを好まない者もいる。

脚注[編集]

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  1. ^ 龍崎 英子 『母と子の楽しい太巻き祭りずし作り方教室』東京書店、2009年、ISBN 978-4-88574-976-6、124頁、
  2. ^ 鮨こだわりサイト鮨ネタの紹介
  3. ^ どんぶり探偵団・編『ベストオブ丼』132頁、165頁・文春文庫