銀座7丁目劇場
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銀座7丁目劇場(ぎんざななちょうめげきじょう)は、かつて東京都中央区銀座七丁目にあった、吉本興業が運営していた劇場。吉本の東京進出の拠点となり、極楽とんぼ、ロンドンブーツ1号2号、ペナルティ、DonDokoDon、品川庄司を輩出した。
概要[編集]
東芝銀座セブンビル内に1994年3月27日開場。開館以前は、東芝のショールームやラジオ番組などの公開録音、晩年はアイドルイベントなどの会場としても使われていた『東芝銀座セブン』(1993年閉場)であり、その跡に設けられた。略称は「銀7」。
オープン前のチラシデザインは漫画家の赤塚不二夫が担当した。小さな東京タワーを抱えたイメージキャラ「スリスリおじさん」と「本当は東京、好きなんですわ」というキャッチコピーが描かれた物だった[1]。
初代支配人は、極楽とんぼのマネージャーをしていたことがある森田耕司が務めた[2][3]。
開館当初は大阪で爆発的人気を得ていた吉本印天然素材やその弟分グループフルーツ大統領、心斎橋筋2丁目劇場のメンバーが出演、1994年にテレビ東京で放送されていた『銀BURA天国』も、この劇場から平日の毎日生放送され[4]、また、当時ニッポン放送では、この劇場名に因んだタイトルの『ラジオ7丁目劇場』が『オールナイトニッポン』内などで放送されていた。その後、徐々に極楽とんぼやココリコなどの東京勢に比重が置かれるようになっていった。1995年以降は東京NSC出身者も加わり、徐々に人気が出てきた。
大阪で礼儀作法を十分に学んできた「天然素材メンバー」や「2丁目メンバー」が初期のうちに抜け、東京組が劇場を取り仕切るようになった時を回顧して、加藤浩次は「無法地帯」、田村淳は「学校みたいだった」と当時を振り返っている。極楽とんぼを筆頭に天然素材メンバーや関西勢に口を聞くなと耳打ちしていた時期もあった。
同年にテレビ静岡がオープンしたメディアシティ静岡内の「百人劇場」に「吉本・伝馬町劇場」[5]として銀座7丁目劇場の一部メンバー(チュパチャップス、ココリコ、DonDokoDonなど)が出張していたほか、『吉本・伝馬町劇場 生だ! SHIZUOKA金ゴロー』が生放送されていた。これをきっかけにDonDokoDonやペナルティがテレビ静岡で番組レギュラーを持った。
1999年閉館。この翌年の2000年に東芝銀座セブンビルは建て替えられ、現在はZARAの店舗などが入るビルとなっている。
銀座7丁目劇場と渋谷公園通り劇場が相次いで閉館になった事で、2001年のルミネtheよしもとの開館までの間東京吉本の若手芸人たちはホームグラウンドといえる舞台を失う事となり、先行して売れた芸人は番組出演やビルの会議室を借りてのイベントでネタ披露を行い、そんな金がない超若手芸人は路上でライブを行うなど苦難の日々を送った。スピードワゴンのようにこの時期に吉本に見切りをつけ、他の事務所に移った者もいる。
ロンドンブーツ1号2号やペナルティなど7丁目劇場出身者からは思い入れの強い劇場である。その反面雨上がり決死隊やナインティナインなどの天然素材メンバーからは天然素材ブームからの強制的な東京進出と強引な劇場出演により、後にナインティナインからは「失敗した劇場」と揶揄されており、それぞれの7丁目劇場の印象は180度違うものとなっている。
2012年4月8日に行われるリニューアルしたなんばグランド花月「吉本興業創業100周年特別公演」にて、加藤浩次、ココリコ、ロンドンブーツ1号2号、ペナルティ、品川庄司の「銀7メンバー」が集結、出演している。
お笑い虎の穴TOKYO[編集]
銀座7丁目劇場には、看板芸人の発掘を目的としたbaseよしもとや5upよしもとのシステムに近い所属芸人のピラミッド構造のランク分けシステムが存在した。これを「お笑い虎の穴TOKYO」と呼び、トップに位置する「GOVERMENT ISSUE」とその予備軍候補の、ネタを披露できる時間が異なる「1分組」「2分組」「3分組」とネタ時間5分の「私服組」にランク分けされていた。いずれも毎週行われるオーディション形式のライブでの観客と審査員による投票でランクが決められるようになっており、1人あたり0〜3点の点数をつける(観客と審査員計150人の場合は450点満点となる)。1〜3分組は公平のために衣装は黒一色のみと規定され、「黒服組」と総称されていた。ランク上位への昇格条件は以下の通りである。
- 1分組:150点以上獲得で上位へ
- 2分組:225点以上獲得で上位へ
- 3分組:188点以上を3ヶ月間(10回)キープで上位へ
なお、劇場開設当時のGOVERMENT ISSUEのメンバーは極楽とんぼ、夏生、ロンドンブーツ1号2号、ペナルティ、桧・友野、はりけ〜んず、インパクト、ツインカム、ココリコ、DonDokoDon、チョコチップの11組であった。
過去に出演していた代表的な芸人[編集]
- 吉本印天然素材
- シェイクダウン(解散。後藤はピンで活動するも後に引退、久馬は『お〜い!久馬』の名でザ・プラン9で活動中)
- スミス夫人(解散。松村は引退、灘儀は『なだぎ武』の名でザ・プラン9のメンバーに(後に脱退))
- 杉岡みどり
- 海原やすよ・ともこ
- 中川家
- LaLaLa(解散。田村は『たむらけんじ』の芸名でピン芸人として活動中)
- ハリガネロック(2014年3月22日のライブを最後に解散。ユウキロックは節電やプロレスなどのオタクタレント及び芸人の講師・演芸インストラクターに転身、大上は司会業や子供向けの朗読業に転身)
- 極楽とんぼ
- インパクト(解散。高野は引退、増本・石原は裏方で活動中)
- 本田みずほ
- はりけ〜んず
- 友野英俊
- 桧博明
- ツインカム(解散。森永は引退、島根はピンで活動中)
- ココリコ
- ロンドンブーツ1号2号
- DonDokoDon(平畠・山口は個々に活動し実質ピン芸人状態だが、コンビ自体は解散していない)
- ペナルティ
- チープスープ(解散。メンバーの成島敏晴は俳優として活動中、衛藤幸生はjealkbのリーダー、elsaとして活動中)
- なかよし(解散。坂本は妻とコンビを組んだ後に引退、熊本は俳優で活動中)
- ウルグアイパラグアイ(『じゃぴょん』に改名後解散。 植村は引退、桑折はピンで活動中)
- ピンポイント(解散。高瀬は引退。五十嵐はラーメン屋を開業、後に閉店。)
- ダブルモッシュ(『Hi-Hi』に改名し別事務所で活動中)
- 山崎圭介(現・ハローケイスケ)
- シベリア文太
- モリマン
- ダイノジ
- まちゃまちゃ
- ガレッジセール
- 品川庄司
- チャイルドマシーン(解散。山本は現在はピン芸人として活動、樅野は放送作家として活動中)
- フルーツ大統領
- マグニチュード(解散。メンバーの井戸田潤は元『バツイチ』『メトロイド』の小沢一敬と『スピードワゴン』を結成し別事務所で活動中)
- 幹てつや
- ハローバイバイ(解散。関はピン芸人として活動中、金成は元ガラクタパンチ菊池と『ギンナナ』を結成し活動後、『千葉公平』に改名し、吉本新喜劇で活動)
- Bコース(解散。ナベ・タケト・ハブそれぞれピンで活動中)
- トーメン団地(現:『ニブンノゴ!』)
- カラテカ
- カリカ(解散。林は引退、家城は『マンボウやしろ』の芸名でピンで活動中)
- サカイスト
- ガラクタパンチ(解散。菊池は元ハローバイバイの金成と『ギンナナ』を結成し活動後、ハワイに移住)
- 佐久間一行
- トータルテンボス
- インパルス
- 森三中
- ロバート
- 金星ゴールドスターズ(解散。ハンバーグは引退、宮崎は『椿鬼奴』の芸名でピン芸人として活動中)
- POISON GIRL BAND
- コンマニセンチ(解散。両者ともピン芸人として活動中)
- アホマイルド(解散)
他多数。
脚注[編集]
- ^ 木村政雄の私的ヒストリー|木村政雄の事務所
- ^ 極楽とんぼ・加藤浩次、女子高生に生意気な発言をされて取った衝撃の行動 ABEMA TIMES 2018年10月29日放送『極楽とんぼKAKERUTV』
- ^ 吉本新喜劇からの打診…現れたのはカタギに見えないプロデューサー西日本新聞ニュース 放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(57) 2019年8月23日
- ^ 生放送されていたのは1994年の4月から9月まで。それ以降1995年3月までは別企画で収録の番組となっていた。
- ^ 静岡県内における常設の劇場としては沼津ラクーンよしもと劇場が初となる。