鉄拳 (ゲーム)

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鉄拳
ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 SYSTEM11(AC)
PlayStation(PS)
PlayStation 2(PS2)
ゲームアーカイブス(GA)
開発元 ナムコ
発売元 ナムコ
デザイナー 石井精一
シリーズ 鉄拳シリーズ
人数 1人 - 2人(対戦)
メディア PS版…CD-ROM
発売日 AC版…1994年12月
PS版…1995年3月31日
PS2版…2005年7月21日
GA版…2011年7月6日
その他 メモリーカード対応、CDプレーヤーを使って再生すると音楽CDとして聴けることがある。
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鉄拳』(てっけん、Tekken)は、1994年にナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)から稼働された対戦格闘ゲームである。鉄拳シリーズの第1作目。

製品[編集]

特徴[編集]

ナムコ初の3D格闘ゲームで、この同時期に発売された当時最新の家庭用ゲーム機PlayStationの互換基板でありそのゲーム機の開発・発売元であるソニーコンピュータエンタテイメントと共同開発した新基板SYSTEM11の第一弾タイトルでもある。

3D格闘ゲームの先駆けとなったセガ(後のセガゲームス並びにセガ・インタラクティブ)の『バーチャファイター』シリーズ(リリース当時は『バーチャファイター2』)が爆発的に普及する中で第1作目はリリースされた。四肢に対応させた4つの打撃ボタンや10連コンボ等の独特のシステム、そしてロボットや猛獣、格闘漫画の登場人物やアクション映画俳優のパロディキャラなどが入り乱れる個性的なプレイヤーキャラクターたちは、バーチャファイターシリーズが持つ雰囲気とは大きく一線を画していた。特に漫画チックなデフォルメの強いキャラクターデザインが特徴として押し出されていたこともあり、当初は色モノ扱いされていたゲームだった。

プレイヤーキャラクターは8名。各キャラクターのサイドストーリーに関係する中ボスキャラクターおよび最終ステージのボスキャラクター・三島平八は、先行のアーケード版ではCPUキャラクターとしての登場のみで、PlayStation版で初めて使用可能となった。

なお、PlayStation 2用ソフトの『鉄拳5』にはアーケード版が、『ナムコレクション』にはPlayStation版が完全移植されている。

PlayStation版[編集]

PlayStation本体発売のおよそ4ヶ月後に発売された。それまで同機の3D格闘ゲームとしてタカラ(後のタカラトミー)の『闘神伝』が発売されていたが、フルフレーム(60fps)描画の3D格闘ゲームは本作が初となった。内容はステージ地面のテクスチャーが多少粗くなった以外は概ねアーケード版と遜色ない移植度となっている。

アーケード版と比べて、以下の追加・変更要素がある。

  • ソフト起動時にミニゲームとして『ギャラガ』のチャレンジングステージが遊べる。特定の条件でクリアすると、アーケード版で隠しキャラクターだったデビルカズヤが使用可能になる。
  • ロングバージョンのオープニングムービーの追加、および各キャラクターをクリアした際のエンディングムービーの追加(デフォルトキャラクターのみ)。ミシェールのエンディングムービーには最後に "-Fin-" 、吉光のエンディングムービーには最後に "THE END"の文字が入っている。
  • アーケード版ではCPU専用だった8人の中ボスと最終ボスの平八に新技を追加した上で、一定の条件下でプレイヤーキャラクターとして使用できるようになった。中ボスは対応キャラクターでアーケードモードをクリア(コンティニュー可)することでその対応する中ボスが、最終ボスの平八はコンティニューなしでアーケードモードをクリアすることで使用可能になる。
  • 一部キャラクター(ロウ、キング、巌竜)のコスチュームの変更、中ボス・最終ボスの2Pコスチュームの追加。
  • アレンジバージョンのBGMの追加。アーケード版のオリジナルBGMも収録されており、オプションで切り替えが可能(デフォルトではアレンジが選択されている)。
  • アーケード版からあったデモムービーのBGMが変更(前述のオプションでのBGM切り替えでアレンジとオリジナルどちらを選択しても、このデモムービーのみ新規BGMが流れる)。
  • デモ画面の一つにあるnamcoロゴのアニメーションのSEが削除された。
  • ヒットマークを赤から緑に変更。隠しコマンドでアーケード版と同じ赤にすることも可能。
  • プレイヤーキャラクターを選択したときのアニメーションとリングコールがカットされた。

PlayStation版では平八を選択してスタートした場合に限り、ステージ1 - 8の対戦相手が全て中ボスになり、ステージ9の最終ボスがデビルカズヤになる(このデビルカズヤを倒しても、デビルカズヤは使用可能にはならない)。

ストーリー[編集]

世界有数の財閥である三島財閥の頭首・三島平八が主催する格闘技大会「The king of iron fist tournament」。優勝者には三島財閥頭首の座と財産の全てが贈られる。この呼び掛けに応じ、世界中から様々な格闘家たちが参戦に訪れた。ある者は名声のため、ある者は復讐のため、ある者は己の野望を実現するため…

優勝は平八の息子・三島一八。彼は平八の亡骸を崖より投げ捨て、満面の笑みを浮かべるのであった…

登場人物[編集]

デフォルトキャラクター

  • 日本の旗三島一八(みしま かずや)
三島流喧嘩空手の使い手であり、本作の主人公。幼少時に実父で大会主催者の平八に崖から落とされたのを機に憎んでおり、彼を倒して財閥頭首の座を奪う為に参加。
  • アメリカ合衆国の旗ポール・フェニックス
奇抜なヘアスタイルと赤い道着が特徴のアメリカ人武道家。武者修行と強い相手と戦うことを何よりの喜びとしており、優勝して最強であることを示す為に参加。かつて一八と対決して引き分けた過去を持つ。
  • アメリカ合衆国の旗マーシャル・ロウ
カンフーを基調としたマーシャルアーツの使い手であり、中華料理店を経営している。優勝賞金で道場を開く為、大会に参加。PS版ではパンチボタンで決定した際のコスチュームデザインが異なる。
  • アイルランドの旗ニーナ・ウィリアムズ
アイルランド出身の女性アサシン。暗殺者である実父から学んだ骨法や関節技、母親から護身術として学んだ合気道をベースとした暗殺術を得意とする。大会主催者である平八を抹殺する為に参加。当時の一部書籍では「アサシンでありながら、人を傷付けたり殺めたりすることに躊躇いがある」という設定が存在していた。
  • メキシコの旗キング
ジャガーのマスクが特徴の覆面レスラー。幼少期から実の両親がいない孤児で、若い頃は非行に走っていたが、そんな自分に手を差し伸べて世話をしてくれた慈善家であり牧師の人柄により改心。そしてそんな経験があったが為に孤児院で身寄りのない子供たちの世話をしており、かつての自分みたいな孤児達を救うために孤児院運営に必要な資金を得る為、大会に参加。PS版ではキックボタンで決定した際のコスチュームカラーがアーケード版と異なる。
  • ロシアの旗ジャック
ロシアで開発された軍事用ロボット。一八のクーデター計画を察知したロシア軍により、一八を抹殺する為に送り込まれた。普段はスクラップ工場で働いている。ロボットということもあってか、彼(と彼の中ボスの同じくロボットであるプロトタイプ・ジャック)のみ、技を出したりなどの各動作のSEが重い機械を意識したようなものとなっている。
  • 吉光(よしみつ)
義賊団体「卍党」の首領。後のシリーズでは人外じみた奇抜な外見になるのが特徴だが、本作では般若面に白い鎧という出で立ちとなっており、まだ普通の人間(常人)に近い。自身が囮となって大会に参加している間に、手下の仲間達に三島財閥が不当な行為の数々で得てきた莫大な金を奪い出させる為に参加。PS版のエンディングではその手下の仲間達も一部登場。
  • アメリカ合衆国の旗ミシェール・チャン
ネイティブアメリカンの母親と中国人の男性との間に生まれた女性。父親を平八の手の者によって殺害された過去があり、父親の仇討ちのために参加。首から肌身離さずかけているペンダントは父親の形見であり、その実体は平八が狙っていたネイティブアメリカンの古代財宝の在り処を示す手掛かりである。

最終ボス(アーケード版では使用不可)

  • 日本の旗三島平八(みしま へいはち)
奇抜なヘアスタイルが特徴の三島財閥党首で、本大会の主催者。軍需産業を主事業とする財閥の頭首ということもあり、優秀な兵士になり得る屈強な格闘家達を集めて部下にする為に今大会を開催した。アーケード版とPS版とで、キャラクター選択画面のグラフィックが異なる。ちなみに、ボイスはジャックの流用である。

中ボスキャラクター(アーケード版では使用不可)

  • 日本の旗李超狼(リー・チャオラン)
銀髪が特徴の美形の男性。平八に養子として育てられ、その際に一八と出会ったことでライバル視する。
  • クマ
平八のペットで、ボディーガードや修行相手をも務める。本来の熊と同様に鮭に加えて人肉も好物。しかし平八からの教育もあってか、人間の言葉は理解できる。平八から三島流喧嘩空手を教わったという設定だが、使う技は全く異なる(ジャックと似たような技を多く使う)。
  • 中華人民共和国の旗王椋雷(ワン・ジンレイ)
心意六合拳の達人。平八の父で三島財閥創始者でもある三島 仁八(みしま じんぱち)とは親友である。故に仁八と袂を分けた平八のことを快く思っていない。
  • アイルランドの旗アンナ・ウィリアムズ
ニーナの妹で、赤いチャイナドレスが特徴。姉と同様に暗殺術を幼い頃から叩き込まれてきたが、一方で姉が父に溺愛されていたのに対し自身は蔑ろにされ続けており、結果姉に憎しみを抱き、その憎しみはやがて殺意に。姉のニーナを殺すために参加。
  • 不明の旗アーマーキング
ブラックジャガーのマスクと銀色の鎧が特徴の悪役レスラー。キングがルーキーだった頃からのライバルだが、不慮の事故で片眼を失ったことでキングを憎む(その片目には今は赤い義眼が埋め込まれている)。大会にはキングを倒すために参加。
  • ロシアの旗プロトタイプ・ジャック
ロシア軍が開発したジャックの試作型。ジャックに対する嫌がらせとして平八が送り込んだ。外見は試作品らしくメカ剥き出しで右手がドリルとなっているなど、外部装甲が換装された『2』以降のものとは大幅に異なる。
  • 日本の旗巌竜(がんりゅう)
歴代最年少で大関に昇進などの実力派力士であったが、一方で素行が日常的に悪く、土俵上で奇行を行ったことで角界から追放され裏社会に。現在では三島財閥との繋がりもあり、その関係か財閥の莫大な金を狙う吉光をマークするように指示を受けて大会に参加。また、前述のように奇行を繰り返してきた本来の性格もあってか、でかいことを大会で披露したいという目的も。
  • 州光(くにみつ)
元卍党の忍者。かつては吉光の手下の一人であったが、卍党で御法度とされていた私利私欲による窃盗を行ったことで吉光により破門された。しかしその後も改心することなく日常的に私利私欲による様々な悪事を行う。平八が狙い、ミシェールが手掛かりを持つネイティブアメリカンの財宝に関する情報を得る為、大会に参加。武器を持っているが、ガード不能技を一切持っていない。

最終ボス(平八使用時)(アーケード版では低確率で使用可能)

  • 日本の旗デビルカズヤ

開発の経緯[編集]

鉄拳を開発するにあたり、それまで3D格闘ゲームのノウハウの全くなかったナムコは、まずは基礎研究・技術養育・社内プレゼンを目的としてSYSTEM22で『神威』(カムイ)[1]という試作品を作成した。そのゲームは一応、『鉄拳』の原型は示していたものの、まだ『鉄拳』の象徴となる「四股に対応した攻撃ボタン」は実装されておらず、単純に小パンチ・大パンチ・小キック・大キックボタンだった[2]

その後、いよいよ製品開発にまで話は進んだが、SYSTEM22で作ったのでは価格が跳ね上がり、同じ3D格闘ゲームであるセガのMODEL2で作成された『バーチャファイター2』と競合負けするのが目に見えていた。どうしたものかと考えていたところ、当時のSCE開発部長だった久夛良木健よりPlayStation用の新チップとPlayStation構想の話が持ちかけられる。このチップを使った新基板で開発すれば、コストが格段に抑えられ『バーチャファイター2』との競合も避けられる。かくして「表通りのゲームセンターの正面には高価な『バーチャファイター2』を、裏通りの店の奥には廉価な鉄拳を」のコンセプトで鉄拳の制作が開始された[3]

本作はセガで『バーチャファイター』の開発に携わった石井精一ら一部のスタッフがナムコに移籍し、開発に参加、後にドリームファクトリーを設立している[4][5]

『神威』も『鉄拳』もタイトルが漢字二文字なのは、「とりあえず漢字二文字のタイトルならインパクトが出るだろ」というメーカー側の意図である[2]

備考[編集]

1984年MSX用ソフト『パックマン』を皮切りに1995年まで、当時のナムコはコンシューマーゲームパソコン・家庭用ビデオゲーム機)用ソフトのブランドとして「ナムコットnamcot)」を使用していた。本作のPlayStation版発売を最後に、10月20日発売のゲームギア用ソフト『ギアスタジアム平成版』を除き、原則「namco」ブランドに切り替えた。

吉光は「海外市場向けに変な格好の忍者を出したい」という考えから後から追加されたキャラクターで、元々の8人目のプレイヤーキャラクターはワンだった。しかし吉光のデザインやキャラクター性がなかなか纏まらずに、発売前のAMショーにも実装が間に合わなかったため、AMショーでは吉光の代わりにワンがプレイヤーキャラクターとして紹介された(イメージボードのみ)。

巌竜はアーケード版でも元々は廻しを締めていたが、角度によって廻しのポリゴン欠けがちらちら発生して卑猥に見えたため海パンに改められた[要出典]。その後のPlayStation版では、ある程度ポリゴン欠けが改修されたので廻しに戻されている。元々はプレイヤーが使用できるキャラクターだった。

アーケード版のキャラクターセレクト画面で「?」の回転で表示されている「Wild Card」は、通常選択することはできないが、プログラム内部ではキャラクタースロットを持っており、ROMをクラッキングして無理矢理選択させると、キャラクター名には「WILD CARD」と表示されてカズヤの外見で吉光のモーションになる。同様にクラッキングで中ボスや平八も使用キャラクターにできるが、技の種類がPlayStation版より少ない上に2Pコスチュームがないので、同キャラクター対戦だと同じコスチュームになる。

アーケード版では通常、中ボスや平八をキャラクター選択画面で見ることはないが、基板の設定が「コンティニュー時にキャラクターの選択が可能」になっていれば、中ボスもしくは平八でゲームオーバーになり、コンティニューをした際にキャラクター選択画面の対戦相手側に表示される。

初期の海外のゲーム雑誌では「RAVE WAR」というタイトルで紹介されていた。アーケード版リッジレーサーの自車に「RAVE WAR」のマーキングがあるのに名残が見られる。また、関連性は不明だが同社ナムコが1992年にアーケードで発売したシューティングゲーム『F/A』のBGMにも、「Rave War」と言うタイトルの楽曲がある。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 『他に製作秘話で言えば、雑誌でも言いましたが「鉄拳」というタイトルは開発当初「カムイ」でした』 @Harada_TEKKEN
  2. ^ a b ゲーメストムック 鉄拳 完全解析マニュアル』 ナムコ鉄拳インタビュー 『鉄言』
  3. ^ ハイパープレイステーション』 Vol.2 『鉄拳』を徹底解剖する
  4. ^ ビデオゲームの語り部たち 第2部:「バーチャファイター」のプロトタイプに込められた石井精一氏の人生
  5. ^ バーチャファイター20周年記念特設サイト -セガ-

外部リンク[編集]