釧網本線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
JR logo (hokkaido).svg 釧網本線
塘路駅付近を走るキハ54形気動車(サルルン展望台から撮影、2009年9月23日)
塘路駅付近を走るキハ54形気動車
(サルルン展望台から撮影、2009年9月23日)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 北海道
種類 普通鉄道在来線地方交通線
起点 網走駅
終点 東釧路駅
駅数 旅客駅:27駅
貨物駅:0駅
信号場:0か所
路線記号 A(網走駅)
B(桂台 - 東釧路間)
路線記号については当該記事も参照
開業 1924年11月15日網走本線
1927年9月15日(釧網線)
全通 1931年9月20日
民営化 1987年4月1日
所有者 JR logo (hokkaido).svg 北海道旅客鉄道(JR北海道)
運営者 JR logo (hokkaido).svg 北海道旅客鉄道(JR北海道)
(全線 第一種鉄道事業者
車両基地 釧路運輸車両所
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 166.2 km
軌間 1,067 mm狭軌
線路数 全線単線
電化方式 全線非電化
最大勾配 25
最小曲線半径 300 m
閉塞方式 特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
保安装置 ATS-SN
最高速度 80 km/h
路線図
JR Senmo Main Line linemap.svg
テンプレートを表示
浜小清水駅に停車中のキハ54形気動車
(フレトイ展望台から撮影)

釧網本線(せんもうほんせん)は、北海道網走市網走駅釧路市東釧路駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線地方交通線)である。1989年(平成元年)4月に標津線が廃止されてからは、現存する地方交通線の中で日本最東端にあたる。

国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』やJR線路名称公告では東釧路駅が起点とされているが[1]、列車運行上は網走から釧路に向かう列車が下りとなっている[2]。本項では網走駅を起点として記述する。

路線データ[編集]

運行形態[編集]

釧路方の起終点は東釧路駅であるが[1]、全列車が根室本線に直通し釧路駅に発着する[6]

国鉄時代は急行「しれとこ」などの優等列車が運行されていたが、急行「しれとこ」が廃止された1986年11月1日以降、定期列車は普通列車と1989年5月1日運転開始の快速しれとこ」のみが運転されており[7]、このほか各区間で臨時列車が運行される。臨時列車以外はすべてワンマン運転が行われる。

網走駅 - 緑駅間[編集]

オホーツク管内となる当該区間は、全線直通列車のほかに網走駅 - 知床斜里駅間に下り2本・上り1本、網走駅 - 緑駅間に上り1本の区間列車が設定されている。このうち下り1本、上り2本が石北本線と直通する。朝6時台の緑発網走行きの車両滞泊駅は知床斜里駅で、知床斜里駅から緑駅まで回送されて運行される。下り4729Dの知床斜里までと、上り4724D ( - 4656D)が2両編成、その他は単行(1両編成)である。

冬季には「流氷ノロッコ号」が網走駅 - 知床斜里駅間で運行されている。2007年2008年には藻琴駅 - 浜小清水駅間においてデュアル・モード・ビークル(DMV)の試験的営業運行が行われ、片道は軌道、片道は道路を通る循環ルートで運行された。2011年7月2日・3日には北見駅 - 網走駅 - 知床斜里駅間で「SLオホーツク号」を運行。この区間では36年振りの蒸気機関車走行となった[8][9]

緑駅 - 川湯温泉駅間[編集]

支庁界で野上峠越えとなる当該区間は全線直通の5往復のみとなる。急勾配 (25 )・急曲線(最急曲線は半径300 m)・多雪区間であるため、基本的にキハ54形が単行で限定運用され、ダイヤもキハ54形の性能に沿って設定されている。

4月下旬(2010年までは5月1日)から10月31日までと12月1日から3月31日までは、緑駅 - 摩周駅間に臨時列車が設定され、網走駅 - 緑駅間と摩周駅 - 釧路駅間の両区間列車をつなぐ形で網走駅 - 釧路駅間全線を運行していた。この列車には摩周(釧路)発は2010年の運行より[10]、緑(網走)発は2011年7月1日より[11]「摩周&川湯温泉足湯めぐり号」の愛称が命名された。摩周駅と川湯温泉駅の停車時間に足湯が利用できるほか、周辺施設で利用できる割引クーポンが配布される。冬期の運行は2011年より開始されており、摩周(釧路)発の一部期間は運行時刻を変更の上で愛称が付されない[12]。この網走駅 - 緑駅間と摩周駅 - 釧路駅間の区間列車は緑駅 - 摩周駅間の臨時運転区間を含め、2016年3月26日のダイヤ改正で網走駅 - 釧路駅間を通年で直通する列車となった[13]

川湯温泉駅 - 釧路駅間[編集]

釧路管内となる当該区間は、全線直通列車のほかに川湯温泉駅 - 釧路駅間に下り1本、摩周駅 - 釧路駅間に下り1本、上り2本の区間列車が設定されている。この区間の車両滞泊駅は摩周駅で、朝6時台の川湯温泉発の列車は摩周駅から回送されて運行される。なお、摩周駅では釧網本線の運行管理を行っている。

臨時列車がほぼ通年に渡って設定されており、「くしろ湿原ノロッコ号」が(川湯温泉駅 - )塘路駅 - 釧路駅間で、「SL冬の湿原号」が(川湯温泉駅 - )標茶駅 - 釧路駅間で運転されている。

輸送密度[編集]

  • 2012年度 472人[14]
  • 2013年度 485人[14]

使用車両[編集]

キハ54形気動車
快速「しれとこ」を始めとした大半の列車で使用され、石北本線直通列車でも運用される。釧路運輸車両所所属車が使用され、全線直通列車は前述の通り当該車両が限定運用される。
キハ40形気動車
区間列車の一部で使用される。キハ54形を使用する列車に多客期や団体乗車のために増結を行う場合は、当該車両を使用することが多い。網走方では旭川運転所所属車、釧路方および増結では釧路運輸車両所所属車が使用される。
臨時列車
近年は沿線の豊富な観光資源を背景に、トロッコ列車蒸気機関車牽引列車などの観光臨時列車がほぼ通年運転されている。沿線に観光地が多いためか比較的団体臨時列車も多く、キハ183系一般車やリゾート列車、お座敷列車が入線する。時にはDD51形機関車牽引の北斗星用客車(24系客車)も入線する。

歴史[編集]

流氷と蒸気機関車(1973年、北浜駅 - 藻琴駅
釧網本線全通70周年記念碑

太平洋沿岸の釧路とオホーツク海沿岸の網走を結ぶ目的で、両側から建設が進められた。路線は網走などに流された囚人らの手で建設された。網走側は、網走本線の延長として1924年から1929年にかけて札鶴(のちの札弦)まで開業し、釧路側は、釧網線として1927年から1930年にかけて川湯(のちの川湯温泉)まで開業した。このうち、標茶 - 弟子屈(のちの摩周)間は、1896年に事実上廃止となった釧路鉄道の旧路盤を利用している。1931年に川湯 - 札鶴間が開業し、全通。釧網線に網走本線の網走以東を編入し、現在の姿となった。

1987年国鉄分割民営化後は、オホーツク海の流氷小清水原生花園知床半島摩周湖釧路湿原等、沿線の豊富な観光資源を背景に観光路線として振興が図られており、新駅設置や駅名の改称が行われた。

年表[編集]

網走本線[編集]

  • 1924年(大正13年)11月15日 【延伸開業】網走本線網走(初代) - 北浜(7.2 M≒11.6 km) 【駅新設】鱒浦、藻琴、北浜[15]
  • 1925年(大正14年)11月10日 【延伸開業】北浜 - 斜里(16.0 M≒25.7 km) 【駅新設】古樋、止別、斜里[15]
  • 1929年(昭和4年)11月14日 【延伸開業】斜里 - 札鶴(12.2 M≒19.6 km) 【駅新設】猿間川、上斜里、札鶴[15]

釧網線[編集]

  • 1927年(昭和2年)9月15日 【開業】釧網線 釧路 - 標茶[16](29.9 M≒48.1 km) (根室本線との分岐は別保信号場[16]) 【駅開業】別保(信号場)、遠矢、細岡、塘路、茅沼、五十石、標茶[15]
  • 1928年(昭和3年)11月11日 【信号場→駅・改称】別保→東釧路[16] 【起点変更】釧路→東釧路[16](-1.8 M≒-2.9 km)[15]
  • 1929年(昭和4年)8月15日 【延伸開業】標茶 - 弟子屈[16](15.7 M≒25.3 km) 【駅新設】磯分内、南弟子屈、弟子屈[15]
  • 1930年(昭和5年)8月20日 【延伸開業】弟子屈 - 川湯 (15.9 km) 【駅新設】美留和、川湯[15]

全通以後[編集]

  • 1931年(昭和6年)9月20日 【延伸開業・全通】札鶴 - 川湯 (22.8 km) 【区間統合】釧網線 網走 - 東釧路 (166.3 km)(網走本線網走 - 札弦間を釧網線に編入) 【駅新設】上札鶴[15]
  • 1932年(昭和7年)12月1日 【線路付替】網走駅移転。網走(初代) - 鱒浦廃止 (-6.3 km)。網走(2代) - 鱒浦 (6.2 km)開業。網走(初代)を浜網走に改称[15]
  • 1936年(昭和11年)10月29日 【線名改称】釧網本線[16]
  • 1950年(昭和25年)9月10日 【駅名改称】猿間川→中斜里
  • 1952年(昭和27年)11月15日 【駅名改称】古樋→浜小清水
  • 1956年(昭和31年)4月10日 【駅名改称】上札鶴→緑、札鶴→札弦、上斜里→清里町
  • 1962年(昭和37年)10月1日 【駅新設】南斜里[15]
  • 1964年(昭和39年)6月1日 【仮乗降場新設】原生花園[17]
  • 1967年(昭和42年)4月1日 【仮乗降場新設】桂台[17]
  • 1978年(昭和53年)10月2日 【仮乗降場廃止】原生花園[17]

民営化以後[編集]

駅一覧[編集]

便宜上、東釧路側の全列車が直通する根室本線釧路駅までの区間を記載。また全区間において駅ナンバリングが設定されているが、駅ナンバリング順ではなく、網走駅から下り方向に記述。駅ナンバリングの詳細については「北海道旅客鉄道の駅ナンバリング」を参照。

  • (臨):臨時駅
  • 停車駅
    • 普通…基本的に全駅に停車するが、一部の列車は▽印の駅を通過(原生花園駅と釧路湿原駅については下記参照)
    • 快速「しれとこ」…●印の駅は停車、▼印の駅は釧路行きのみ停車、■印の駅は期間により停車(下記参照)、|印の駅は通過
    • ※1 原生花園駅:営業期間中の5月1日 - 10月31日は夜間の列車以外全列車停車。期間外は全列車通過
    • ※2 釧路湿原駅:5月1日 - 11月30日は最終列車以外全列車停車。それ以外の期間は昼間時間帯のみ停車(快速「しれとこ」は釧路行きのみ通年停車)
  • 線路(全線単線) … ◇:列車交換可、|:列車交換不可
  • 全駅北海道内に所在
路線名 駅番号 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 快速しれとこ 接続路線・備考 線路 所在地
釧網本線 A69 網走駅 - 0.0 北海道旅客鉄道石北本線 オホ丨ツク管内 網走市
B79 桂台駅 1.4 1.4  
B78 鱒浦駅 4.8 6.2  
B77 藻琴駅 2.5 8.7  
B76 北浜駅 2.8 11.5  
B75 (臨)原生花園駅 5.4 16.9 ※1 斜里郡 小清水町
B74 浜小清水駅 3.2 20.1  
B73 止別駅 5.7 25.8  
B72 知床斜里駅 11.5 37.3   斜里町
B71 中斜里駅 4.6 41.9  
B70 南斜里駅 2.2 44.1  
B69 清里町駅 5.1 49.2   清里町
B68 札弦駅 7.8 57.0  
B67 緑駅 8.3 65.3  
B66 川湯温泉駅 14.5 79.8   釧路管内 川上郡 弟子屈町
B65 美留和駅 7.2 87.0  
B64 摩周駅 8.7 95.7  
B63 南弟子屈駅 8.2 103.9  
B62 磯分内駅 6.5 110.4   標茶町
B61 標茶駅 10.6 121.0  
B60 五十石駅 8.5 129.5  
B59 茅沼駅 5.4 134.9  
B58 塘路駅 7.0 141.9  
B57 細岡駅 7.2 149.1   釧路郡 釧路町
B56 釧路湿原駅 2.4 151.5 ※2
B55 遠矢駅 7.3 158.8  
B54 東釧路駅 7.4 166.2 北海道旅客鉄道:根室本線根室方面) 釧路市
K53 釧路駅 2.9 169.1 北海道旅客鉄道:根室本線(帯広方面)
  • *:東釧路駅 - 釧路駅間は根室本線

過去の接続路線[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成18年度、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.22
  2. ^ 当路線が網走本線の一部であった際は、網走方が起点側であった。
  3. ^ a b 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻20号 宗谷本線/留萌本線 5頁
  4. ^ JR北海道釧路支社について - 北海道旅客鉄道釧路支社
  5. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  6. ^ 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻20号 宗谷本線/留萌本線 6頁
  7. ^ 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻20号 宗谷本線/留萌本線 29頁
  8. ^ JR北海道 「SLオホーツク号」乗車・撮影と旧湧網線・根北線探訪の旅 (PDF)
  9. ^ 本運行に先立ち、6月29日・30日に試運転・試乗会が行われた。網走市役所観光課 「SLオホーツク号」網走市民試乗会のお知らせ
  10. ^ JR北海道釧路支社 「摩周&川湯温泉 足湯めぐり号」の運転について (PDF)
  11. ^ JR北海道釧路支社 「摩周&川湯温泉 足湯めぐり号(下り)」の運転について (PDF)
  12. ^ JR北海道釧路支社 摩周&川湯温泉 足湯めぐり号
  13. ^ 『JTB時刻表』2015年7月号 p.689、2016年4月号 p.688
  14. ^ a b 平成26年3月期決算について (PDF) - 北海道旅客鉄道、2014年5月9日
  15. ^ a b c d e f g h i j 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻20号 宗谷本線/留萌本線 14頁
  16. ^ a b c d e f 釧路市地域史研究会 『釧路市統合年表:釧路市・阿寒町・音別町合併1周年記念』 釧路市 、2006年10月。
  17. ^ a b c d e f g h i j k 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻20号 宗谷本線/留萌本線 15頁

参考文献[編集]

  • 北海道旅客鉄道釧路支社編『JR釧路支社 鉄道百年の歩み』
  • 曽根悟(監修) 『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』28号・釧網本線/石北本線、朝日新聞出版分冊百科編集部(編集)、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年1月31日、5-15頁。

関連項目[編集]