釜石自動車道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
高速自動車国道

釜石自動車道

釜石自動車道
路線延長 約80km[1]
開通年 2002年 -
起点 岩手県花巻市花巻JCT
主な
経由都市
花巻市奥州市遠野市
終点 岩手県釜石市(釜石JCT)
接続する
主な道路
記法
東北自動車道三陸自動車道
テンプレート(ノート 使い方) ウィキプロジェクト 道路

釜石自動車道(かまいしじどうしゃどう、KAMAISHI EXPRESSWAY)は、岩手県花巻市花巻ジャンクション(JCT)から岩手県釜石市の釜石JCTに至る高速道路である。略称は釜石道(かまいしどう、KAMAISHI EXPWY)。

概要[編集]

おおよそ国道283号(一部国道107号)と並行して進む。法定路線名は東北横断自動車道釜石秋田線であり、また国土交通省がそれとは別に釜石花巻間の便宜的な事業名称として釜石花巻道路の名前をつけている。本路線は三陸地方と岩手県/日本海側との交流・連携を促進するとともに物流の効率化の支援・緊急輸送道路の信頼性向上及び地域医療サービスの向上の役割を担っている。高速自動車国道としての東北横断自動車道釜石秋田線の起点は釜石市であるが、第四次全国総合開発計画(四全総)で認可された路線は花巻側が起点だった事もあり、営業路線としての釜石自動車道は花巻JCT側からインターチェンジ(IC)番号が付けられている。花巻JCT - 東和IC間が開通して以降、長い間盲腸線/飛び地開通の状態が続いていたが、東日本大震災からの「復興支援道路」の一つとして全線が事業化され[2]、 2018年度に全通する。

ルート選定の経緯[編集]

青線が岩手県が当初検討したルート
紫線が一本化されたルート 縦線は東北道

当路線が現在のルートになるまでは紆余曲折があった。

国が第九次道路整備五ヵ年計画中に、当時7,600kmだった全国の幹線道路に新たに2,400kmを法制化する「一万キロ構想」を打ち出して以降全国で要望が上がる中、岩手県もいくつかの路線を要望する事にした。その中の1つ北東北横断自動車道(現在の釜石道)を要望するにあたって、当初岩手県は釜石 - 遠野 - 盛岡と結ぶ県央ルートと遠野から分岐して北上へと結ぶ県南ルートの2本立ての「Y字型」を想定していた(右図)。しかし、全国の要望はかなり多く過当競争になっておりこれが採択されるのは極めて困難として後にルートを一本化する事になった[3]

一本化の方針を打ち出してから東北道への接続点をどこにするかで「盛岡寄り」「花巻地区」「北上地区」の陳情がそれぞれ上がる中、どのルートを通すかが注目されたが、県は ―東北自動車道北上江釣子ICなどから入る車のうち半数が県内のICから降りている事、釜石/気仙広域圏に向かう自動車貨物の3分の2が盛岡広域圏からであり逆方向も同じような数値である事、このような盛岡圏との人的物的交流の結びつきの強さは21世紀も続くと見られる事― などから結節点を盛岡寄りの紫波町(通称:紫波ルート)とする案を国に要望する事と決定。遠野北上間は並行する国道107号国道283号の高規格化で対応するとした[4][5]

しかし花巻・北上・気仙地区の落胆は大きく、特に北上ルートを強く要望していた県南地域はこれに激しく反発[6] 。当時岩手2区(小選挙区の3区/4区にあたる)の与党議員も「国家的レベルの問題なのに県から何の相談も意見聴取の機会もなかった(小沢一郎)」「県南地区の住民の事を考えると到底納得できない(志賀節)」「本来採るべき手順を越えた決定で県民の意思が反映されているか疑問(椎名素夫)」と揃って強い反対の意向を表明[7]。 こうした中、県議会でも3ルートの請願書のうち[注釈 1] 紫波ルートにあたる「盛岡圏ルート」の請願が採択され、一応形の上では県の意見は一本化されたという事になったが県南地域の反発はおさまらず[8] 、さらに、元々このルートには広域性や建設費[注釈 2]の観点から懐疑的だった建設省(現在の国土交通省)は、県の意見は参考にするとしつつも独自のルートを打ち出すとし[9] 、県の世論が依然として分裂状態だった事もあり[10][11]、 結局岩手県の要望は突き返された[12] 。通常どんな陳情でも一応は受理される中で陳情自体が突っぱねられたのは極めて異例であり、「紫波、北上両ルートについて十分話し合い、納得した上で一本化した要望書を持ってくるように念押ししたにも関わらず、このような要望書では責任を持って推進できない」[13] 「そもそも未調整の案件を要望する事自体、ルート選定以前の問題で非常識極まりない」[12] とかなり手厳しい批判の言葉も浴びせた。この後に前述の3氏に玉沢徳一郎工藤巌を加えた5人の県選出議員が建設省に「紫波ルートは県民の意見を反映していない」と意見書を提出したが、これは建設省が議員に頼んで提出させたとも言われており[14]、 建設省の強い拒否の意思が伺える。

その建設省の方は「岩手県だけでなく秋田県との関係も考慮しなければならない」「既に縦の線(東北道)があるのだから必ずしも横(秋田道)に結ばなければならないという訳でもないだろう」「国家的見地から新幹線・道路・空港の合いまった総合効果を考えねばならない」などとして花巻ルートを示唆[15] 。最終的には岩手県の意思もある程度汲んだ形になる[16] 花巻北部に接続する案が四全総で認可され、[17][18] 後に国幹道に昇格した[19] 北上ルートに比べて釜石/気仙広域圏と南東北/首都圏との移動は相対的に不便にはなるが、それに関しては同じく四全総で認可された三陸縦貫自動車道に担ってもらうつもりだったのが当時の記事から読み取れる[20]

通過市町村[編集]

接続高速道路[編集]

インターチェンジなど[編集]

  • 全区間岩手県内に所在。
  • 当線内に給油所付SA・PAは一切無い。
  • IC番号欄の背景色がである部分については道路が供用済みの区間を示している。施設名欄の背景色がである部分は施設が供用されていない、または完成していないことを示す。未開通区間の名称は仮称。
  • BS(バス停留所)のうち○/●は運用中、◆は休止中の施設。無印はBSなし。
  • 英略字は右記の通り。IC : インターチェンジ、JCT : ジャンクション、TB : 本線料金所
IC
番号
施設名 接続路線名 起点から
の距離
BS 備考 所在地
38-2 花巻JCT 東北自動車道 0.0 岩手県 花巻市
1 花巻空港IC 国道4号
県道294号東宮野目二枚橋線
3.7
- 花巻空港TB 4.8 本線料金所
2 東和IC 県道39号北上東和線 11.4 新直轄方式区間
(東和〜遠野)
3 江刺田瀬IC 国道107号 23.0 奥州市
4 宮守IC 国道107号 35.1 遠野市
5 遠野IC 県道238号遠野住田線 44.1
この間2018年度開通予定[21]
- 遠野住田IC 国道283号上郷道路 [22] 55.1 仙人峠道路
- 滝観洞IC 県道167号釜石住田線 64.6 住田町
- 釜石西IC 国道283号 73.5 釜石市
- 釜石JCT 三陸自動車道 2018年度開通予定[21]

主なトンネルと橋[編集]

  • 秋丸トンネル(遠野住田IC - 滝観洞IC): 1,130m [23]
  • 滝観洞トンネル(遠野住田IC - 滝観洞IC): 2,960m [23]
  • 新仙人トンネル(滝観洞IC - 釜石西IC): 4,492m [23]

歴史[編集]

道路管理者[編集]

車線・最高速度・料金[編集]

区間 車線
上下線=上り線+下り線
最高速度 料金
花巻JCT - 東和IC 2=1+1 70km/h 有料
東和IC - 宮守IC 無料
宮守IC - 遠野IC 80km/h
遠野住田IC - 釜石西IC 70km/h

※宮守〜遠野は完成2車線

交通量[編集]

24時間交通量(台) 道路交通センサス

区間 平成17(2005)年度 平成22(2010)年
花巻JCT - 花巻空港IC 1,331 2,259
花巻空港IC - 東和IC 896 1,870
東和IC - 江刺田瀬IC 調査当時未開通
江刺田瀬IC - 宮守IC
宮守IC - 遠野IC
遠野住田IC - 滝観洞IC 調査当時未開通 5,556
滝観洞IC - 釜石西IC 5,556

(出典:「平成22年度道路交通センサス」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)

注釈[編集]

  1. ^ 請願書は盛岡圏ルート・北上ルートの2つで花巻ルートは要望書だった
  2. ^ 岩手県の試算では紫波ルートが2,700億円、北上ルートが2,500億円だった

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 東北横断自動車道釜石秋田線(釜石〜花巻)に係る新規事業採択時評価 - 国土交通省東北地方整備局道路部
  2. ^ a b 「復興道路・復興支援道路」の概要”. 東北地方整備局道路部. 2015年8月31日閲覧。
  3. ^ 『県、横断道ルート見直し 「Y字」改め単線化 県議会で知事表明「かさむ建設費考慮」』 - 岩手日報1986年3月1日朝刊 1面
  4. ^ 『紫波起点に遠野 - 釜石 北東北横断道県がルート決定 盛岡との連結機能重視』 - 岩手日報1986年11月29日朝刊 1面
  5. ^ 『[北東北横断ルート決定] 合意形成が課題 念頭に住田インター構想』 - 岩手日報1986年11月29日朝刊 4面
  6. ^ 『ルート決定 明暗分岐 [北上派]「政治路線」と憤り [紫波派]「念願貫通」に沸く』 - 岩手日報1986年11月29日朝刊 4面
  7. ^ 『「県民の意思を反映せず」二区の自民代議士三氏 反対の意向を表明』 - 岩手日報1986年11月29日朝刊 1面
  8. ^ 『県議会「紫波で一本化」 常任委で請願採択 「北上」は不採択』 - 岩手日報1986年12月16日朝刊 1面
  9. ^ 『建設省 「紫波ルートは疑問」 北東北横断道 県決定参考に独自調査 広域性、建設費に難点』 - 岩手日報1986年12月16日朝刊 1面
  10. ^ 『横断道ルートの決定 「行き届かない点も」 県が陳謝』 - 岩手日報1986年12月16日朝刊 2面
  11. ^ 『北東北横断道 県内世論は分裂状態 「県側」の県南説得失敗 商工団体の反発緩まず』 - 岩手日報1986年12月16日朝刊 15面
  12. ^ a b 『県の統一要望「紫波ルート」 建設省 受理せず 「合意形成が不十分」』 - 岩手日報1986年12月30日朝刊 1面
  13. ^ 『「紫波ルート」以外の案求める 建設省』 - 岩手日報1986年12月30日朝刊 1面
  14. ^ 『横断道紫波ルート 県民の総意反映していない 国会議員五氏が意見書』 - 岩手日報1987年2月18日朝刊 1面
  15. ^ 『花巻ルートの可能性示唆 横断道で建設省の道路局長 国家的見地で決定 「紫波」「北上」綱引きに困惑』 - 岩手日報1987年2月18日朝刊 2面
  16. ^ 『花巻ルートに賛否両論 小沢、沢藤衆院議員』 - 岩手日報1987年5月29日朝刊 3面
  17. ^ 『「多極分散」投資1000兆円 国土庁四全総試案を提出 高規格道 新規に49路線』 - 岩手日報1987年5月29日朝刊 1面
  18. ^ 『四全総にみる「岩手像」』 - 岩手日報1987年5月29日朝刊 3面社説
  19. ^ 。 『北東北横断道 国幹道に昇格 総延長拡大で実現 建設省 残る2路線は見送り』 - 岩手日報1987年7月8日朝刊 1面
  20. ^ 『四全総 宮古まで三陸自動車道 沿岸に新しい夜明け 夢膨らむ沿線住民 観光、産業の飛躍約束』 - 岩手日報1987年5月29日朝刊 19面
  21. ^ a b c 平成27年度予算を踏まえた道路事業の見通しについて (PDF)”. 国土交通省東北地方整備局 (2015年5月15日). 2015年5月16日閲覧。
  22. ^ 一般国道283号上郷道路工区”. 岩手県 (2015年1月6日). 2015年5月16日閲覧。
  23. ^ a b c 仙人峠道路平面図”. 三陸国道事務所 釜石維持出張所. 2015年8月31日閲覧。
  24. ^ 『東和 - 花巻間が開通 東北横断自動車道釜石花巻線 太平洋側に向け初』 - 岩手日報2002年11月7日夕刊 1面
  25. ^ 一般国道283号「仙人峠道路」3月18日全線開通”. 三陸国道事務所・岩手県県土整備部 (2007年2月2日). 2015年8月31日閲覧。
  26. ^ 『花巻空港本線料金所を新設 自動車道・あすから』 - 岩手日報2007年5月31日朝刊 23面
  27. ^ 一般国道283号 仙人峠道路「滝観洞IC」3月16日開通!”. 三陸国道事務所 (2008年3月11日). 2015年8月31日閲覧。
  28. ^ 三陸国道事務所 10月15日より仙人峠道路の規制速度が70km/hになります (PDF)”. 岩手県警察本部・三陸国道事務所. p. 1 (2012年10月10日). 2015年8月31日閲覧。
  29. ^ 東北横断自動車道釜石秋田線の宮守〜東和間が平成24年11月25日(日)に開通します (PDF, 1366 KiB) . 岩手河川国道事務所 p 1. (2012年10月29日). 2015年8月31日閲覧。
  30. ^ 復興支援道路【東北横断自動車道釜石秋田線】遠野〜宮守 12月5日(土)に開通します 〜遠野インターへのアクセス県道も同時に開通します〜 (PDF)”. 国土交通省東北地方整備局 岩手河川国道事務所 (2015年10月14日). 2015年10月14日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]