野火 (小説)

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野火
小説:野火
著者 大岡昇平
出版社 創元社
掲載誌 展望
映画:野火
監督 市川崑
制作 大映
封切日 1959年11月
上映時間 105分
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野火』(のび)は、大岡昇平小説1951年に『展望』に発表、翌年に創元社から刊行された。作者のフィリピンでの戦争体験を基にする。死の直前における人間の極地を描いた、戦争文学の代表作。第3回(昭和26年度)読売文学賞・小説賞を受賞している[1]

題名の「野火」とは、春の初めに野原の枯れ草を焼く火のことである。この作品にはカニバリズムが出てくるが、大岡はエドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』がこの作品が全体のワクになっていると書いている[2]

丸谷才一は『文章読本』(中央公論社、1977年)において、修辞技法の個々の技法を説明する際、例文をすべて本作品とシェイクスピアの諸作品に拠った。

1959年市川崑2015年塚本晋也がそれぞれ映画化している。

あらすじ[編集]

太平洋戦争末期の日本の劣勢が固まりつつある中でのフィリピン戦線が舞台である。 主人公田村は肺病のために部隊を追われ、野戦病院からは食糧不足のために入院を拒否される。現地のフィリピン人は既に日本軍を抗戦相手と見なす。この状況下、米軍の砲撃によって陣地は崩壊し、全ての他者から排せられた田村は熱帯の山野へと飢えの迷走を始める。 律しがたい生への執着と絶対的な孤独の中で、田村にはかつて棄てた神への関心が再び芽生える。しかし彼の目の当たりにする、自己の孤独、殺人、人肉食への欲求、そして同胞を狩って生き延びようとするかつての戦友達という現実は、ことごとく彼の望みを絶ち切る。 ついに「この世は神の怒りの跡にすぎない」と断じることに追い込まれた田村は「狂人」と化していく。

映画[編集]

1959年版[編集]

野火
監督 市川崑
脚本 和田夏十
原作 大岡昇平
製作 永田雅一
出演者 船越英二
ミッキー・カーチス
滝沢修
音楽 芥川也寸志
撮影 小林節雄
編集 中静達治
製作会社 大映
配給 大映
公開 日本の旗 1959年11月3日
上映時間 105分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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1959年には大映で映画化された。角川エンタテインメントからDVDが発売されている。

人肉を食う場面は、映画では「栄養失調で歯が抜け、食べられなかった」という処理が行われた。これは、映画の持つ表現の直接性を考慮し、観客に「食べなくてよかった」と感じさせるための変更である。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

2015年版[編集]

2015年7月25日に公開された日本映画。監督・脚本・製作などに加え主演する塚本晋也は、構想に20年を費やした。製作には出資者が集まらず、自主製作映画としての公開ながら、2014年7月開催の第71回ヴェネツィア国際映画祭メインコンペティション部門に正式出品[3]。第15回東京フィルメックスのオープニング作品として上演[4]。第23回レインダンス映画祭出品作品[5]

キャスト(2015年版)[編集]

スタッフ(2015年版)[編集]

受賞[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 読売文学賞 第1回(昭和24年度)〜第10回(昭和33年度)YOMIURI ONLINE、2014年7月26日閲覧。
  2. ^ 渡辺利雄『アメリカ文学に触発された日本の小説』(研究社2014年)pp.1-26。
  3. ^ 塚本晋也が大岡昇平の戦争文学『野火』を自ら主演し映画化、共演にリリー、中村達也ら(2014年7月24日)、cinra.net、2014年7月25日閲覧。
  4. ^ “塚本晋也『野火』が日本初上映!濃密な内容に観客から熱心な意見!”. シネマトゥデイ. (2014年11月22日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068312 2014年11月25日閲覧。 
  5. ^ 大崎章監督「お盆の弟」ロンドンの国際映画祭に出品”. 日刊スポーツ (2015年8月25日). 2015年8月25日閲覧。
  6. ^ 第7回TAMA映画賞”. 第25回映画祭TAMA CINEMA FORUM. TAMA CINEMA FORUM (2015年). 2015年11月22日閲覧。
  7. ^ キネマ旬報ベスト・テン発表、「恋人たち」「マッドマックス」が1位に輝く”. 映画ナタリー (2016年1月8日). 2016年1月8日閲覧。
  8. ^ 毎日映画コンクール 大賞に橋口監督の「恋人たち」”. 毎日新聞 (2016年1月21日). 2016年1月21日閲覧。
  9. ^ 綾瀬はるかや広瀬すずも爆笑!樹木希林の爆笑スピーチ”. Movie Walker (2016年2月7日). 2016年2月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]