野望の王国

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野望の王国』(やぼうのおうこく)は、雁屋哲原作由起賢二の作画による、日本劇画作品。

概要[編集]

1977年から1982年にかけて日本文芸社の漫画雑誌『週刊漫画ゴラク』に連載。単行本はゴラクコミックスより全28巻愛蔵版全14巻刊行。単行本は長く絶版状態が続いていたが、2002年より同社から「完全版」全9巻として復刊。コンビニコミック2巻まで刊行。電子書籍では「完全版」全27巻が刊行されている。

主人公は、ともに東大法学部政治学を修める橘征五郎と片岡仁の二人組。二人は学業でもスポーツでも非常に優秀な成績を収め、教授や同窓生から注目を浴びていた。だが、卒業後の進路を問われて、二人は研究室に残るのでもなく、官公庁や一流企業に就職するのでもなく、「自分たちの野望を達成するため」に社会に出ることを宣言し、周囲を啞然とさせた。実は橘征五郎は有力な暴力団である橘組の組長の息子であった。父の亡き後、新たな組長となった兄・征二郎の補佐として征五郎はさまざまな権謀術数を駆使し、片岡と共に暴力で日本を制覇するという野望実現のため汗を流すこととなる。そして川崎中央署署長の若手警察官僚・柿崎憲、宗教団体を率いる白川天星という独自の野望と執念を持つ人物も登場して互いにぶつかり合い、混迷を極める展開となる。

征五郎と片岡が掌握しようとする裏の暴力機構であるヤクザと、柿崎が代表する表の暴力機構である警察との対決、および双方の内部での抗争を通じ、最終的に誰が日本の暴力機構を握り日本を支配するのかが物語の焦点となっている。原作者の雁屋が手がけた前作『男組』に見られたような、「対決の結果どのような理想社会を実現するか」というようなテーマは本作にはまったく見られない。そのため登場人物のほとんどは権力を手に入れようとする悪人ばかりになっている。またヤクザや学生組織、軍隊、警察、宗教組織などの入り乱れる大規模な戦闘、凄惨な拷問シーンなど、過激なバイオレンス描写が頻出する。

独特な劇画調の絵柄は、相原コージの『サルでも描けるまんが教室』の画風の元ネタにもなった。

呉智英は本作を評して、「荒唐無稽な物語展開、異様な迫力に満ちた絵、五年間に及ぶ長期連載、教養人による完全な黙殺、どの点から見てもバロック馬鹿[1]の名に相応しい大作である。そして、この作品の出現と終了は、一九七〇年代から八〇年代にかけての、戦後思潮の転換を象徴しているように見える」とコメントしている。

登場人物[編集]

橘征五郎
東京大学法学部4年で中本研究室在籍、本編の実質的主人公。東大法学部の首席の座を片岡と1、2を争う。
頭脳だけでなく、体力も抜群であり関東学生リーグで万年最下位だった東大アメフト部を日本一に導き、さらにはオールアメリカン大学選抜チームとの試合にも勝ち、東大アメフト部を文字通り世界最高にまで押し上げた。
母親は神奈川県下最大の暴力団・橘組組長である橘征蔵の2番目の愛人[2]・芳子。大侠客であった征蔵の方針で、妾腹ながら橘姓に入ったが、少年時代より本妻の子供たちからいじめられた過去がある。幼少期の辛い体験が、征五郎の暴力至上主義の原点となった。同じ妾腹同士であり、少年時代に可愛がってくれた異母兄征二郎を慕っているのだが、これが橘組の実権を握るためには兄征二郎を抹殺しなければならないという内面的な苦悩となっている。橘組内若獅子会会長。登場時の髪型は当時の大学生に普通にみられる男性レイヤードカットであったが、後半では完璧なマレットになっている。
片岡仁
東大法学部4年で中本研究室在籍。知力、体力とも橘征五郎と互角、お互いの野望を知って協力することを誓った盟友。
父親は東大法学部を卒業後、国家公務員上級試験をパスして大蔵省に入ったエリートだったが、疑獄事件の罪を着せられた上、拘置所内で自殺に見せかけて殺された。この悲惨な体験が、裏世界の暴力で表の権力を支配するという野望をいだくきっかけとなった。
橘征五郎の異母妹である橘文子(18歳)とは相思相愛の仲。橘組内若獅子会副会長。
橘征二郎
29歳、既婚。母親は故橘征蔵の愛人[3]花森高子。自身が幼い頃から本家の兄弟にいじめられた経験から、同じ境遇の征五郎を可愛がっている。橘征蔵の死後、長男征一郎が死亡したことによって橘組組長に就任。県下の国会議員、公安委員長県警本部長をも影響下におく実力者。暴力団組長というより昔風のヤクザの親分といった性格であり人望もあるが、いったん事を起こすと容赦はしない。
弟の征四郎が反逆した時は、在日米軍ヤクザ部隊を使って征四郎邸を空爆。本人を捕獲したうえで征四郎の家族と部下を焼殺し、最後に許しを請う征四郎を自らの手で銃殺したほどである。
征五郎の野望には気付いており、兄弟愛と征五郎の野望の達成の間で彼も終始苦しみ続けた。
柿崎憲
30歳、東大法学部卒。東大法学部を首席で卒業後、国家公務員上級試験に合格し、警察庁に入ったキャリア官僚。作中で本来入るべき大蔵省に入らなかったのは、国家権力をより直接的に利用するためと語っており、この世を支配するのは暴力であるという征五郎たちと同じ認識を持っている。
橘征二郎を倒す、という共通の目的から物語序盤では征五郎たちと組み征二郎を追い詰めるが赤寺の起こした川崎大騒乱の前に敗北、当時公務員である柿崎を殺すわけにはいかず、そのかわり赤寺に自分の息子を殺された復讐として強姦されてしまう。物語中盤以降ではその行動の破天荒さに拍車がかかり、柿崎を利用することに限界を感じた征五郎たちに裏切られ発狂しテレビの生放送であるにもかかわらずその場にいた赤寺を射殺、さらに署に保管されていた麻薬を持ち出して逃走、復讐のために殺し屋を雇い橘組の構成員を虐殺、征二郎に発砲、征五郎を拉致、その執念は征二郎が入院している病院に大量の爆薬を積んだトレーラーを突っ込ませるほどである。物語後半では逮捕され、警察病院から拘置所に過去の関係を話されることを恐れた征五郎が実行した暗殺作戦による移送中に起きた事故を利用して脱走。その後、日本最大の実力者、大神楽了造に気に入られ、その秘書となってからは、再び復讐のため橘組壊滅に突き進む。その姿は作中で「狂った悪魔」と形容されており、本作品における最大のライバルである。
射撃の腕は抜群であり、橘征二郎邸で赴任挨拶代わりに橘征蔵の肖像画を撃ちぬいたり、逮捕を妨害した右翼や赤寺の息子たちを銃で撃つなど発砲回数も多い。運転技術も一流であり、A級ライセンスをもつ赤寺の息子と互角以上の腕を披露していた。作中では大勢を相手に単独で戦ったりとその戦闘力においても屈指の存在となっている。
性格においては自らの利益しか考えず、友情や親愛の情などを一切持たず、悪漢ぞろいの登場人物の中でもひときわ異彩を放つ人物。ただし、自らを庇護してくれた大神楽に対しては最後に「大神楽老人」と最低限の敬称をつけていた。
徳田栄治(徳田徳一)
通称トク。橘組内若獅子会頭取。父親は橘組の鉄砲玉として死亡。その後は親戚中をたらい回しにされたあげく、橘征蔵の下に引き取られた。少年時代の征五郎とそこで知り合い、盟友となった。中学卒業後、ヤクザの世界に入って資金を貯め、徳田建設を設立。征五郎、片岡が計画した作戦を実行面で指揮する行動隊長。若獅子会の発足式典では徳田栄治と紹介されていたが、少年時代は徳一と名乗っており、本作品の謎のひとつになっている。
疋矢繁
関西を拠点とする日本最大の暴力団花岡組の若衆頭で、周囲からは花岡組の行動隊長と呼ばれて恐れられている。趣味は名犬の収集であり、「関西愛犬家協会」の理事長を務めるほどの犬好き。征五郎が征二郎組長と偶然を装って面会させるために犬の散歩を利用したが、あっさりひっかかったほどである。
花岡組組長花岡増吉が爆殺された後、日本最大の暴力組織である保神会から花岡組を離反させるために征五郎と片岡が行った策に乗り自ら先頭に立って花岡組内の粛清を行い、花岡組組長となった。
後に征五郎と片岡の野望を知り、太閤秀吉蜂須賀小六との関係にたとえて全面的な協力を申し出た。征五郎と片岡の強い味方であり、彼らの野望の達成にはいなくてはならない存在の一人である。
白川天星
東京大学法学部の学生でアメフト部における征五郎、片岡の後輩。母親は新興宗教団体である救国教団の教祖白川玉堂。その息子という事で信者からは若神様と呼ばれ、崇拝されているが、本人自身は宗教を単なる人間支配の道具としか考えていない。「自分は世界でいちばん美しい」などと独白し、全裸でベッドに横たわって鏡に魅入るなど、かなりのナルシストである。また、一人で橘組の警護員数人を倒すなど格闘技にも長じている。
登場した頃は、征五郎、片岡の協力者であったが、物語の最後半でその真の狙いが明らかとなる。
救国教団の教義は不明だが、教団独自の戦闘部隊を持っていたり、教祖が信者と乱交パーティを開くなど、反社会的かつ狂信的な性格を持つ団体である。
大神楽了造
日本最大の実力者として書かれている老人。元、民自党の大物政治家で大一線を退いたあとも元老として巨大な影響力を振るっている。作中において後半の重要なキーキャラクターであり、警察と橘組の両方に追われる身となった宿敵柿崎に新しい戸籍と日本最大の武力である保神会の会長の座を与えた。日本最大の実力者の異名は伊達ではなく、征五郎たちも幾度となく暗殺を企てたが征五郎たちを上回る発想の行動で難を逃れている。日本の黒幕と謳われていた右翼の頭目小田や立馬も大神楽に任命されていた存在であった。
赤寺十郎
橘征二郎組長の副官であり絶対的な忠誠を誓っている。かつて横浜の敵対組織の組長を征二郎とふたりで暗殺し、警察に尻尾をつかまれそうになった時、ひとりで自首して7年の刑期を勤め上げた。15歳で長男を生ませて以後子宝に恵まれ、六男四女の父親。身長3メートル以上はありそうな大男として描写されており、朝食のメニューも生キャベツや生ニンジン、生のの頭、生ニンニク唐辛子を丸かじりするなど豪快である。
狡猾、残忍な性格であり、柿崎署長に逮捕された征二郎組長を拘置所から救い出すために、京浜工業地帯の爆破、鉄道の脱線事故川崎競馬場暴動と売上金強奪等の大事件を数時間のうちに同時発生させた。また、橘征五郎の野望に危機感を抱いており、征二郎組長にしばしば警告を発していた。
松山康一
東京大学教養学部経済学助教授。父親が神奈川県知事を務めたほどの名門の家系の一員。征五郎たちに脅され、国会議員を目指すことになる。本来はいたって地味な人物だったが、征五郎と片岡が雇ったプロたちの指導で大変身を遂げる。ある日突然、GパンTシャツスニーカー姿でアストンマーティンに乗って登校し、講義中にウィスキーの小瓶をあおるなど陽気で型破りな助教授として学生の人気を得るようになる。その後、テレビ関東のクイズ番組「クイズレース」で無茶苦茶な司会ぶりを発揮し、広く世間に知られるようになった。
征五郎と片岡の策により踏み切りで立ち往生し、しかもドアの故障で閉じ込められたバスから命がけで乗客を助け出した。愛車アストンマーティンはその時の電車事故で大破全損。テレビ取材が殺到した後、国政選挙に出馬。トップ当選を果たし、衆議院議員となった。その後、自分の候補をスキャンダルで潰された征二郎組長に取り込まれてしまう。本人は国会議員としてやる気満々であったが、実態は表向きは征二郎組長に従い、陰では征五郎たちに従うという操り人形的立場に追い込まれた。
浜岡達雄
衆議院議員、民自党元幹事長浜岡派派閥長。膨大な資産家でお金の力で自分の地位を築き上げていった類の政治家であり、作中でも自分のことを祖先が残した資産を食い潰した放蕩息子だと自称している。日本最大の実力者である大神楽と衝突したために首相になれないでいたところを征五郎たちにつけこまれ利用されることになる。
立馬国造
日本最大の黒幕・小田の後を継いだ右翼の大頭目。もみ上げを残して剃り上げられた頭と軍服という出で立ちの巨漢で、身長3m以上はあるかのような描写をされている。小田と同じく大神楽によって裏社会の統率を取るよう金と権力を与えられ、日本最大の暴力団連合「保神会」の会長に大神楽の独断で就任した。大神楽の前でこそ道化のような役回りとなっているものの、日本最大の暴力団を操るとともに自衛隊の中にも数多くの私兵を隠し持っており作中でもその軍事力は他と一線を画す規模となっている。浜岡を擁立し大神楽に戦いを挑んだ際も、富士山麓の浜岡家の城に戦車や装甲車の軍勢を引き連れての立馬の攻撃には流石の征五郎たちも度肝を抜かれた。小田のようなカリスマ性には欠ける小心者だが執念深く、また身体的な戦闘力も凄まじいもので、私兵の中に裏切り者がいると知った際は一人ひとり電気椅子で拷問し、裏切り者たちには自ら全裸で金棒を用いて処刑を行った。大神楽に捕獲された際も女たちによる拷問に遭ったが自ら鎖を断ち切り大神楽に襲いかかった。怒りを発すると酒と一緒に甘味を大量に摂取するという難癖があり、飲酒量もあいまってかなりの高血圧。事あるごとに堂々とした全裸の描写があり、己の肉体に誇りを持っている様子。また女たちを侍らせての鍼灸を好み効果が出てくると男性器を激しく勃起させ女たちを担いで去っていくシーンも多い。

橘家[編集]

橘征一郎
橘組組長橘征蔵と本妻民枝の子。30歳。橘家の長男であり傲岸粗暴な性格で通夜の準備に顔を出した征五郎の服装に突っかかるなど、他の本家の男たちと同じく妾腹の征五郎を蔑視しており兄弟仲は悪い。長男という次期橘組組長の立場だったが能力的な面では征二郎には及ばず征二郎に継いでほしいという意見が多かった様子。その野望に火を灯した征五郎と片岡の戦いの犠牲者第一号として本家内で殺害され、その際には刺客にドスで12回も刺されるという壮絶な死に際を見せた。既婚者で、作中には登場しない邦夫という息子がいる。また愛犬家としての一面を持ち数多くの名犬を育て上げており、これらは彼の死後に征五郎によって疋矢に対する餌として使用されている。
橘征三郎
橘組組長橘征蔵と本妻民枝の子、橘征四郎とは双子の関係。28歳。征一郎死亡後の橘組告別式での混乱に乗じて征五郎片岡の放った刺客によって刺殺され、燃え盛る慈徳寺に果てた。
橘征四郎
橘組組長橘征蔵と本妻民枝の子、橘征三郎とは双子の関係。28歳。大吉会の勢力を預かった征五郎に不満を述べるなど征一郎と同じく妾腹の征五郎を軽んじている。若獅子会結成記念式典最中に囲っている女の住むマンションのエレベーター内で銃撃され、肩の傷で入院する。征二郎が跡目狙いのために本家の男たち皆殺しをたくらんでいるという征五郎の口車に乗せられ征二郎への疑惑と恐怖を抱き強引に退院、死んだ本家の男たちの部下を招集し征二郎への戦闘態勢を敷いた。征四郎の軽傷から征二郎も深い疑いを抱き、その後征二郎の二重スパイである平木組組長平木準二の死を境に、二人は征五郎の思惑通り川崎を舞台にした戦争を開始した。開始当時は優勢に事を進めていたものの征二郎の外人ヤクザ部隊を駆使した襲撃にあえなく敗北、他の部下たちともども拉致され、征二郎に手ずから処刑され、その際に澄んだ瞳で自分の愚かさを認め征二郎に許しを請って果てた。その後征五郎片岡によってセメントで固められ海に捨てられ真相は闇に葬られた。作中数コマのみ登場する妻の有子と作中に登場しない息子の康宏がいたが、征四郎の屋敷とともに焼死した模様。
留吉
橘本家に仕えている老人。征五郎を坊ちゃまと呼んでいる。通夜の席で片岡に酌をする際橘家の内部事情を片岡に説明した。幼いころから征五郎たちの世話をしており、征二郎の優秀さを深く理解している。征蔵の通夜の後は作中にほとんど登場しなくなった。

大吉会[編集]

藤森正吉
神奈川で橘組と対立する暴力組織「大吉会」会長。洋風の瀟洒な屋敷に住み、武闘派というよりは権謀でのし上がったヤクザの雰囲気がある。征一郎、征三郎殺害の容疑者として報復の対象にされ、片岡が提示した「命の値段」として現金10億か大吉会の縄張り全てを明け渡すという条件を蹴り、橘組との戦争を決意した。神奈川進出を狙っていた関西花岡組と便宜上協力関係にあり50人の助っ人を送ってもらう密約があったが征五郎たちによって50人を皆殺しにされ、橘組と花岡組に板ばさみにされ進退窮まる。財産を全て処分し国外逃亡するという片岡の案に乗って大吉会を捨て旅立ったが、片岡達の大吉会を奪い取る計画通り道中で交通事故を装って殺害、鉄骨に胸を串刺しにされた。 部下の田原に「みすみす損をするような男ではなく何か企みがあるのでは」と看破されるなど、小心者だが抜け目無い性格が伺われる。
不二塚忠夫
大吉会内不二塚組組長。会長藤森の片腕的存在であり、藤森とともに調停役に来た片岡を追い返した。しかし征五郎たちによる50人殺害後、屋敷に詰め掛けた花岡組疋矢繁の部下に日本刀で腕を切断され、その後の幹部会は欠席した。花岡組の50人の到着を駅で待つ際「胸騒ぎがする」と予感し、的中することとなった。

その他[編集]

中野
赤寺に顔面を握り潰される巡査。
西本洋
神奈川一区衆議院候補者の一人、新民クラブ公認候補者。新規新鋭の候補者で世間からの期待が高かったが元民自党出身で、中身は保守本流のドブ沼ということを征五郎たちに見透かされていた。また、実際顔だけポスター映りがいいように黒く焼いてはいたものの、顔以外の肌は真っ白でおまけに体は脂肪がつきまくっていることから、世間のイメージとは違う本性を持っているといえる。真新しいロックコンサートのような集会でブームに乗るつもりだったが、征五郎たちが雇ったストリーキングフーリガンたちに脱がされ、一緒に踊り自分のヌードで朝刊を飾られてしまい政治生命を絶たれた。
宮川義一
神奈川一区衆議院候補者の一人、共労党公認候補者。共労党は平和と民主主義、そして弱い者の味方の日本唯一の革命党、と作中で書かれている。しかし征五郎たちの策略で当たり屋の老人をはねた際征五郎たちにそそのかされ、自らの代議士の座を失うことを恐れた保身からその場を逃げ出してしまう。後日トクにそれをネタに脅迫された時に取引にやってきた男をナイフで刺し殺すという暴挙に出る等、人間性は党のスローガンからはかけ離れたものになった。最後は警察に捕まることを恐れ車で逃走を図ろうとしたところを柿崎に車のタイヤを打ち抜かれ、その先のガソリン入りのドラム缶に突っ込み死亡した。
野田兼介
神奈川一区衆議院候補者の一人、民自党公認候補者、野田精一の腹違いの弟、神急コンツェルン総帥。原木の後継者として橘征二郎に担ぎ出された候補者であり選挙の前から橘組と影で癒着していた。征五郎たちの策略で自分の娘同然に可愛がっていた飼い猫のクレオをオードブルにされてしまいパーティの会場でひどく錯乱してしまう。その後は極度の恐怖による疑心暗鬼で理性を失い橘組をヤクザの殺し屋だと征二郎の前で罵ってしまう、それによって征二郎に愛想をつかされ野田は自分の金とコネを利用し千葉法華会を雇うことになる。法華会は結局、征五郎たちによって刺客を全滅させられ、野田は暴力団をおおっぴらに置き社会的な信用までも失ってしまい挙げ句、征五郎が担ぎ上げた嘘の首謀者であり兄である野田精一を自分を落としいれた犯人だと信じ込み、とっくみあいをし、柿崎に兄ともども署に連行された、その後の生死は不明である。
野田精一
野田兼介の腹違いの兄。臨港石油社長。妻がいるにもかかわらずゴルフ場でキャディと思われる女性と公然でいちゃついたり、妊娠した自分の愛人を自分の部下と結婚させたりと非常に女癖の悪い人物と思われる。その性格が災いし征五郎に野田おろしの嘘の犯人としてでっちあげられた。兄ともども柿崎に署に連行され、その後は赤寺の放った刺客に自殺に見せかけられて殺された。
市原信
臨港石油専務取締役。野田精一の部下。征五郎が野田精一を嘘の犯人とでっちあげるさい、嘘の証人として担ぎ出された。野田の愛人を妻に持っており、そのさい愛人が野田の子を妊娠していたので子供も自分の子供でない、自分の役職も彼らにとって都合の良いために与えられたことだと自分の人生を嘆いた結果、復讐として嘘の証人になることを決意した。
原木三夫
民自党代議士。川崎地区を選挙区に持ち、政治家として権力をふるっている。影で橘征二郎と癒着しており、橘組の力で選挙の票数を確立し代議士の地位を守る一方で橘組の政治的権力の元となっている。県警本部長と県公安委員長の力もあいまってその権力には就任当時の柿崎もひれ伏すしかなく、柿崎を若造と叱咤し、征二郎たちの前で土下座を強要、川崎での力関係を新人署長に思い知らすこととなった。しかしその後征五郎と片岡に拉致され、柿崎との同盟の材料にされその後無残な水死体として役目を終える。汚いやり口で利権を漁っており、山林王紀伊ダラーと総会屋田崎との利権闘争を殺害の背後関係として柿崎に利用され、小田とのつながりを作るきっかけになった。「魚心あれば水心あり」や「水清ければ魚住まず」のようによく魚に関することわざを口にし、好色でなければ大臣にはなれないなど、破廉恥な人間性を覗かせる場面も。
一八
柳橋の料亭、東金に現れた太鼓持ち。東金で宴会をしていた関東保神会亀六組組長亀田六平に「ご趣向」と称して芸を披露し、他の芸者たちと共に六平を胴上げするなど盛大なひょっとこ踊りを演じた。柔和な顔つきだが、その正体は亀六を始末するため征五郎たちが雇った殺し屋。とっておきの「ご趣向」と称して、宴会の乱稚気騒ぎに乗じて六平を松ノ木に吊り上げて絞殺するという、カルト的な始末の手口を見せた。

書誌情報[編集]

  • 普及版 野望の王国(ゴラク・コミックス)
    1. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』1、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1977年8月。ISBN 4-537-00635-8
    2. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』2、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1977年8月。ISBN 4-537-00636-6
    3. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』3、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1977年9月。ISBN 4-537-00637-4
    4. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』4、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1977年10月。ISBN 4-537-00638-2
    5. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』5、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年1月。ISBN 4-537-00639-0
    6. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』6、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年3月。ISBN 4-537-00640-4
    7. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』7、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年5月。ISBN 4-537-00643-9
    8. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』8、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年7月。ISBN 4-537-00644-7
    9. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』9、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年9月。ISBN 4-537-00645-5
    10. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』10、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1978年11月。ISBN 4-537-00646-3
    11. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』11、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年1月。ISBN 4-537-00647-1
    12. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』12、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年3月。ISBN 4-537-00648-X
    13. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』13、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年6月。ISBN 4-537-00649-8
    14. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』14、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年8月。ISBN 4-537-00650-1
    15. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』15、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年8月。ISBN 4-537-00752-4
    16. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』16、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年10月。ISBN 4-537-00753-2
    17. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』17、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1979年12月。ISBN 4-537-00754-0
    18. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』18、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1980年2月。ISBN 4-537-00755-9
    19. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』19、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1980年4月。ISBN 4-537-00756-7
    20. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』20、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1980年6月。ISBN 4-537-00757-5
    21. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』21、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1980年11月。ISBN 4-537-00758-3
    22. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』22、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1981年8月。ISBN 4-537-00669-2
    23. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』23、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1981年11月。ISBN 4-537-00670-6
    24. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』24、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1982年2月。ISBN 4-537-00671-4
    25. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』25、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1982年4月。ISBN 4-537-00672-2
    26. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』26、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1982年6月。ISBN 4-537-00673-0
    27. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』27、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1982年8月。ISBN 4-537-00674-9
    28. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』28、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1982年9月。ISBN 4-537-00675-7
  • 愛蔵版 野望の王国(ゴラク・コミックス)
    1. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 1、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年6月。ISBN 4-537-03171-9
    2. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 2、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年7月。ISBN 4-537-03177-8
    3. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 3、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年8月。ISBN 4-537-03183-2
    4. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 4、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年9月。ISBN 4-537-03190-5
    5. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 5、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年10月。ISBN 4-537-03196-4
    6. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 6、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年11月。ISBN 4-537-03201-4
    7. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 7、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1988年12月。ISBN 4-537-03209-X
    8. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 8、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年1月。ISBN 4-537-03215-4
    9. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 9、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年2月。ISBN 4-537-03221-9
    10. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 10、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年3月。ISBN 4-537-03225-1
    11. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 11、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年4月。ISBN 4-537-03231-6
    12. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 12、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年5月。ISBN 4-537-03236-7
    13. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 13、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年5月。ISBN 4-537-03534-X
    14. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Violence 14、日本文芸社〈ゴラク・コミックス〉、1989年6月。ISBN 4-537-03539-0
  • コンビニコミック版(Gコミックス)
    1. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Vol.1 野望燃ゆ編、日本文芸社〈Gコミックス〉、2001年6月。ISBN 4-537-15012-2
    2. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『野望の王国』Vol.2 血の野望編、日本文芸社〈Gコミックス〉、2001年10月。ISBN 4-537-15020-3
  • 完全版 野望の王国(ニチブンコミックス)
    1. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』1、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2002年9月27日ISBN 4-537-10124-5
    2. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』2、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2002年9月27日ISBN 4-537-10125-3
    3. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』3、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2002年10月26日ISBN 4-537-10134-2
    4. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』4、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2002年11月27日ISBN 4-537-10143-1
    5. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』5、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2002年12月26日ISBN 4-537-10152-0
    6. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』6、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2003年1月9日ISBN 4-537-10163-6
    7. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』7、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2003年2月27日ISBN 4-537-10172-5
    8. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』8、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2003年3月27日ISBN 4-537-10180-6
    9. 雁屋哲原作、由起賢二劇画 『完全版 野望の王国』9、日本文芸社〈Nichibun comics〉、2003年4月24日ISBN 4-537-10191-1

脚注[編集]

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  1. ^ 原文では「馬鹿」と書かれた文字に「バロック」とのルビが振られている
  2. ^ 作中では三号と表記
  3. ^ 作中では二号と表記

外部リンク[編集]