連作

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連作(れんさく)

  • 同一の圃場で同一の作物を繰り返し栽培すること。本項で説明。
  • 一人の作者が特定の題材に基づいて複数の作品を作り、全体としてもある程度まとまった作品とすること。
  • 小説などで、複数の作者がそれぞれ一部分を分担して作品を作ること。合作の形態の一つ。

連作(れんさく)とは、同一の圃場で同一の作物を何度も繰り返し栽培すること。毎年度播種又は定植を行う草本性作物についてのことを言う場合が多い。

連作障害[編集]

連作に起因する何らかの理由(主として土壌に関係する理由)により、次第に生育不良となっていく現象を、連作障害れんさくしょうがい)という。連作障害のことを忌地厭地いや地(いずれも読みは「いやち」)ともいう。

原因[編集]

土壌中の微量元素のアンバランス
特定の肥料成分を多く施したり、植物の養分吸収特性に合わない施肥をしていると、微量要素の過剰症欠乏症(いわゆる生理病)が発生する。
塩害
無機の形態である肥料は、特定の肥料成分のみが作物に吸収される(例えば、硫安塩安では、アンモニウムイオンの部分だけが作物に利用される)ため、残渣(前述した肥料の場合、硫酸イオンや塩化物イオン)は土壌中に残る(土壌中の金属イオンと結合。塩類と総称される)。
塩類は水に溶けやすいものが多く、降雨によって地下水や水路に流出するが、 降雨の少ない乾燥地域や、施設栽培など雨に当たらない条件では、塩類が蓄積し、電気伝導度(EC)が上昇することで、塩害を招くこともある。
生理病や塩害は作物の病虫害抵抗性を低下させるため、後述する土壌病害や虫害の遠因となることがある。
土壌病害
特定の細菌ウイルスなどの病原体が土壌中に増加することにより、作物が侵される。アブラナ科野菜根こぶ病萎黄病等が代表的。連作障害の中では、発生すると最も対応が困難であり、しばしば産地が減衰する原因となる。土壌病害は灌漑水や農業機械により伝播されることもある。
虫害
特定の土壌害虫がその場所を生息地として定着し、作物が侵される。根菜類の線虫(センチュウ)害が代表的。害虫は病原体の媒介者となることがあり、結果として病害の増加につながることもある。
いや地物質の蓄積
ある作物は、他の植物の成長を抑制する物質(有機酸フェノール物質と言われている)を根から放出することにより、他の植物の成長を抑制することが知られている(アレロパシーの一種)。通常は作物自身が影響を受けることは少ないが、この物質の濃度が高まることにより、作物自身の生育に悪影響を与えてしまう場合がある。

回避方法[編集]

適切な施肥管理
土壌診断等を行い、作物の生育に応じて必要な施肥を行うことで、生理病の発生を抑制することができる。
有機物の投入
土壌病害や害虫は、生体の植物を侵すものがほとんどである。また、土壌中で一定以上の密度にならないと実害が発生しない。
このため、堆肥を投入したり、イネ科作物やマメ科作物を土中に鋤き込むなど、栽培作物以外の有機物を土壌に投入することで、土壌内の微生物相が多様化し、病虫害の発生を抑制することが可能となる。
土壌内の微生物相を多様化させることを目的とする微生物資材が数多く流通しているが、外来的に微生物を投入しても、投入した微生物が土壌内で優占しなかったという報告もあるので、微生物を直接投入するという宣伝の資材については、その効果を慎重に見極める必要がある。また、糖蜜などの微生物を増殖させる成分を含む資材については、一時的な増殖効果は期待できるかもしれないが、安定的に多様な微生物相を維持するためには、他の有機物を含めた継続投入を前提とするものが多い。
コンパニオンプランツ
病害虫の繁殖を防ぐために特定の作物を対象作物の傍らで育てて連作障害を回避する方法もあり、この場合に傍らに植える植物をコンパニオンプランツという。例えば、春ダイコンの場合にはネグサレセンチュウによる被害を防ぐためにアフリカマリーゴールドを植えたり、キュウリの場合には蔓割病を防ぐために葉ネギをコンパニオンプランツとして植えたりする。
湛水
多くの病原体や害虫は水中で長時間生存できないので、圃場に一定期間水を溜めることにより、病原体や害虫の密度を低下させることができる。また、水溶性の塩類や肥料成分も湛水中に溶出するので、塩害の軽減にも効果がある。
イネは連作障害を受けないという印象があるが、これは 水田が生育期間中は常時湛水状態にあるためであり、 陸稲は連作障害を受けやすい。
客土・深耕
客土は耕作層の土壌を取り除き、他から新しい土壌を入れること。深耕は耕作層の下層の土壌を耕作層と反転(天地返し)すること、又は耕作層と下層を混和すること。
一時的な連作障害の回避には有効であるが、その後の管理によっては再び連作障害を引き起こすことがある。
輪作
いくつかの異なる作物を同一圃場で作り回すこと。ヨーロッパの三圃式農業、日本の田畑輪換、北海道における輪作体系等がこれに相当する。
全ての原因に対して有効であるが、単一の作物を栽培するのに比べて多くの耕地面積を必要とする場合があるほか、作物毎に異なる技術を習得する必要がある。このため、圃場の団地化や、生産組合等による集団栽培などにより、経営効率を高める工夫が求められる。
一方、耕地の利用効率を上げ、同じ耕地面積あたりの収入を向上させる。
また、栽培する物を選ぶときには、近縁の作物を避けるなど注意が必要。例えばトマトの後にピーマンナス(いずれもナス科)を栽培した場合、共通の土壌病害に侵される可能性が高い。
接ぎ木
土壌病害はこの方法で随分回避できる。ただし、接ぎ木面から上部は元の植物体なので、雨などで土壌が跳ね上がるとそこから病気に感染する恐れがある。また、土壌病害以外の原因に対しては効果は低い。
養液栽培
連作障害の原因物質が蓄積することがない、あるいは蓄積しても培地の交換が容易なので、連作障害を回避しやすい。設備をそろえるのにある程度の投資が必要。
土壌消毒
土壌に燻蒸剤を処理することにより、病原体や害虫を駆除する方法。処理直後は土壌微生物がほぼ全滅しているので、作物の栽培によって病原体や害虫が優先的に増殖し、却って被害が拡大することもある(リサージェンス)ので、前述した有機物の投入などにより、微生物相を回復してから栽培を行うのが望ましい。
近年、燻蒸剤処理の代替方法として、プラスチックフィルムを土壌表面に張り、太陽熱により土壌温度を上昇させて物理的に病原体や害虫を駆除する太陽熱消毒法の普及が進んでいる。

土壌病害による連作障害を起こしやすい植物[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]