連作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

連作(れんさく)

  • 同一の圃場で同一の作物を繰り返し栽培すること。本項で説明。
  • 一人の作者が特定の題材に基づいて複数の作品を作り、全体としてもある程度まとまった作品とすること。
  • 小説などで、複数の作者がそれぞれ一部分を分担して作品を作ること。合作の形態の一つ。

連作(れんさく)とは、同一の圃場で同一の作物を何度も繰り返し栽培すること。毎年度播種又は定植を行う草本性作物についてのことを言う場合が多い。

連作障害[編集]

連作に起因する何らかの理由(主として土壌に関係する理由)により、次第に生育不良となっていく現象を、連作障害という。連作障害のことを忌地嫌地[1]厭地いや地(いずれも読みは「いやち」)ともいう。

野菜や果樹などの収益性の高い部門への選択的拡大が進み、麦類や雑穀といった普通作物の生産は衰退していく一方で専作傾向が進み、生産伝統的な輪作体系はほぼ完全に崩壊し、特定の作物の連作が一般化した[2]。その結果、連作障害が激化し、作物の安定生産を妨げる要因となっている[2]。連作障害の原因は土壌伝染性病害が非常に高い割合を占めているのに対して、土壌の化学性や物理性に関する原因の占める割合は低く、連作障害問題は土壌伝染性病害問題とも言える[2]

原因[編集]

土壌病害
土壌伝染性病害とも言われ、連作障害の主要な原因となっている。特定の細菌ウイルスなどの病原体が土壌中に増加することで、作物に被害を及ぼす。多くの野菜の連作障害の主原因となるフザリウム病、防除手段に効果的なものがない青枯病、アブラナ科野菜根こぶ病などが知られている[3]。線虫被害と合わせると、連作障害の原因の半数に上るという報告がある[3]。土壌病害は土壌酸度や水分量、灌漑水や農業機械による伝播なども影響する[2]
土壌の理化学性の悪化
肥料の施用不足、あるいは過剰施用によって、特定成分のアンバランスが生じて連作障害を引き起こす[3]。植物由来の有害物質の蓄積が原因とする考えがあるが、野菜の連作障害の直接的原因とはなりにくい[3]

対策[編集]

輪作
いくつかの異なる作物を同一圃場で作り回すこと。ヨーロッパの三圃式農業、日本の田畑輪換、北海道における輪作体系等が相当する。連作障害の著しい畑で輪作を始めた場合、連作障害が改善されない場合も珍しくない[4]
抵抗性品種(台木)の利用
抵抗性品種の土壌伝染性病害に対する被害低減効果は非常に高いが、育成に年月がかかる上、品質面に厳しい消費者には受け入れられにくい[3]。現在、抵抗性台木の利用はもっとも発達普及しているが、接ぎ木作業に多大な労力を要し、台木に土壌病害が発生すると効果はない[3]
有機物の投入
地力を高めて作物の健全な成長を促し、土壌伝染性病害の被害を軽減する効果が期待されるが、有機物を大量に投与すれば土壌伝染性病害は防除できるという誤解が生じている[3]。現在流通する有機物資材の多くは、試験場などの客観的評価を受けていない[3]。きわめて多種多様な物質が「有機物」とまとめられ、生同然の未熟なかたちで大量に施用される点、有機物の自給率が低くかなりの部分を購入に依存している点、有機物の不足(偏在)に目を付けた業者がノウハウや効果も不明確な袋詰め有機物が、農薬取締法あるいは肥料取締法に抵触する表現を用いて、連作障害防止あるいは土壌病害防除効果ありとして販売されている点が問題視される[2]。一方で、堆肥は肥料養分供給の他に、土壌団粒構造の発達、微生物代謝機能の促進といった地力の維持・増強の手段として古くから使用され、牛糞堆肥(完熟堆肥)は、フザリウム菌の伸長を抑制する効果がある[4]
土壌条件の変更
耕作層の土壌を取り除き、他から新しい土壌を入れて造成する方法(客土)や、耕作層の下層の土壌を耕作層と反転すること(天地返し)などが行われる場合があるが、一時的な連作障害の回避に留まり、再発も多いことから、根本的解決策としては否定されている[2]
土壌消毒
焼土機や蒸気消毒器などを用いて、土壌を加熱して、病原菌の感染源密度を低下させる方法である[2]。機械や設備が高価で、大面積の処理には不向きである[2]。近年、燻蒸剤処理の代替方法として、プラスチックフィルムを土壌表面に張り、太陽熱により土壌温度を上昇させ、物理的に病原体や害虫を駆除する太陽熱消毒法の普及が進んでいる。
コンパニオンプランツ
病害虫の繁殖を防ぐために特定の作物を対象作物の傍らで育てて連作障害を回避する方法もあり、この場合に傍らに植える植物をコンパニオンプランツという。例えば、春ダイコンの場合にはネグサレセンチュウによる被害を防ぐためにアフリカマリーゴールドを植えたり、キュウリの場合には蔓割病を防ぐために葉ネギをコンパニオンプランツとして植えたりする。
養液栽培
連作障害の原因物質が蓄積することがない、あるいは蓄積しても培地の交換が容易なので、連作障害を回避しやすい。設備をそろえるのにある程度の投資が必要。

土壌病害による連作障害を起こしやすい植物[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 塘隆男「いやち」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p36 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
  2. ^ a b c d e f g h 駒田旦「作物の連作障害 (イヤ地) とは」『農業土木学会誌』第53巻第11号、社団法人農業農村工学会、1985年、 967-974頁、 doi:10.11408/jjsidre1965.53.11_967
  3. ^ a b c d e f g h 駒田旦「連作障害の原因と対策」『農林水産技術研究ジャーナル』第1巻3-4、農林水産技術情報協会、1978年3月、 25-28頁。
  4. ^ a b 樋口太重「連作障害と微生物」『農業および園芸』第89巻第1号、養賢堂、2014年5月、 29-33頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]