追突
追突(ついとつ)または追突事故(ついとつじこ)は、停止または前進している車両の後部に、後続の車両が前進して衝突する類型の交通事故である[1][2]。玉突き事故(たまつきじこ)は追突事故の一類型である(後述)。道路交通で頻発するほか、鉄道でも起こり得る。
統計
[編集]警察庁の統計によると、2014年の1年間に日本国内で20万7485件の追突事故が発生した[3]。追突は、年間の交通事故の総件数(57万3842件)の36.1%、車両対車両の交通事故(49万8087件)の41.7%を占め、最も頻度の多い事故類型であった[3]。また、高速道路での人身事故のうち70%以上を追突が占める[4]。
2014年には日本国内で追突による死亡事故が227件発生した[3]。追突は、車両対車両の交通死亡事故のうちでは、出会い頭(543件)、正面衝突(384件)に次いで3番目に多い事故類型であった[3]。
車両単独事故の死亡事故率が5.00%、正面衝突の死亡事故率が3.06%であるのに対して、追突の場合の死亡事故率は0.11%であった[3]。
原因と防止策
[編集]原因のほとんどは運転時の考えごと、脇見、慣れにあり[4]、疲労、急ぎ、慌てといった要因が加わると事故の可能性が増大する。防止策として、運転に集中すること、車間時間を2秒以上空けること、停車時に前車と車間をとることが挙げられる[4]。
逆追突
[編集]前方に位置する自動車が、故意か過失かを問わず後退して、後方に位置する自動車に衝突する事故も存在し、俗に逆追突と呼ばれる。坂道発進で時折発生することがある。
玉突き事故
[編集]玉突き事故は、車両Aの後ろで停止または低速で前進している車両Bに、第3の車両Cが追突し、それにより前方に押し出されたBがAに追突する類型の事故である[5][6][7]。
鉄道の追突事故
[編集]鉄道における追突事故として、次のような例がある。
- 温州市鉄道衝突脱線事故(2011年、中国、死者40人)
- 東中野駅列車追突事故(1988年、日本、死者2人)
- 東急東横線元住吉駅追突事故(2014年、日本、死者無し)
出典
[編集]- ^ 「落下の鉄パイプ車貫通、衝突し男性死亡 大阪・西名阪道」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年7月19日。オリジナルの2005年7月21日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ 「路線バスと乗用車が衝突、1人死亡20人重軽傷…岐阜」『読売新聞』読売新聞社、2006年1月3日。オリジナルの2006年1月4日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b c d e 平成26年中の交通事故の発生状況(警察庁交通局、2015年3月19日)のp. 25-26
- ^ a b c 山岸 & 201901.
- ^ 「6台絡む玉突き事故、14人死傷 神奈川県の国道」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年7月19日。オリジナルの2004年7月21日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ 「車12台絡む事故で3人死亡、7人けが 京都」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年2月13日。オリジナルの2006年2月15日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ 「阪和道バス玉突き事故で運転手ら逮捕 乗客ら55人けが」『朝日新聞』朝日新聞社、2007年12月5日。オリジナルの2007年12月5日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
参考文献
[編集]- 山岸朋央「年末は特に注意! 追突事故」『JAFMATE』2019年1月号、日本自動車連盟、38-39頁。