軍艦島 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
軍艦島
군함도
監督 リュ・スンワン
出演者 ファン・ジョンミン
ソ・ジソブ
ソン・ジュンギ
イ・ジョンヒョン
製作会社 外柔内剛
配給 CJ E&M(旧CJエンターテインメント)
公開 大韓民国の旗 2017年7月26日
製作国 大韓民国の旗 韓国
言語 朝鮮語
テンプレートを表示
軍艦島
各種表記
ハングル 군함도
漢字 軍艦島
発音 クナムド
日本語読み: ぐんかんじま
ローマ字

2000年式 : Gunhamdo

M-R式 : Kunhamdo
題: Battleship Island
テンプレートを表示

軍艦島』 (ぐんかんじま、朝鮮語原題:군함도)は、2017年韓国映画

概要[編集]

本作は、日帝強占期(韓国における日本統治時代の呼称)、長崎県の通称「軍艦島」(端島)で「強制労働」させられていた400人余りの朝鮮人が決死の脱出を試みるアクション映画である。監督は、前作『ベテラン』で観客動員1,300万人以上を記録したリュ・スンワンが務めた。撮影は2016年6月17日に忠清北道清州市で始まり[1]、同年12月20日に江原道春川市で終了した[2]。本作は公開前から高い関心を集め、翌2017年1月25日に解禁された予告編は公開後わずか13時間で再生回数100万ビュー超を記録した[3]

2017年7月26日に公開されると、初日に97万人余りの観客を動員し韓国のオープニング興行記録を塗り替えたが、封切後は批判的な話題で取り上げられることが多くなった。まず問題となったのが韓国映画史上最多のスクリーン数を確保した公開スタイルで、公開初日のスクリーン数は韓国国内の全スクリーン数2575スクリーンに対して2168スクリーンという85%以上を占める数字であり、この映画館独占状態については観客はもちろん、各所から非難の声が集まった[4]

観客からは内容についての好評もあまり聞かれず、特に大きく問題となったのはエンターテインメントに寄り過ぎたという点で、歴史的事実を背景に創作しているとはいえ史実とは違うストーリー展開が批判を集めた。さらに朝鮮人労働者らが虐待にあう根本的原因が朝鮮人の親日派の人々のせいだという構成から、「軍艦島」と謳っているにもかかわらず日本びいきな作りになっているのではないかというレビューも多く寄せられるようになった[4]。日刊スポーツは同作が「観客が映画を通じて見たかった話を描くのに失敗」したために観客が離れてしまったとの分析を伝えており、韓国のネットユーザーからも厳しい声が寄せられ、ストーリーについての批判も目立っている[5]

論争[編集]

フィクションとはいえ、当時の「軍艦島」(端島)の実際の炭鉱の労働環境とかけ離れた大袈裟な脚色が見られるとして、端島の旧島民らから反論声明が出され、日韓友好を阻もうとする「一部の過激な活動家や運動家」が「日韓両国や両国民が敵対するように扇動する」ことを意図したプロパガンダ映画ではないかとの批判も挙がっている[6]

本作は軍艦島を、「強制徴用」された朝鮮人少年らが劣悪な環境で労働を強いられている「地獄島」として描写しており、それがあたかも事実であるかのように描いていることから、日韓双方で物議を醸した[7]。日本の産経新聞は、2016年に韓国で出版された児童向けの絵本『軍艦島 -恥ずかしい世界文化遺産-』についても言及し、これらの映画や絵本は韓国が官民挙げて取り組んだ軍艦島の世界遺産登録反対運動の一環であると報じた(世界文化遺産登録をめぐる日韓の確執については、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」参照)[8]。また、産経新聞は、故郷である軍艦島の姿が国内外で歪められることに憤りを感じている元島民たちが、正しい姿を後世に伝えるべく「真実の歴史を追求する端島島民の会」を結成したと報じた[8]

これに対して、韓国の朝鮮日報は、「右翼傾向の強い産経新聞」が映画や絵本を捏造扱いしたと反発し、韓国国務総理直属の「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会」が作成した実態調査資料や被害者等の証言記録を証拠として示した[9]。また、リュ・スンワン監督も「産経新聞は朝鮮人少年坑夫など存在しなかったと主張しているが、自分たちは取材をしており、数多くの証言集から事実だという他はない」と反論し、世界文化遺産として登録された以上、軍艦島の歴史は世界の人々が知るべきであり、「光と影の部分をどちらも潔く明らかにした時、文化遺産として真の価値を持つようになるのではないか」と述べた[10][11]。映画に先立つこと7月3日から10日の1週間、広告宣伝として「Island of Hell」など過激なコピーと共にニューヨークタイムズスクエアの電光掲示板に流された炭鉱夫の写真が軍艦島と無関係な写真であり、炭鉱夫も日本人であったことを指摘され、広報側はフェイクだったことを認めた[12]

当時を知る端島の旧島民やその子孫らは、映画と事実が違う点をいくつか挙げて、反論声明を駐日韓国大使と在日本大韓民国民団などに送った[6]

  • 映画では、憲兵による朝鮮人への激しい暴行を描いているが、警察官が2人ほど駐在していただけである[6]
  • 朝鮮人労働者には家族連れもいて、その子供らは日本人と同じ学校で一緒に学んでおり、映画のように奴隷のごとく「働かされていた」ということはない[6]
  • 映画では、朝鮮人労働者が地下1,000メートルの坑道での労働を強制させられたことになっているが、実際の坑道は地下710メートルを超えていたに留まっており、送風機が備えつけられ、水飲み場もあった。よって、坑道内は意外に過ごしやすく、少なくとも灼熱の環境などではなかった[6]
  • 多くの朝鮮人労働者が殺されたこともなく、米軍による空襲も1945年(昭和20年)7月31日の1度だけであり、その時に発電所などの施設が空爆された[6]

あらすじ[編集]

日本統治時代、日本・軍艦島に徴用された後、命をかけて脱出を試みる約400人の朝鮮人を描いた作品。

キャスト[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 유연석송중기·황정민·소지섭 출연 영화 '군함도' 크랭크 인ノーカットニュース 2016年6月23日付、朝鮮語、2017年2月22日閲覧.
  2. ^ Pierce Conran “BATTLESHIP ISLAND Ends 6-Month Shoot -Escape Drama Reunites RYOO Seung-wan and HWANG Jung-min-KoBiz 2017年1月2日付, 英語, 2017年2月22日閲覧.
  3. ^ 映画「軍艦島」予告編が100万ビューを突破=歴代最短での記録WoW!Korea 2017年1月28日付、2017年2月22日閲覧.
  4. ^ a b あの〈抗日〉映画「軍艦島」が思わぬ失速 韓国で非難された3つの理由 ニューズウィーク日本版、2017年8月19日付、2017年8月28日閲覧.
  5. ^ 韓国映画「軍艦島」、ヒットの記録を樹立も早くも勢いに陰り=韓国ネット「僕らが望んだストーリーと違う」「もっと歴史を勉強してから作って」 レコードチャイナ、2017年8月8日付、2017年8月28日閲覧.
  6. ^ a b c d e f 端島の旧島民らが韓国映画「軍艦島」に反論声明文「フィクションとことわれば許されるのか」(産経ニュース、2017年8月19日)
  7. ^ 【歴史戦】韓国映画「軍艦島」が封切り 史実に無い残酷な殺害シーン 反日感情を十二分に刺激 - 産経新聞(2017.7.26 21:42版/2017年7月27日閲覧)
  8. ^ a b 有元隆志、田北真樹子 「「軍艦島は地獄島…」韓国映画・絵本が「強制徴用」の少年炭鉱員を捏造 憤る元島民たち「嘘を暴く」」 産経新聞 2017年2月8日付、2017年2月22日閲覧.
  9. ^ 안상현日 산케이 "영화 '군함도'는 거짓…지옥도 아니었다"…개봉도 안한 영화에 발끈」 朝鮮日報 2017年2月8日付、朝鮮語、2017年2月22日閲覧.
  10. ^ 韓国映画『軍艦島』に対するねつ造主張に監督が反論」 中央日報日本語版 2017年2月9日付、2017年2月22日閲覧.
  11. ^ 【歴史戦】「歴史的事実を基にしている」 韓国映画「軍艦島」の監督が本紙報道に反論 - 産経新聞。(2017.2.9 20:36版/2017年7月27日閲覧)
  12. ^ http://s.japanese.joins.com/article/663/231663.html NYタイムズスクエア「軍艦島」広報映像の人物 朝鮮人ではなく日本人だった(1)]」(2017年07月26日)。2017年8月19日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]