足4の字固め

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右のレスラーが足4の字固めを掛けている

足4の字固め(あしよんのじがため)は、プロレス関節技である。英語名は「フィギュア・フォー・レッグロックFigure-Four Leglock)」。

概要[編集]

技をかけたときに、相手の両足がアラビア数字の「4」に見えるように交差することから命名された。古くはバディ・ロジャースの得意技として知られるが、日本においてはザ・デストロイヤーによって一般的に知られるようになった。ロジャース当時はスピニング・レッグロックと呼ばれており、フィギュア・フォー・レッグロック=足4の字固めと名付けたのはデストロイヤーである。

1995年10月9日、東京ドームで行われた新日本プロレスUWFインターナショナル対抗戦の武藤敬司高田延彦戦において、武藤は高田の足を狙ってドラゴンスクリュー低空ドロップキックを連発し、最後は足4の字固めへ移行し、タップアウト勝ちを収めた。この試合以後、武藤は高田戦での攻撃展開を自身の勝ちパターンとして定着させたほか、プロレス界全体においても足4の字固めはフィニッシュ・ホールドとして再度脚光をあびることともなった。

2000年以降もフィニッシュ・ホールドとして使うレスラーは少ないものの多数のレスラーが使っている。

掛け方[編集]

ザ・デストロイヤーの場合は、仰向けに倒れている相手の左足を取りスピニング・トーホールドのように体を回転する。相手の右膝のあたりに取った左足を上に乗せ、その上から自分の左足をかぶせるようにロックする。ジャック・ブリスコらのように体の回転を省略して掛けるレスラーもいる。脚が太ければ太いほど強烈に締まり、容易には外れない。

裏返しの姿勢になると技をかけている方が痛いと言われているが、テレビ朝日の「報道ステーション」におけるインタビューでデストロイヤー自身は「痛くない方法でかけることが可能だ」として否定している。この駆け引きは試合での見せ場となる(力道山対ザ・デストロイヤー戦はしばしば裏返し合戦になった)。デストロイヤーは左右の足を逆にして技をかける事もできた。ミスター高橋は「裏返しであろうと掛けられた方のダメージが大きい」と裏返しの効果そのものを否定している[1]

但し男性の人体の構造上、仕技者・被技者共に苦痛が伴う事は確実であり、デストロイヤーに関しては特殊な技術若しくは体質を保有していたと理解される。

派生技[編集]

パワーズ・ロック(8の字固め)[編集]

主にジョニー・パワーズが使用した技で、もともとはパワーロックPowerlock)と呼ばれる独特の足4の字固め。はじめに右足を取る際に受け手と正対せず、受け手の左足つま先側に体を向けながら右足のフックを行い、体を回転させずにその場で左足を取って中腰の姿勢で足4の字を完成させてからマットに倒れこむ。技が完成するまでの間、常に受け手の左足の死角に自らの体を位置させるため、技が完成する前に下からの蹴りで反撃されるリスクが軽減されているが、完成した形は通常の足4の字固めと全く同じになる。足を8の字に固めてはいないため、一般的には「足4の字より2倍効く」という意味であるとされる。ただし、技を掛けた後「自らのつま先と踵をクロスさせ、フックを強固にすると同時に(かなり強引にではあるが)8の字に見せていた」という説もある。実際にパワーズのフィニッシュ・ムーブの一つに「足4の字固めを極められた際の定石である "受け手が自らひっくり返ることで、掛け手側に逆に痛みを与える" という返し技を受け手にわざと行わせるが、痛みの逆転効果が発生せず、そのまま受け手からギブアップを奪う」というものがあり、「足4の字より2倍効く」パワーズ・ロックならではのムーブであるとされていた[2]
なお、リック・フレアーの娘であるシャーロット・フレアーも、フィギュア・エイト(8の字固め)と呼ばれる足4の字固めをフィニッシュ・ムーブの一つとして用いているが、こちらは通常の入り方で足4の字固めを極めてから自らブリッジを行い、足の締め上げを更に強烈にするというもので、パワーズ・ロックとは異なる技である。実況中継では足4の字固めが極まった段階ではフィギュア・フォーと呼び、ブリッジが完成した段階でフィギュア・エイトと呼び分けられている。
漫画『キン肉マン』では、スカル・ボーズとデビル・マジシャンの「宇宙一凶悪コンビ」のツープラトン技として、首4の字と足4の字を同時に敢行し、さらに掛け手が互いにリングロープを引っ張ることで受け手の胴体を牛裂きのように引き裂くフィニッシュ・ムーブが登場し、これを「本物の8の字固め」と称していた。

グランドクロス200 & ナガタロック[編集]

安生洋二はグランドクロス200、永田裕志はナガタロック(I)として使用。女子ではキャンディー奥津がグランドクロスの名称で使用していた。
技の完成型はほぼ同じだが、足をフックする際のムーブなどに若干の違いがある。永田の場合は、技の前に敬礼ポーズをとるのがお決まりとなっている。なおグランドクロス200の「200」は安生のキャッチフレーズである「ミスター200%」が由来であり、技の形そのものを表している訳ではない。

裏足4の字固め[編集]

相手を裏返した状態で極める変形の足4の字固め。ラッシャー木村が考案した。他の使い手にはケンドー・カシン吉江豊がいる。
技の構造は4の字固めと関連性は薄く、うつ伏せの相手の両足をロックして極める膝固めといった方が表現としては近い。4の字固めをかけた相手に対する切り返し技を指す場合もある。

一本足4の字固め[編集]

一本足で相手の足をフックする変形4の字固め。ケンドー・カシンが主な使用者。漫画『グラップラー刃牙』で主人公の範馬刃牙が使用するシーンがある。

鉄柱4の字固め[編集]

鉄柱を使った4の字固め。技をかける側がリングの外に出てかける。代表的な使い手にブレット・ハートがいる。なお、構造物を技に利用しているため本来は反則である。

その他、タランチュラと呼ばれる技のバリエーションとして、足4の字固めをかけながらロープにぶら下がるものがある。

4の字を利用するその他の技[編集]

足4の字固めは相手の足を4の字状にクロスさせるものだが、自分の足、または腕を利用する4の字(フィギュアフォー)は多くの関節技、絞め技、またはフォール技に使用される技術である。足4の字で相手を絞めるものには首4の字固め(フィギュアフォー・ネックロック)、三角絞め、胴絞めがある。足4の字で相手の腕を極めるものはキーロックである。

また、バックマウントポジションでのトップライドや片エビ固めを狙う場合においても、足4の字で相手の股関節をロックし、コントロールすることがある。

腕4の字を使って相手の関節を極めるものにはトーホールドダブルリストロックトップリストロックなどがある。

得意とする主なレスラー[編集]

返し方[編集]

  • 掛けられる前にロックされていない片足で相手を蹴って押し返す(スピニング・トーホールドと同様)。
  • 掛けられる前に顔面を張るかパンチをして相手をダウンさせる。
  • スモールパッケージホールドなどで丸め込んでフォールに持ち込む。

その他[編集]

出典[編集]

  1. ^ ミスター高橋『知らなきゃよかった プロレス界の残念な伝説』宝島社、2018年。ISBN 9784800289216 pp.170-171
  2. ^ ジョニー・パワーズのパワーズ・ロック - ミック博士の昭和プロレス研究室