高校殺人事件

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赤い月 (松本清張)から転送)
高校殺人事件
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出 『高校上級コース』/『高校コース』 1959年11月号 - 1961年3月号
初出時の題名赤い月
出版元 学習研究社
刊本情報
刊行 『高校殺人事件』
出版元 光文社
出版年月日 1961年12月10日
装幀 伊藤憲治
挿絵 桂ユキ子
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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高校殺人事件』(こうこうさつじんじけん)は、松本清張の長編推理小説。『高校上級コース』(1960年4月号以降は『高校コース』)に連載され(1959年11月号 - 1961年3月号)、1961年12月に光文社カッパ・ノベルス)から刊行された[1]。連載時のタイトルは『赤い月』。

1977年に「少年ドラマシリーズ」の一つとして、連続テレビドラマ化された。

概要[編集]

松本清張では希少なジュブナイル作品の一つで[2]、高校生グループが事件の真相を探る異色作。カッパ・ノベルス版の発行部数は66万部を記録している。

あらすじ[編集]

武蔵野台地の一角、多摩川の流れを見おろす、かつての城あとに、私たちの高等学校はあった。高校3年の私たちグループの一員で、ポーの心酔者である通称「ノッポ」が、学校の裏の沼で無惨な死にかたをしたのは、沼のほとりに蛙やいもりの出没する晩春のことである。彼は闇の中から流れてくる妖しい笛の音に魅せられて、人気のない深夜の沼に入って行ったという……。

主な登場人物[編集]

  • 原作における設定を記述。
羽島謙
本作の主人公で高校3年生。大学進学の目標は一応あるが、まだのんびりとかまえている。
小西重介
同級生の仲間グループの中心。背が高く「ノッポ」と呼ばれている。飄々と歩き、怪奇的な詩について考えている。
坂本信子
仲間グループの一人。通称ノンちゃん。活発な性格。喫茶店の娘で推理小説好き。
手島加奈枝
仲間グループの一人。絵がうまく。ふだんはおとなしいほうだが、大人っぽい美貌を持つ。
中島 
仲間グループの一人。
柳田
総じて成績のよくない仲間グループのなかで、主席を続けている唯一の秀才。
山口
仲間グループの一人。
中村先生
主人公の学級担任で英語を教えている。
倉田春恵
高校近くの寺・享光院の住職。51歳。
良念
享光院の若い坊さん。
羽島さち子
主人公の一つ年下のいとこ。文学少女で成績が良い。主人公に綺麗な少女と評される。名探偵。

エピソード[編集]

  • 東野圭吾は、高校時代に最初に読んだ松本清張作品が本作であり、「それまで推理小説というものに接したことは一度もなかった。次姉がすでに松本清張の愛読者になっていたのだが、なんかしらんけど退屈そうなもん読んどるなあと思うだけで、全く関心を持てなかったのだ。ほかにはどういうものがあるのかなと思い、次姉の本棚を眺めた。松本清張の『高校殺人事件』という本が目に留まった。やはり学生が主人公の作品のほうが、とっつきやすかったのだ。その本を今度は三日で読んだ。読みだしたらやめられなくて、布団の中でいつまでも頁をめくっていたなんてことは、生まれて初めての経験だった」と述べている[3]

テレビドラマ[編集]

赤い月
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『高校殺人事件』
脚本 岩間芳樹
演出 花房實ほか
出演者 高野浩幸
村地弘美ほか
製作
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1977年4月4日 - 5月5日
放送時間月曜 - 木曜/18:20 - 18:40
放送枠少年ドラマシリーズ
放送分20分
回数20
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ドラマタイトル『赤い月』。1977年4月4日から5月5日まで、NHKの「少年ドラマシリーズ」枠(18:20-18:40)で放送された(全20回)。

キャスト
スタッフ
NHK 少年ドラマシリーズ
前番組 番組名 次番組
困ったなア
(1977.3.7 - 24)
赤い月
(1977.4.4 - 5.5)
アン通り47番地
(1977.5.9 - 26)

脚注・出典[編集]

  1. ^ 挿絵は桂ユキ子が担当した。
  2. ^ 松本清張の他の少年少女向け作品としては、『決戦川中島』『徳川家康』『軍師の境遇』『山中鹿之助』などの伝記作品がある。
  3. ^ 東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』(1995年、集英社)135頁。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]