谷間の百合

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谷間の百合』(たにまのゆり、仏語 Le Lys dans la vallée)はオノレ・ド・バルザックによる長編小説[1]。彼の「人間喜劇」では「風俗研究」の「田園生活風景」に分類されている。

1835年に『パリ評論』に冒頭部分から二回連載されたが中断し、翌年に完成版として出版された。

復古王政初期を時代背景に、語り手である青年貴族フェリックスと薄幸のモルソフ伯爵夫人との悲恋を描く。

心気症とは頭痛や胃痛といった、些細な心身の不調を誤って解釈し、「がんなどの重篤な病気にかかっているのではないか」と思い込んでいるものである。いくら検査などで身体に異常がないと指摘されても、容易に考えを変えることができず、病院を転々とすることもしばしばある。たとえば、バルザックの『谷間の百合』に出てくるモロソフ伯爵がこれにあたる[2]

脚注[編集]

  1. ^ バルザックはスタンダールなどに比べてはるかに描写が多い。金原瑞人は「小説は、“圧縮”されていない情報である」(『サリンジャーに、マティーニを教わった』潮出版社 2015年)の中でフランスの作家・評論家アンドレ・モロワが「この作品の風景描写を読み飛ばす読者は、バルザックのよさがわかっていない」という内容のことを書いているという。
  2. ^ 中外医学社『コメディカルのための専門基礎分野テキスト 精神医学』171ページ