イギリス議会開会式

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イギリス議会開会式(イギリスぎかいかいかいしき、State Opening of Parliament)は、イギリスの議会開会における式典であり、国王演説を含む。

概要[編集]

君主の登庁[編集]

イギリスの君主は正装して、議会へ向かう[1]。先行するヨーマン・オブ・ザ・ガードが、17世紀のガイ・フォークス事件(火薬陰謀事件)の名残で、儀礼的に治安調査を行う[1]。次いで、軍旗分列行進式英語版(Trooping the Colour)が華麗に執り行われる[2]

そして、騎乗した君主[注釈 1]を先頭に、王族と近衛兵が付き従い、バッキンガム宮殿から首相官邸裏広場まで行進する[2]。広場では、君主は閲兵を行い、近衛騎兵や男性王族が勇壮な馬術を披露する[3]。近衛兵が1500名、馬が200頭も参加する壮麗な儀式であり[2]、各界の功労者や抽選で選ばれた7000名が観覧することが出来る[4]

国王(女王)演説[編集]

君主による演説が行われる。原稿は政府が用意したものであるが、「私の政府」の表現が用いられる[5]

人質[編集]

国王チャールズ1世が議会側との抗争(イングランド内戦)により敗北、処刑された。すなわち「議会が国王と敵対」していた経緯から、君主は議員を人質とする慣習が残る[6]

与党の院内副総務クラスのベテラン議員が、儀式が終了するまでバッキンガム宮殿に「拘束」されるが、実際には宮殿の侍従長とお茶を飲み交わす程度であるとされる[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ エリザベス2世は、やがて高齢のため馬車を用いるようになった[2]

出典[編集]

  1. ^ a b 黒岩 1997 p.10
  2. ^ a b c d e 黒岩 1997 p.11
  3. ^ 黒岩 1997 p.11-12
  4. ^ 黒岩 1997 p.12
  5. ^ 黒岩 1997 p.34
  6. ^ 黒岩 1997 p.10-11

参考文献[編集]

  • 黒岩徹『物語 英国の王室 おとぎ話とギリシア悲劇の間中央公論新社〈中公新書〉、1997年1月。ISBN 4-12-101341-7、ISBN-13:978-4-12-101341-5。 

関連項目[編集]