警視庁捜査一課十一係シリーズ

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警視庁捜査一課十一係シリーズ』(けいしちょうそうさいっかじゅういちがかりシリーズ)は、麻見和史による推理小説のシリーズ。シリーズ累計発行部数は40万部を突破している[1]

概要[編集]

刑事だった父の跡を継ぎ、警視庁捜査一課の刑事となった如月塔子と彼女が所属している警視庁捜査一課十一係のメンバーが様々な事件に立ち向かう。

現在、日本の警察小説分野では組織と個人の対立や、部署同士の軋轢を描いたものが多くみられるが、本シリーズは本格ミステリ的な謎解きを重視した点に特徴がある。作品の構成としては「冒頭に提示された謎」→「警察組織による捜査」→「推理による犯人の特定」というスタイルをとる。推理の手がかりは物証であることが多く、医療、工業、建築など幅広いジャンルから題材が選ばれている。

このシリーズは、当初から映像化されやすいように、適度なユーモアを加えること、極度にグロテスクな場面や性的暴行などは描かないことなどを心がけて書かれたため、手足や首を切断された遺体は登場しない[2]

講談社ノベルス版では、サブタイトルが〈警視庁捜査一課十一係〉であるが、講談社文庫版では〈警視庁殺人分析班〉に改題されている。これは、チーム感を出すためであり、また、文庫は表紙のスペースに限りがあるためとしている[3][4]

2015年、第1作『石の繭』が木村文乃の主演でテレビドラマ化され、8月16日から全5回、WOWOWにて放送された[5]

2016年、第3作『水晶の鼓動』がテレビドラマ化され、11月13日から全5回、WOWOWにて放送された。

主な登場人物[編集]

警視庁刑事部[編集]

捜査第一課殺人犯捜査第十一係
如月塔子(きさらぎ とうこ)
警視庁捜査一課の刑事だった父・功の遺志を継ぎ、同じ捜査一課の刑事となった。小柄で童顔である。巡査部長。身長は152.8センチメートル[6]。誕生日は2月9日。「塔子」という名前は、出産予定日が10日だったことに由来する[7]。『石の繭』で26歳。
鷹野秀昭(たかの ひであき)
塔子とコンビを組んで塔子の指導的立場をつとめる。警部補。身長は183センチメートル[8]。捜査能力が高く、事件の捜査で数々の成果を挙げている。飄々とした性格で、少し風変わりな人物として知られている。昼行灯と呼ばれることもある。100円ショップ見物が趣味であるが、それが遺留品の捜査に役立つこともある。記録魔で、現場で何十枚も写真を撮り、後で分析して筋読みに活かすことが多い。トマトジュースが好きで、普段からよく飲んでいる。『石の繭』で31歳。
尾留川圭介(びるかわ けいすけ)
チームのムードメーカー的存在でコンピューターに強い。自称、帰国子女。話し好きで、調子の良いところがある。情報収集だといって、普段からいろいろな女性と会っている。軽い乗りで話すので、女性警察官の間で人気が高い。年齢は塔子の次に若い。巡査部長。『石の繭』で29歳。
徳重英次(とくしげ えいじ)
チームの最年長メンバーで温厚で控えめなタイプだが、人間観察は鋭い。腹部がぽっこり出ているため、七福神の布袋さんのように見える。トクさんと呼ばれている。趣味は、インターネットの掲示板にアクセスすること。巡査部長。『石の繭』で53歳。
早瀬泰之(はやせ やすゆき)
捜査経験が豊富なチームリーダーで周りからは慕われているが、本人はストレスに悩まされ胃薬が欠かせない。係長。『石の繭』で45歳。
門脇仁志(かどわき ひとし)
主任。筋肉質でがっちりとした体格の持ち主である。身長は、鷹野より少し低い。大学時代にラグビーをやっていた。行動はきわめて積極的で、時には強引な捜査を進めることがあり、ラッセル車と呼ばれている。頑固なところがあり、捜査方針を巡って上司と衝突することもある。後輩の面倒見は良く、若い刑事から人望を集めている。警部補。『石の繭』で36歳。
その他
神谷太一(かみや たいち)
捜査第一課 課長。功とコンビを組んでいたことがある。
手代木行雄(てしろぎ ゆきお)
捜査第一課 管理官。相手を追及するときに蛍光ペンの先を向ける癖がある。
鴨下潤一(かもした じゅんいち)
鑑識課 警部補。カモさんと呼ばれている。癖っ毛である。
樫村伸也(かしむら しんや)
捜査第一課特殊犯捜査第一係 警部。
河上啓史郎(かわかみ けいしろう)
科学捜査研究所 研究員。気難しい印象の男性。黒縁眼鏡をかけ、清潔な白衣を着ている。『石の繭』で30代後半。
吉富哲弘(よしとみ てつひろ)
刑事部長。均整のとれたスポーツマンのような体格をしている。『奈落の偶像』で48歳。

その他の人々[編集]

如月功(きさらぎ いさお)
塔子の父。『石の繭』から11年前に身体を壊して退職し、その翌年に病気で亡くなる。
如月厚子(きさらぎ あつこ)
塔子の母。

シリーズ作品[編集]

石の繭[編集]

  • 単行本:2011年5月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2013年5月 講談社文庫
  • あらすじ:3月9日、モルタルで石像のごとく固められた変死体が発見され、現場には犯人の遺留品と思われるものが遺されていた。

蟻の階段[編集]

  • 単行本:2011年10月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2013年10月 講談社文庫
  • あらすじ:5月10日、周りに4つのもの、頭蓋骨、白い花、掛け時計、スープ皿が置かれた惨殺遺体が発見される。

水晶の鼓動[編集]

  • 単行本:2012年5月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2014年5月 講談社文庫
  • あらすじ:9月26日、壁のクロス、箪笥や机、被害者の血溜まりにいたるまで、全てがラッカーで真っ赤に染められた事件が発生する。

虚空の糸[編集]

  • 単行本:2013年4月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2015年5月 講談社文庫
  • あらすじ:ナイフを握った刺殺された遺体が発見される。その直後、犯人が特捜本部を脅迫してくる。

聖者の凶数[編集]

  • 単行本:2013年12月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2016年1月 講談社文庫
  • あらすじ:顔と腕が破壊された遺体が見つかる。遺体には27という数字が刻まれていた。

女神の骨格[編集]

  • 単行本:2014年12月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2016年11月 講談社文庫
  • あらすじ:火災があった現場で白骨遺体が見つかるが、頭部は男性、胴部は女性のものと判明した。

蝶の力学[編集]

  • 単行本:2015年12月 講談社ノベルス
  • 文庫本:2017年7月 講談社文庫
  • あらすじ:資産家の男性が殺害され、妻が誘拐されるという事件が発生し遺体には猟奇的な装飾が施されていた。

雨色の仔羊[編集]

  • 単行本:2016年11月 講談社ノベルス
  • あらすじ:タオルに血で書かれたSOSを手掛かりに捜査を開始した刑事・如月塔子と相棒の鷹野。しかし彼らが発見したのは、監禁されすでに事切れた被害者だった。

奈落の偶像[編集]

  • 単行本:2017年7月 講談社ノベルス
  • あらすじ:銀座7丁目のブティックのショーウィンドーで、男性の遺体が首を吊った状態で発見される。被害者が穿いていた靴下からは、黒いアルミホイルと蓄光テープが見つかる。塔子らは捜査を開始する。しばらくして、付近で不審なICレコーダーが発見される。

単行本未収録作品[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 『奈落の偶像 警視庁捜査一課十一係』麻見和史|講談社ノベルス
  2. ^ 作家の不思議(4) ドラマ化はどのように決まるのか: 麻見和史のイベント・シンポジウム日記
  3. ^ 『石の繭』(文庫版)関連(3) 価格とサブタイトル: 麻見和史のイベント・シンポジウム日記
  4. ^ 『石の繭』は『廃屋のトレミー』だった?”. 麻見和史 (2015年8月4日). 2017年9月30日閲覧。
  5. ^ 木村文乃、初の女刑事役「メリハリをつけて演じたい」”. ORICON STYLE (2015年6月16日). 2017年9月30日閲覧。
  6. ^ 『雨色の仔羊 警視庁捜査一課十一係』 講談社ノベルス、2016年11月、15ページ
  7. ^ 『雨色の仔羊 警視庁捜査一課十一係』 講談社ノベルス、2016年11月、142ページ
  8. ^ 『雨色の仔羊 警視庁捜査一課十一係』 講談社ノベルス、2016年11月、16ページ