診断群分類包括評価

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DPC導入状況 [1]
病院数 ベッド数
DPC対象 DPC準備 DPC対象 DPC準備
平成15 82 - 66,497 -
平成16 144 - 89,330 -
平成18 359 371 176,395 114,057
平成20 713 843 286,088 192,242
平成21 1,278 331 430,224 57,965
平成22 1,388 266 455,148 41,407
平成23 1,447 201 468,362 27,751
平成24 1,505 248 479,539 34,502
平成25 1,496 244 474,981 34,501
平成26 1,585 278 492,206 36,458

診断群分類包括評価(しんだんぐんぶんるいほうかつひょうか)は、日本における医療費の定額支払い制度に使われる評価方法。DPC(Diagnosis Procedure Combination;診断群分類)に基づいて評価される入院1日あたりの定額支払い制度でDPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)と呼ばれる。

導入状況[編集]

診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度は2003年4月より全国82の特定機能病院等において開始された[1]

2006年からDPCに基づき定額支払い制度を導入している病院の名称がDPC試行的適用病院から「DPC対象病院」、DPCの定額支払いに関するデータを提供する病院の名称はDPC調査協力病院から「DPC準備病院」へと変更となりDPC包括評価の本格的到来が示唆された。

平成26年時点では全一般病床の約55%を占めている[1]

DPC対象病院の要件(2014年度)[編集]

診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度を導入するには必要な要件があり、「DPC制度への参加等の手続きについて」として厚生労働省保険局医療課長名で通知されている。(平成26年3月27日保医発0327第2号)

  1. 急性期入院医療を提供する病院として一般病棟基本料等の7対1又は10対1入院基本料に係る届出
  2. 診療録管理体制加算に係る届出
  3. 標準レセプト電算処理マスターに対応したデータの提出を含め厚生労働省が実施する「DPC導入の影響評価に係る調査(特別調査を含む。)」に適切に参加
  4. 上記 3. の調査において、適切なデータを提出し、かつ調査期間1か月あたりの(データ/病床)比が0.875以上
  5. 適切なコーディングに関する委員会の設置(最低年2回以上実施)

望ましいとされる要件

  • 急性期入院医療を担う病院として救急医療管理加算の届出を行っていること
  • 診療録管理体制加算1の届出を行っていること
  • 適切なコーディングに関する委員会の毎月開催
  • 適切なコーディングに関する委員会開催時の「DPC/PDPS傷病名コーディングテキスト(厚生労働省保険局医療課)」活用


DPC対象病院となった後に要件を満たさなくなった場合

上記 1.〜3. の要件を満たせなくなった場合は3ヶ月間の猶予期間を設け、3ヶ月を超えてもなお基準を満たせない場合には、DPC対象病院から退出する。4. の要件については、各年10月から翌年9月までのデータで判定され、基準を満たしていない場合は判定後の翌年4月1日にDPC制度から退出となる。

※退出した場合でも「DPC導入の影響評価に係る調査(特別調査を含む。)」に2回(2年)適切に参加しなければならない。

診断群分類[編集]

診断群分類数の状況
改定時期 MDC数 傷病名数 診断群分類総数 うち包括分類数
 2003年4月   16  575 2,552 1,860
 2004年4月   16  591 3,074 1,726
 2006年4月   16  516 2,347 1,438
 2008年4月   18  506 2,451 1,572
 2010年4月   18  507 2,658 1,880
 2012年4月   18  516 2,927 2,241
 2014年4月   18  504 2,873 2,309

診断群分類は、1986年の米国エール大学における、一般産業でいうQC活動を医療に応用するための研究に端を発している。その後、各国でさまざまな形で応用され、米国で開発された診断群分類は、DRG(Diagnosis Related Group)と呼ばれている。DRGには資源消費の均質性という特徴があり、1983年、米国において、メディケアの入院医療費の支払方法として診断群分類ごとの包括支払い方式が採用された。これをDRG/PPSという。

1996年、日本でも診断群分類をベースとした定額制の方向が示され、1998年に急性期入院医療費の定額支払い方式の試行事業(日本版DRG/PPS)が開始された。その後2003年にこの診断群の考え方を踏襲して誕生したのがDPC包括支払いである。 DPC(診断群分類)とは、患者ごとに傷病名や年齢、意識障害レベル(JCS)、手術、処置の有無などの治療行為を組み合わせたものである。DPC対象病院が増えてきたこともあり「DPC=包括支払い」と認識されがちであるが、DPCはあくまで診断群分類を意味しており、包括支払い制度を意味するものではない。DPCという呼称については混乱を避けるため、支払制度としてのDPC制度の略称についてはDPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)とすることで2010年12月16日のDPC評価分科会において整理されている。

日本における診断群分類は、医療資源を最も投入した傷病名により分類し、次に、診療行為(手術、処置等)等により分類する構造となっている。傷病名は国際疾病分類(ICD10)、診療行為等については、診療報酬上の区分で定義されている。

2014年4月改定におけるDPCの分類項目は2,873分類であるが、包括評価対象となる診断群分類は2,309分類であり、これに該当しない患者は従来どおりの出来高払いとなる。包括評価の範囲は、主にホスピタルフィー的要素(入院基本料・検査・画像診断・投薬・注射・1,000点未満の処置などの施設報酬)であり、ドクターフィー的要素(手術料・麻酔料・1,000点以上の処置などの医療技術料)は対象外となる。従来の点数にあてはめてみると、DPCの対象となる入院患者に算定できる診療報酬の約7割が包括範囲に含まれている。(あくまでも全体の平均であり、手術等の無い入院の場合には包括部分が9割を超す場合や、短期の手術目的での入院では包括部分が1割未満の場合がある)


また、2014年4月改定より一定程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な検査・手術の診断群分類を短期滞在手術等基本料3の対象とした上で、包括範囲を全診療報酬点数とする見直しが行われた。入院5日目までに該当する手術・検査を実施した場合は短期滞在手術等基本料3として入院5日目まで定額の診療報酬となる。 なお、短期滞在手術等基本料3はDPC対象病院に限定されず、保険医療機関(診療所を除く)において、入院5日目までに該当する手術等を行った場合は短期滞在手術等基本料3の対象となる。

短期滞在手術等基本料3に該当する手術・検査と診療報酬は次のとおり。

  • D237 終夜睡眠ポリグラフィー1 携帯用装置を使用した場合 16,773点
  • D237 終夜睡眠ポリグラフィー2 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合 9,383点
  • D237 終夜睡眠ポリグラフィー3 1及び2以外の場合 9,638点
  • D291-2 小児食物アレルギー負荷検査 6,130点
  • D413 前立腺針生検法 11,737点
  • K008 腋臭症手術2 皮膚有毛部切除術 17,485点
  • K093-2 関節鏡下手根管開放手術 20,326点
  • K196-2 胸腔鏡下交感神経節切除術(両側) 43,479点
  • K282 水晶体再建術1 眼内レンズを挿入する場合 ロその他のもの 27,093点
  • K282 水晶体再建術2 眼内レンズを挿入しない場合 21,632点
  • K474 乳腺腫瘍摘出術1 長径5cm未満 20,112点
  • K617 下肢静脈瘤手術1 抜去切除術 27,311点
  • K617 下肢静脈瘤手術2 硬化療法 9,850点
  • K617 下肢静脈瘤手術3 高位結紮術 12,371点
  • K633 ヘルニア手術5 鼠径ヘルニア(15歳未満の場合) 29,093点
  • K633 ヘルニア手術5 鼠径ヘルニア(15歳以上の場合) 24,805点
  • K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(15歳未満の場合) 56,183点
  • K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(15歳以上の場合) 51,480点
  • K721 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術1 長径2cm未満 14,661点
  • K721 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術2 長径2cm以上 18,932点
  • K743 痔核手術2 硬化療法(四段階注射法) 13,410点
  • K867 子宮頚部(腟部)切除術 18,400点
  • K873 子宮鏡下子宮筋腫摘出術 35,524点

DPCコード[編集]

DPCでは、2,873ある全ての診断群分類に対して14桁で構成される「診断群分類番号」つまりDPCコードが割り振られている。このうち2,309のDPCにはそれぞれ入院期間に応じた包括点数が設定されており、2014年3月19日付の官報で告示されている。コードには下記のような意味がある。数字の代わりに「x」とある場合は「該当なし」を意味する。

例)040080x099x0xx

左から順に各桁ごとに決められた定義により表現される。

  • 1~2桁目 (1)主要診断群/MDC2桁コード
  • 3~6桁目 (2)最も医療資源を投入した傷病名の4桁分類コード
  • 7桁目 (3)入院目的(2006年4月改定より未使用:x該当なし)
  • 8桁目 (4)特定の条件:年齢条件、出生体重条件、JCS条件(意識障害レベルの指標)、Burn index条件(熱傷の重傷度を判断する指標)、GAF条件(主に精神科領域で用いられる機能の全体的評定)
  • 9~10桁目 (5)手術情報
  • 11桁目 (6)手術・処置等1の有無
  • 12桁目 (7)手術・処置等2の有無
  • 13桁目 (8)副傷病の有無
  • 14桁目 (9)重症度等の有無

この例(040080x099x0xx)を端的に表現すれば「肺炎等で15歳以上の人が入院し、特に処置・手術等が無かった」こととなる。具体的な意味としては次のようになる。

  • 04:呼吸器の疾患(1~2桁目)
  • 0080:肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(3~6桁目:実際には1桁目~6桁目が揃わなければ傷病名に該当しない)
  • x:該当なし(7桁目)
  • 0:年齢条件(8桁目)
  • 99:手術なし(9~10桁目)
  • x:該当なし(11桁目)
  • 0:手術・処置等2なし(12桁目)
  • x:該当なし(13桁目)
  • x:該当なし(14桁目)

DPCにおける総報酬額[編集]

DPCにおける総報酬額=診断群分類による包括評価+出来高評価+入院時食事療養費

診断群分類による包括評価は、「診断群分類点数表」と呼ばれる包括範囲点数表をもとに下記の式で算定し、出来高部分については従来からの医科診療報酬点数表をもとに算定する。

診断群分類による包括評価=診断群分類ごとの1日当たり点数×医療機関別係数×入院日数×10円

なお、前出の診断群分類番号(040080x099x0xx)は以下のような包括範囲点数となっている。

  • 入院1日目~6日目:2,942点/日
  • 入院7日目~13日目:2,175点/日
  • 入院14日目~28日目:1,849点/日

(※29日目以降は入院期間III(2SD)超えとなり、従来通りの出来高の計算方式で算定)

※包括評価(包括範囲点数)の水準については出来高報酬制度における点数算定データ(DPC導入の影響評価に係る調査の実績)に基づいて算出されている。

医療機関別係数は、以下の4つを合算(各医療機関の係数については平成26年厚生労働省告示第 91号で告示されている)

  • 基礎係数:医療機関群別に、医療機関の基本的な診療機能を評価したもの
  • 機能評価係数Ⅰ:出来高報酬体系における、「入院基本料の差額」、「入院基本料等加算」等を係数化したもの
  • 機能評価係数Ⅱ:DPC/PDPS参加による医療提供体制全体としての効率改善等へのインセンティブ及び地域において医療機関が担うべき役割や機能等を評価したもの
  • 暫定調整係数:従来の調整係数の段階的廃止過程において暫定的に設定される係数

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 医学通信社編 『DPC点数早見表 診断群分類樹形図と包括点数・対象疾患一覧』 医学通信社、2009年 ISBN 9784870584044

参考[編集]

  • 第222回中央社会保険医療協議会総会資料(総-5-1)
  • 厚生労働省保険局医療課平成24年度診療報酬改定説明会(平成24年3月5日開催)資料「平成24年度診療報酬改定の概要(DPC制度関連部分)」
  • 平成26年度診断群分類(DPC)電子点数表
  • 平成26年厚生労働省告示第57号
  • 平成26年厚生労働省告示第88号
  • 平成26年3月19日保医発03第号
  • 平成26年度第1回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会資料

関連項目[編集]

外部リンク[編集]