観客席

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宝塚大劇場プロセニアム・シアター(跳ね上げ式の座席)
葺屋町市村座を描いた奥村政信の『芝居浮繪』
東京ドームの注意書き

観客席(かんきゃくせき)は、スポーツ施設、劇場コンサート会場、イベント会場などにおける、観客のための座席観覧席(かんらんせき)。

座席の種類と名称[編集]

前の観客と頭の位置が重ならないように1列ごと交互に半座席ずらして配置されていたり、また、後方の観客も見やすいよう、階段状になっている場合も少なくない。競技場野球場などの大型のものは、スタンドとも呼ばれる[1]

「ペアシート」「車椅子席」および「介添席」などを用意している施設もある。

歌舞伎には「桟敷席」などがある。平成中村座では「桜席」「お大尽席」などがある[2]

大相撲には「椅子席」の他、「枡席」、土俵下の「溜席」(砂かぶり)がある。

日本の公営競技において設置される有料席(指定席制)に「特別観覧席」(特観席)がある。主に大きなガラス張りになっている。

バリアフリー[編集]

横浜スタジアムの観客席の最大傾斜角は30度。横浜公園の中に建てられ、都市公園法の関係で建ぺい率に限りがあり、急勾配にせざるを得なかったという。また、神宮球場は内野席の前方が約13度で後方は約28度という[3]

逆に、急傾斜(「国内最高レベルの傾斜角40度越え[4]」など)を、臨場感の売りにする方向もある。

大田区総合体育館の設計に携わった能勢修治は、すり鉢状の観客席がコート際まで迫るNBAのようなスタイルが理想だったが、日本では法的な制約でそこまで急傾斜にはできなかったと語る[5]

車いす席[編集]

国際パラリンピック委員会(IPC)は、プロスポーツ会場における車いす席の割合を0.5%と定めている(他に勾配が2%以下などの規定もある[6])。IPCは五輪においては0.75%以上、パラリンピックは1 - 1.2%以上としているという情報もある[7]

2015年7月のNHKの調査では、プロ野球とJリーグの30のスタジアムのうち0.5%以上という基準を満たしているのは、マツダスタジアム味の素スタジアム豊田スタジアムユアテックスタジアム仙台の4つのみだった[8]。7月17日、国土交通省も車いす席を全体の0.5%に設置するガイドラインを示した[9]。スタジアム以外にも劇場・映画館・集会場なども対象で、通路の幅や転回スペースなどの指針も盛り込まれたが、すべて法的拘束力はないという[10][11](5月1日に追補版の案が公表されていた[12])。

2020年東京オリンピック関連施設については、全体の0.75%以上とする指針案を、国・東京都・五輪組織委員会などが検討しているという[13]

スポーツ[編集]

大きな国際大会では規定条件が決められていることがある。サッカーFIFAワールドカップでは、2002年大会の招致では4万人以上収容(決勝戦は6万人以上)の、観客席の2/3が屋根で覆われることが求められた。2010年の時点では決勝戦の会場は8万人以上収容と、より厳しくなった[14]

ラグビーワールドカップ2019でも開幕戦・決勝戦は6万人以上の収容が求められたという[15]

ヨーロッパやFIFAなどの競技場設計では、観客席からの視界のクオリティー評価として「C-VALUE」という値がある。

C = N(D+R) / D+T-R

  • D:ある観客席から競技面までの水平距離
  • N:観客席の段差
  • R:観客席から競技面
  • T:観客席の奥行き[16]

可動席[編集]

ピッチの周囲を陸上競技用トラックで囲まれたサッカースタジアムでは、観客席からピッチまでの距離が遠くなり、スタンドの傾斜もサッカー専用スタジアムと比較して浅くなる傾向にある[17]。その短所を補うため、可動席の設置によって対応することがある。

ライブ会場[編集]

ライブ(コンサート)の会場では、ステージが一部見えづらい席、例えばステージ両端の席を「サイドシート席」として(追加)販売することがある。S席に位置しながら機材などの関係で見えづらかったり聞き取りにくい席を含め、「見切れ体感席」「見切れ席」などと呼ばれることもある[18]2012年AKB48のコンサートでは、「死角席」とステージ真裏で一切見えない「音席」[19][20]が販売された[注 1][注 2]

観客の転落防止のため、2階席の最前列などが、立ち見禁止となる場合もある。また、着席専用席が「ファミリーシート」などの名称で、一部に設置されることもある(対象は子連れの保護者のみの場合[21]と年配の客なども含む場合[22]がある)。機材・演出の都合上による「着席指定席」も存在する[23]

アリーナ[編集]

日本では、野球場体育館などにおいて、臨時に特設された席を「アリーナ席」と呼ぶ[24]

元々は、古代ローマアンフィテアトルム(日本語では円形劇場と訳されることもある)にあった闘技場のこと。その一つであるコロッセオでは、観客席が身分によって分けられていたという(1階席が元老院と議員、2階席が騎士、その上が市民、最上階が市民権の無い人)[25]

ギャラリー[編集]

その他[編集]

限られた人が対象となる特殊なものとして、貴賓席、記者席などがある。

また、観客席とは呼ばないものの、ある対象に注目する人たちのための座席として、教会堂の椅子や、裁判所の傍聴席などがある。大学講堂大教室も、講演演奏会の会場として用いられることがある。

脚注[編集]

  1. ^ スタンド【stand】の意味 - goo辞書(デジタル大辞泉)
  2. ^ 「平成 劇場獨案内3-4」 - 歌舞伎美人
  3. ^ 横浜スタジアムのスタンドが急勾配なのはどうして? - はまれぽ.com
  4. ^ 「(仮称)新球技場整備事業」に係る論点 に対する考え方 11頁 - 北九州市 北九州スタジアム
  5. ^ 2頁 大田区総合体育館 - 愛知株式会社
  6. ^ 2-4-1 IPC の規定 - 日本財団 パラリンピック研究会 紀要 第2号(別冊)2015年5月
  7. ^ 日本海新聞・朝刊 2015年5月5日
  8. ^ 球場等の車いす席の割合 国際基準下回る - NHKニュース、2015年7月17日
  9. ^ 2015/07/17(金)放送 - TVでた蔵 NHK 首都圏ネットワーク
  10. ^ 東京五輪、車いすに配慮 全体の0.5%以上を専用席に - 日本経済新聞、2015年7月27日
  11. ^ 東京新聞、2015年7月28日 朝刊6面
  12. ^ 東京五輪へバリアフリー設計指針見直し - 日本経済新聞(日経アーキテクチュア ケンプラッツ 2015年5月18日掲載)
  13. ^ 車いす席0.75%以上、東京五輪で指針案 新国立は0.5%、変更も - 朝日新聞デジタル、2015年3月21日
  14. ^ 2010/02/08のコラム - 日本サッカー協会 犬飼会長の芝生で語ろう
  15. ^ 【単刀直言】森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」 - 産経ニュース(産経新聞)、2015年7月17日
  16. ^ 172頁 質疑回答書 38 - VII 審査委員会設置要綱・募集要項・質疑応答
  17. ^ スタジアム標準構成(案) 1.1スタジアムに求められる観戦環境 - 日本サッカー協会 会長犬飼基昭(時期不明)
  18. ^ INFORMATION - 東方神起 オフィシャルウェブサイト
  19. ^ AKBコンサートに奇策「音席」が登場 ステージ見えない480円チケット意外な評判 - J-CASTニュース、2012年3月14日
  20. ^ 東京ドーム初公演 死角&音席設置も - デイリースポーツ online、2012年8月25日
  21. ^ SCHEDULE - Mr.Children STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-
  22. ^ 公演詳細 - PERSONZ OFFICIAL WEBSITE、2015年
  23. ^ THE ALFEE - TANK! the WEB
  24. ^ アリーナ【arena】の意味 - goo辞書(デジタル大辞泉)
  25. ^ 世界遺産ライブラリー ローマ歴史地区 - NHK世界遺産
  1. ^ 同年6月の選抜総選挙では、同じくステージ真裏の「ここにいたこと席」が販売された。 (「ここにいたこと席」って何 AKB開票イベントで異例の格安チケット - J-CASTニュース、2012年5月23日)
  2. ^ “音漏れ”を楽しむためのチケットという概念は、その数年前GACKTのライブ(ロビーで外戦チケット)で既にあった。 (GACKT男性限定ライブの“音漏れ”楽しむ女性用チケット販売 - ナタリー、2010年3月17日

関連項目[編集]