親ガチャ

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親ガチャ(おやガチャ)とは、日本のインターネットスラング。生まれもった環境や能力によって人生が大きく左右されるという認識に立ち、「生まれてくる子供は親を選べない」ことをランダム要素の強い「ガチャ」になぞらえている[1]。また、類似するスラングとして韓国のスプーン階級論がある。

2019年頃からインターネットに現れていた言葉だが[要出典]2021年に若年層を中心に流行語となり、同年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選出され[2]、同年の大辞泉が選ぶ新語大賞では大賞となっている[3]

概要[編集]

教育社会学においては、家庭の経済資本や文化資本社会関係資本が子供の学力、ひいてはその後の人生に大きな影響を与える傾向があることは「再生産」として理論化されている。一方、親ガチャ論はこれらの環境的要素のみに限らず、容姿や知能、身体能力など、遺伝的要素も含めた概念である点が従来の議論とは異なる[4][5]

流行の背景として、経済格差の固定化が指摘されている[6]。また、「努力は報われる」というメリトクラシー(能力主義)を批判するマイケル・サンデルらの影響で、「努力不足」「甘えるな」といった自己責任論への反発が強まっていたことも挙げられる[1]。しかし、「親ガチャ」という考え方について、厳然たる競争の勝ち負けを受け入れられない人間我儘として片付けたり、完全な環境が与えられなければ努力できない本人の甘えとする批判もまた数多く存在する[7]

著名人の反応[編集]

  • 岸田文雄(第100,101代内閣総理大臣)は「親ガチャ」の流行について、「寂しく、悲しいことだ。子育て世帯をしっかり支える施策を用意し、格差をなくさなければならない」「日本の子供たちに未来に希望が持てるような教育の環境整備をしっかりと進めたい」と述べている[8]
  • 橋下徹(元大阪府知事)は「親の立場からすると、子どもに“親ガチャ”なんて言われたら辛い」とした上で、「本当に家庭環境が厳しいら子どもは、そういうことも言えないと思う」「虐待などに苦しみ、命を落とす子どもたちもいる。そこはやはり行政がサポートする体制を作らなければいけない」と述べ、親についても「子どもを育てるにあたっての一定の知識とか意識のハードルを設ける必要もあると思う」と語った[9]
  • 乙武洋匡は、「私は『肉体ガチャ』に外れた。きっと他のガチャに外れた人もいるだろう」「私は、どんなガチャを引いても豊かに生きられる社会にしたい。それには、とにかく選択肢を増やすこと」と述べている[10]
  • 石原伸晃(元自民党幹事長石原慎太郎の長男)は「親ガチャという概念も現実も、この国からなくしていかなければなりません」とツイートした[11]
  • NEWS小山慶一郎は「嫌な言葉ですね。親ガチャってワードがまず嫌だな。親はショックだよね」と不快感を示し、フリーアナウンサー大島由香里も「親になってから親のありがたみがわかった。親ガチャとか言っている学生たちは、自分が親になった時に後悔すると思う」と批判的に評価している[12]
  • 「みちょぱ」こと池田美優は「ちょっと愚痴を言うみたいな感覚なだけの人も多いので、そんなに重くとらえないでほしい部分もある」と述べている[13]

出典[編集]

  1. ^ a b 親ガチャ、反出生主義…若者たちは「人生のネタバレ」に絶望している”. 講談社. 2021年11月5日閲覧。
  2. ^ 「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞 第38回 2021年 授賞語”. 2021年12月1日閲覧。
  3. ^ “国語辞典『大辞泉』が選ぶ今年の新語大賞は【親ガチャ】に決定! 次点は【人流】 となりました。” (プレスリリース), 小学館, (2021年12月1日), https://kyodonewsprwire.jp/release/202112014170 2021年12月1日閲覧。 
  4. ^ やはり、人生は“親ガチャ”で決まってしまうのか 「遺伝」と「社畜」の密接な関係”. ITtmedia. 2021年11月5日閲覧。
  5. ^ 人生はスマホゲームと同じ?「親ガチャ」「子ガチャ」に注目が集まる背景”. Agenda Note. 2021年11月5日閲覧。
  6. ^ 「金融所得課税」で「親ガチャ」問題は解決できない”. 東洋経済オンライン. 2021年11月5日閲覧。
  7. ^ 「親ガチャ」を使うのは甘えなのか? 絶えぬ議論と厳しい意見に自立支援の専門家の言葉|SALLiA「トレンドなるままに」”. 日刊ゲンダイDIGITAL. 2021年11月28日閲覧。
  8. ^ 岸田氏、「親ガチャ」流行に「寂しく、悲しい」”. 産経新聞. 2021年11月5日閲覧。
  9. ^ 「“親ガチャ”とか言って喜んでいるのは、考えるだけの余裕がある中流層ちゃうかな」メッセンジャー黒田が“貧富の差”問題に持論”. Abema Times. 2021年11月5日閲覧。
  10. ^ 乙武洋匡氏、「親ガチャ」が象徴の現代社会に提言「どんなガチャを引いても豊かに生きられる社会にしたい」”. スポーツ報知. 2021年11月5日閲覧。
  11. ^ 石原伸晃さんはTwitterを使っています”. Twitter. 2021年11月5日閲覧。
  12. ^ NEWS小山「嫌な言葉ですね」 若者層で流行の“親ガチャ”に不快感、「親はショック」と苦言”. リアルライブ. 2021年11月5日閲覧。
  13. ^ みちょぱ”親ガチャ”は「愚痴を言うみたいな感覚が多い、親側は重くとらえないでほしい」と見解示す”. 中日スポーツ (2021年9月16日). 2021年11月5日閲覧。

関連項目[編集]