覘き小平次

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覘き小平次
著者 京極夏彦
発行日 2002年9月
発行元 中央公論新社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 413
コード ISBN 4-12-003308-2
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覘き小平次』(のぞきこへいじ)は、京極夏彦による日本小説。第16回山本周五郎賞受賞作。

山東京伝の「復讐奇談安積沼」を下敷きに執筆された、江戸怪談シリーズの第2弾。

概要[編集]

あらすじ[編集]

登場人物[編集]

小平次(こへいじ)(小幡村小平次/木幡小平次/鱃小平次/小鱃小平次)
天下一ともいわれる幽霊役者。生国は山城国宇治郡小幡の庄。音羽屋の役者だったが、7年前に破門された。病死した先妻・志津と、息子の小平とともに江戸に出る。現在はお塚と暮らしているが、何事につけ淡く、閑やかで、冷ややかなるを好み、一日中押入れにこもり彼女を覗き見ており、会話もしない。
お塚(おつか)
小平次の妻。添うて5年になる。出身は大和国十市郡耳無川が畔。穂積の長者こと穂積丹下正辰の娘で本名は宝児。かつて、ある美少年の絵姿に一目ぼれし、十九の時に家出する。西から東に流され江戸に寄り付いたのが5年前。水戸街道を江戸に上る途中の宿場で小平次と出会った。小平次の耐える詫びるの一点張りで押し入れに閉じこもったままの様子に、罵詈雑言を浴びせる。
安達 多九郎(あだち たくろう)(荒神棚の多九郎)
流しの囃子方。喧嘩買いとして有名。武家の出身だが、子供のころに男娼家「丁字楼」に売られる。7・8年ばかり前に玉川仙之丞の口利きで鼓打ち安達某の門下に入るが長くは続かなかった。小平次のことは反吐が出る程嫌いだが、お塚にわずかに心惹かれている。いや惚れてこそはいないが、抱きたいとは思っている。玉川座からの依頼で奥州興行に小平次を誘うが、次第に興行に仕掛けられた裏の顔に気づく。
小平(こへい)
小平次と先妻お志津の子。幼名は小太郎。線の細い、温順しい、線の細い、影の薄い子供だった。芝居の筋が良く役者として大成すると太鼓判も押されていたが、6年前に小平次により担ぎの薬売りである孫平の所に十二歳で養子に出され頭を丸める。小仏小平の二つ名がある。1年前の四谷左門殿町死霊祟りの一件(江戸怪談シリーズの第1弾 嗤う伊右衛門参照)に巻き込まれ殺害された。
志津(しづ)
小平次の前妻。食の細い、痩せた、色の白い、影の薄い、蝋細工のような血の気の失せた女。小平次が音羽屋一門を追われた際に病みつき、1年足らずで死去。小平次の留守中、まだ若い小太郎に代わって志津を看病し、死に水を取ってくれたのが薬売りの孫平だった。
徳次郎(とくじろう)(四珠の徳次郎)
辻放下。3年ほど前に陸奥国から江戸に流れてきた。男鹿の出身。珠が四つしかない珠盤を搔き鳴らして客を引くので、四珠の二つ名を持つ。人懐こい瓜実面とうからうからとした物腰だが油断のならぬ若造。3年前に女郎の足抜けを手伝った際、簀巻きにされ川に放り込まれたところを多九郎に助けられた。巷説百物語シリーズにも登場。
又市(またいち)
小股潜り。とある仕掛けのために玉川座による奥州興行を画策する。本編には名前のみが登場。巷説百物語シリーズにも登場。
玉川 歌仙(たまがわ かせん)
禰宜町を拠点とする玉川座の立女形。本名は安西喜次郎。安房国小湊の辺り、那古村の住人である安西喜内が一子。辿り辿れば里見家家臣であるという武家の出身だが、18年前、何者かに家族全員を殺され自らは「丁字楼」に売られたところを、玉川座の座本である玉川仙之丞に買い取られる。多九郎ともそこで知り合う。動木運平を命の恩人だと思っている。
動木 運平(とどろき うんぺい)(辻神の運平)
何もかも気に入らず、悪業ばかり行う浪人。十四の時に親を殺め、以来三十年屠った命のその数は両手でも足りぬという。実は安西喜内一家を皆殺しにし、長さ四尺、反り高の業物、抜けば玉散る憲房乱れ、里見家より拝領せし宝刀「交鋼大功鉾(こんごうだいこうぼこ)」を盗んだ張本人。現在は西国を荒らした海賊の蝙蝠一味の残党、鰊八(かどはち)や鴆二(うとうじ)ともう3年以上ともに行動している。
藤六(とうろく)
陸奥国津軽郡小湊の大百姓である長吉の六男坊だが家業も継がず奉公にも出ず、かといって渡世人になるでもなく、実家から金をくすねてはただ賭博と遊興に明け暮れている破落戸。齢の頃なら二十八九。山の中で難渋してた動木一味を近くの廃寺に匿う。
須賀屋 善七(すがやぜんしち)
廻船商須賀屋の主人。紬細布安達絹、紙布菅薦の類いまで近在の名物土産を買い集め、青森の湊から船を仕立てて諸国に廻しているこの郷一番の商人。
お秋(おあき)
須賀屋の娘。藤六に岡惚れされるが本人は玉川歌仙に入れ込み、父の善七と芝居見物に通い詰める。
お春(おはる)
お秋の姉。2年前に夜這いで寝込みを襲われて殺される。
現西(げんさい)
廃寺に三月ばかり前から巣食う鉦叩きの乞食僧。箸にも棒にもかからぬ外道で、寺の本尊を鋳潰して金に替える、死人の衣類を剥ぎ取り髪の毛を切り落としては売り捌くという稀代の破戒僧。そればかりか殺生すら平気の平左とも自分には人殺しの疾があるともいう。藤六や動木一味と行動を共にしている。
治平(じへい)(九化けの治平/事触れの治平)
元盗賊・蝙蝠組の引き込み役。九化けの治平と異名をとったほどの変装の名人。実に慎重で、しぶとく念入りな男。親もまた事触れだった。6年前に盗っ人同士の諍いで妻子を失って盗賊から足を洗う。世を捨て山に籠り百姓の暮らしを5年続けていたが、昨年の秋口に哀しそうな顔をした又市と出会う。そして今年、又市にそそのかされ玉川座奥州興行の仕掛けを手伝う。その中で小平次に会い、これからまた世の中を騙り続ける覚悟を決める。巷説百物語シリーズにも登場。
菊右衛門(きくえもん)
江戸禰宜町の男娼家「丁字楼」の主。七十は過ぎているであろう老人。薄くはなっているものの黒黒とした髪をきりりと結い上げ、黒羽二重に判じ物格子の派手な小袖を粋に着ている。動木運平は妖人であり、その妖人を作ったのは自分であるという。
玉川 萩乃亮(たまがわはぎのすけ)
玉川仙之丞の養子で二代目仙之丞を襲名することになっている。芳町蔭間茶屋にいた男娼だが、仙之丞に請け出され養子縁組が成ったものの、一月足らずで仙之丞は逝ってしまう。本来仙之丞を襲名はずだった玉川歌仙のその後を聞き回る中、昨年の小平次事件との関わりに興味を持ち、伝馬町の外れ、路地裏にある一軒家、黒い堀に囲まれた小綺麗な小さな家、小平次の屋敷にたどり着く。

書誌情報[編集]

外部リンク[編集]