西川純 (教育学者)

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西川 純(にしかわ じゅん)1959年9月14日は、日本教育学者。上越教育大学大学院学校教育研究科教授。アクティブラーニングの一種である『学び合い』を提唱した。

来歴・人物[編集]

東京都出身。東京都立高島高等学校卒業、筑波大学第二学群生物学類卒業。同大学院教育研究科教科教育専攻修士課程修了。東京都立富士森高等学校にて理科教諭として勤務。兵庫教育大学より博士(学校教育学)取得(論文博士)[1]。現在は上越教育大学学校教育科教授。

筑波大学教育学部時代、ヒゲを伸ばす、パイプ・葉巻を吸う、両手に一杯の指輪をはめる、ジープを乗り回すなど派手な生活をしていた。筑波大学大学院修士課程に在学中、教員採用試験の申し込みを忘れて受験できなかったため、さらに1年間研究生として在籍した。 その後、定時制高等学校の物理教師として、内申書がオール1で暴走族に入っているような生徒たちを相手に、さまざまな手法を駆使して授業を行った。しかし退学した子がヤクザになったり、窃盗で逮捕されたりする現実に直面し、「なんとか一人でも多くの生徒をわからせたい」と考えるようになった[2]

高校教員を退職した後、上越教育大学にて、当時教育研究ではほとんど使われていなかった大型コンピュータを使った定量的な研究を進めた。 そのうち西川は、「生徒の頭の中で何が起こっているかをモデル化し、指導法を開発すべきだ」と考え、認知心理学をベースにした研究をはじめた。その結果、「一人一人の頭の中はバラバラで予想することが困難である。それゆえに1人の教師が同時に複数の生徒を教えることは不可能である」という結論に達し、以降は認知心理学から距離を置くようになった[3]

1999年ごろより、西川の頭には生徒同士が教え合う授業概念を構想しはじめ、2001年ごろより固有名詞として『学び合い』(二重かぎかっこ学び合い)という言葉を使い始めた。 『学び合い』は、学校観、子ども観、授業観の3つから成り立っている。 生存戦略仮説に基づく「学校は、多様な人と折り合いをつけて自らの課題を達成する経験を通して、その有効性を実感し、より多くの人が自分の同僚であることを学ぶ場」であるという学校観を基礎とし、生存戦略を駆使する子ども集団は強力であることから、「子どもたちは有能である」という子ども観が引き出され、さらに「教師の仕事は、目標の設定、評価、環境の整備で、教授(子どもから見れば学習)は子どもに任せるべきだ」という授業観が導かれた。

以上の『学び合い』の効果を実証するため西川は、臨床的なデータを記録・分析するという方法論をベースに、子ども集団を対象とした『学び合い』の具体的な指導法を開発した。具体的な研究手法としては、生徒全員にICレコーダーをもたせて自由に学び合う授業を実施し、1時間の授業中の全ての生徒の全ての発言を記録、分析するなどの手法をとった。


研究・主張[編集]

『学び合い』[編集]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『実証的教育研究の技法』、大学教育出版、1999年、ISBN:978-4887303744
  • 『なぜ、理科は難しいと言われるのか』、東洋館出版社、1999年、ISBN:978-4491015200
  • 『学び合う教室』、東洋館出版社、2000年、ISBN:978-4491015996
  • 『心の教科指導』、東洋館出版社、2000年、ISBN:978-4491016320
  • 『『学び合い』の仕組みと不思議』、東洋館出版社、2002年
  • 『「静かに!」を言わない授業』、東洋館出版社、2003年
  • 『「座りなさい!」を言わない授業』、東洋館出版社、2004年
  • 『「忙しい!」を誰も言わない学校』、東洋館出版社、2005年
  • 『「勉強しなさい!」を言わない授業』、東洋館出版社、2006年
  • 『気になる子の指導に悩むあなたへ、学び合う特別支援教育』、東洋館出版社、2008年
  • 『上越教育大学教職大学院の考え方』、教育開発研究所、2009年
  • 『クラスがうまくいく!『学び合い』ステップアップ(単著)、学陽書房、2012年
  • 『なぜか仕事のうまくいく教師の7つのルール』、学陽書房、2013年
  • 『学校が元気になる!『学び合い』ジャンプアップ』、学陽書房、2013年
  • 『理科だから出来る本当の「言語活動」』、東洋館出版社、2014年
  • 『クラスと学校が幸せになる『学び合い』入門』、明治図書、2014年
  • 『気になる子への言葉がけ入門』、明治図書、2014年
  • 『子どもたちのことが奥の奥までわかる見取り入門』、明治図書、2015年
  • 『2020年激変する大学受験!』、学陽書房、2015年
  • 『学び合い』を成功させる教師の言葉がけ』、東洋館出版社、2015年
  • 『子どもが夢中になる課題づくり入門』、明治図書、2015年
  • 『簡単で確実に伸びる学力向上テクニック入門』、明治図書、2015年
  • 『新任1年目を生き抜く教師のサバイバル術、教えます』、学陽書房、2015年
  • 『子どもによる子どものためのICT活用入門』、明治図書、2015年
  • 『アクティブ・ラーニング入門』、明治図書、2015年
  • 『すぐわかる!できる!アクティブ・ラーニング』、学陽書房、2015年
  • 『高校教師のためのアクティブ・ラーニング』、東洋館出版社、2015年
  • 『アクティブ・ラーニング時代の教室ルールづくり入門』、明治図書、2016年
  • 『アクティブ・ラーニングによるキャリア教育入門』、東洋館出版社、2016年
  • 『サバイバル・アクティブ・ラーニング入門』、明治図書、2016年
  • 『週イチでできる!アクティブ・ラーニングの始め方』、東洋館出版社、2016年
  • 『함께 배움(『学び合い』ステップアップ韓国語版)』、살림터、2016年
  • 『親なら知っておきたい学歴の経済学』、学陽書房、2016年
  • 『『学び合い』の手引き・ルーツ&考え方編』、明治図書、2016年
  • 『『学び合い』の手引き・アクティブな授業づくり改革編』、明治図書、2016年
  • 『汎用的能力をつけるアクティブ・ラーニング入門』、明治図書、2016年
  • 『학력의 경제학(学歴の経済学韓国語版)』、사과나무、2016年
  • 『今すぐ出来る!『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント』、明治図書、2016年
  • 『アクティブ・ラーニングの評価がわかる!』、学陽書房、2017年
  • 『今すぐ出来る! 全校『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント』、明治図書、2017年
  • 『함께 배움 이렇게 시작한다(週イチでできる!アクティブ・ラーニングの始め方韓国版)、살림터、2017年
  • 『子どもを軸にしたカリキュラム・マネジメント、教科を繋ぐ『学び合い』アクティブ・ラーニング』、明治図書、2017年
  • 『『学び合い』で始めるカリキュラム・マネジメント」、東洋館出版、2017年
  • 『함께 배움 교사의 말하기(『学び合い』を成功させる教師の言葉がけ韓国語版)』、살림터、2017年
  • 『みんなで取り組む『学び合い』入門』、明治図書、2017年

共著[編集]

編著[編集]

  • 『心の教科指導』、東洋館出版社、2000年
  • 『学び合う国語』、東洋館出版社、2007年
  • 『クラスが元気になる『学び合い』スタートブック』、学陽書房、2010年
  • 『学び続ける教師になるためのガイドブック(学力向上・授業力向上編)』、明治図書、2014年
  • 『学び続ける教師になるためのガイドブック(自ら学ぶ学級・学校づくり編)』、明治図書、2014年
  • 『学び続ける教師になるためのガイドブック(成功する学校改善プロジェクト編)』、明治図書、2014年
  • 『『学び合い』道徳授業プラン』、明治図書、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング中学社会』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング高校地歴公民』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング中学数学』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング中学理科』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング高校数学』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング中学英語』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング中学国語』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング高校理科』、学陽書房、2016年
  • 『すぐ実践できる!アクティブ・ラーニング高校国語』、学陽書房、2016年

共編著[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]