行動する保守

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反天皇制運動連絡会」に、抗議する「行動する保守」(平成21年/2009年8月15日東京九段下)

行動する保守(こうどうするほしゅ)は、日本2000年代後半よりおこった保守政治運動のうち、特定の団体集団及びその現象を指す言葉である。

概説[編集]

行動する保守の諸団体が合同参加して行ったデモ活動(平成22年/2010年10月17日 東京・秋葉原)[1]

単に言論を説くだけの既存の保守政治運動を「語るだけの保守」と批判し、また街宣右翼(行動右翼)とも異なり、北京オリンピックの聖火リレーNHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」朝鮮学校に対する抗議行動のようなデモ、街頭での署名や募金活動といった市民運動を通じて有言実行の「行動する保守」を標榜する[2]

桜井誠によれば、「行動する保守運動」は平成18年(2006年)に行われた「河野談話の白紙撤回を求める署名活動」から始まったとしている[3]。また、瀬戸弘幸は、「保守という概念では説明できない」として、自身の活動を「行動する社会運動」と呼んでいる[4]

活動[編集]

市民運動的スタイルの街頭宣伝[編集]

行動する保守の政治活動スタイルは、従来の街宣右翼のように街宣車を連ねて大音響で軍歌を流しながら抗議や街宣活動をするのではなく、一般的な市民運動と同様に署名活動やプラカードを掲げシュプレヒコールを叫びながらデモ行進する。一方、街宣車を使用した活動を中心とした従来の右翼団体の中にも、集会や徒歩によるデモを活動に採り入れる団体も目立つようになってきている[5]

デモ[編集]

在特会など、「行動する保守」と言われる右派市民団体が主催する反韓デモにおいて、過激なプラカードや過激なコールが頻繁に行われている。在特会会長の桜井誠自ら「在日韓国人テポドンにくくりつけ、韓国に打ち込みましょう!」とデモの最中に叫んでいる[6]

2014年3月には、川崎駅構内で、対抗勢力からビラをたまたま受け取った、通りすがりの者を対抗勢力の関係者と勘違いし、その者を模造刀で切つけたとして、行動する保守系のデモに参加していた男が神奈川県警公安2課傷害容疑で逮捕されている[7]

2014年10月25日、在特会会員を含む5名[8]が対立団体憂国我道会会長の山口祐二郎ら2名に対する傷害容疑で逮捕された[9]琉球新報によると、終戦記念日、カウンター勢力への抗議活動の後の打ち上げ後、偶然通りかかったと憂国我道会側と乱闘騒ぎになり、在特会会員を含む5名が男性2名の首を絞め怪我を負わせた容疑と警視庁公安部が発表したという[10]。公安部の事情聴取に対し、在特会の同メンバーは羽交い締めにしたことは間違いないと思うが、ケガを負わすようなことはしていないとしている。同メンバーと桜井が立ち会うなかで事務所の家宅捜索が行われ、後に公安部は桜井からも事情を聴いた[11]

週刊金曜日によると、2012年10月には在特会らは「史上最大の反中デモ」と称して池袋でデモを開催し、「ゴキブリシナ人を日本から叩き出せ」などと叫ぶ者がいたという。また、デモ終了後に桜井誠らは「パトロール」と称して、華僑の商店の多い一角に向かって、そこで「日本が戦前大陸に行ったことが侵略なら、てめえらが日本にいること自体が侵略なんだよ!」と叫んだという[12]

公安調査庁は『内外情勢の回顧と展望(平成23年1月)』において、「排外的主張を掲げ執拗な糾弾活動を展開する右派系グループ」とするコラムにおいてこれらの動きを紹介している[13]

「行動する保守」を標榜する諸団体/共闘団体[編集]

在日特権を許さない市民の会[編集]

  • 桜井誠が2008年に設立した団体。前身は東亜細亜問題研究会で、発足当初は20人ほどの小さな団体だった。現在は行動する保守における主力ともいえる存在となっており、国内における会員数・支部数は最大を誇る。在日特権の廃止など、国内外におけるさまざまな問題に対して抗議を上げている。下記の主権回復を目指す会と共闘していたが、2009年の京都朝鮮学校公園占用抗議事件の対応を巡って、のちに決裂した。

主権回復を目指す会[編集]

  • 西村修平が2006年に設立した団体。在特会と共闘していたが、2009年の京都朝鮮学校公園占用抗議事件の対応を巡り、のちに在特会側と決裂。現在は行動する保守系団体とのかかわりは薄く、独自の活動を行う。2012年5月には、自団体の開催する講演会に在特会に批判的なジャーナリスト安田浩一をゲストとして招いた。

チーム関西[編集]

  • 在特会・主権会などが共闘することにより発足した混成メンバーによる団体。在特会と主権会が決裂したことにより、チーム関西としての活動は事実上停止している。

新攘夷運動 排害社[編集]

  • 金友隆幸が2010年(平成22年)に結成。2012年(平成24年)に金友が解散宣言を行ったが、各地の支部は活動中。

河野談話の白紙撤回を求める市民の会[編集]

原発の火を消させない国民会議[編集]

  • 在特会の桜井誠が反原発を掲げる市民団体に対抗するため、立ち上げた団体。現在は休止中。

台灣建國應援團[編集]

神鷲皇國會[編集]

新社会運動[編集]

言及[編集]

徳島大学大学院准教授で社会学者樋口直人によれば、在特会について、「右翼崩れからノウハウを、歴史修正主義から係争課題を、インターネットからネット右翼という動員ポテンシャルを得てきた。」とし、在特会など「行動する保守」の新しさは、インターネットへの依存度が極端に高く、組織されざるネット右翼を組織化したことであるなどと分析している[14]

朝日新聞は平成22年(2010年)5月の特集記事「扇動社会」において「反日マスゴミ」というインターネットで多用されるキーワードに注目し、「行動する保守」グループの扇動性を取り上げた[15]

対立者による批判[編集]

安田浩一は、桜井誠は2011年5月に京都市内で開催した、在特会の講演会の中で「在日韓国人・朝鮮人・そして反日極左と本気で命のやりとりをやって叩き殺さなきゃいけない時が必ず来るんです。」「泣いて許しを乞う相手を貴方達本当に一刀両断で斬り捨てることが出来るか?と。大変厳しい選択です。朝鮮人であってもまだ子供です。この子供をでも生かしておいたらね、また同じ事を繰り返される。」という発言をしたと主張し、これに対し、ジェノサイドを煽る発言まで行っているとしている[16]

朝日新聞記者による問題批判[編集]

  • 2015年8月、朝日新聞冨永格特別編集委員が「東京での日本人の国家主義者によるデモ。彼らは安倍首相と彼の保守的な政権を支持している」と英語フランス語ツイートして問題となり、朝日新聞の社名などを名乗ってツイッターを利用できる「公認記者」や、コラム「日曜に想う」の執筆者から外される処分を受けた[17][18]

脚注[編集]

  1. ^ 尖閣諸島と秋葉原をシナから守れデモ行進、決行! 排害社 2010年10月18日
  2. ^ “3・1緊急国民集会「行動する保守」の総括 語るだけの保守をぶっ壊せ 永遠の危機に浸る偽善から決別を” (プレスリリース), 主権回復を目指す会, (2009年3月1日), http://www.shukenkaifuku.com/KoudouKatudou/2009/090301b.html 2010年11月4日閲覧。 [リンク切れ]
  3. ^ 桜井誠 (2009年10月7日). “行動する保守運動から育つ新たな芽”. Doronpaの独り言. 2010年11月4日閲覧。
  4. ^ 瀬戸弘幸 (2010年3月14日). “救国の社会運動について”. せと弘幸Blog『日本よ何処へ』. 2010年11月4日閲覧。
  5. ^ 「第3 平成21年の国内情 4 右翼団体 コラム 変化する右翼の街宣活動」 (PDF)内外情勢の回顧と展望』, 公安調査庁, 平成22年(2010年)1月, p. 58.
  6. ^ 朝日新聞2013年4月28日朝刊、35面「敵がいる」
  7. ^ 模造刀で切り付け、傷害容疑で無職の男逮捕/川崎 2014年3月3日神奈川新聞(アーカイブ版)
  8. ^ 内訳は在特会員1名、チーム関西系の「純心同盟」のメンバー4名(本部長の山本雅人を含む)、外撲協系の「護国志士の会」の突撃隊長を名乗る会員1名(逮捕後、活動から離脱している)。
  9. ^ 在特会壊滅への道 山口祐二郎 週刊金曜日 2015年9月17日
  10. ^ 「在特会会員、傷害容疑で逮捕 終戦記念日に乱闘騒ぎ」『琉球新報』(2014.10.25)
  11. ^ 『NNN』(10/25 16:04)
  12. ^ 在日中国人に罵詈雑言を展開するも取材は拒否――在特会が池袋で「反中デモ」2012年10月17日
  13. ^ 『内外情勢の回顧と展望(平成23年1月)』 (PDF) 公安調査庁
  14. ^ 「日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学」樋口直人著。名古屋大学出版会
  15. ^ “世論挑発 集める支持――扇動社会5”. 朝日新聞. (2010年5月7日). http://www.asahi.com/special/sendoushakai/TKY201005070342.html 
  16. ^ 安田浩一 『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』 講談社〈g2 book〉、2012年4月17日。ISBN 978-4-06-217112-0
  17. ^ “報道姿勢に疑念抱かせおわびします 朝日新聞社特別編集委員、不適切なツイッター”. 朝日新聞. (2015年8月5日). http://www.asahi.com/articles/DA3S11898995.html 2015年8月17日閲覧。 
  18. ^ “朝日編集委員、首相にレッテル「ナチ支援者は安倍支持者」 ツイート削除し謝罪”. 産経新聞. (2015年8月3日). http://www.sankei.com/politics/news/150803/plt1508030050-n1.html 2015年8月17日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

独立した記事が存在しない団体のHP他