蛸と海女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
この項目に含まれる文字は、オペレーティングシステムブラウザなどの環境により表示が異なります。
『蛸と海女』(部分)

蛸と海女』(たことあま)は、鉄棒ぬらぬら(葛飾北斎)による文化11(1814)年[1] の艶本(春画)『喜能会之故真通』(きのえのこまつこ・全三巻)中の一場面である。

なお、「蛸と海女」は通称であり、原本にそのような題は記されていない。

女性(海女)が2匹のタコに捕らえられ、性的快楽を受ける様を描いている。小蛸の方からは口吸い(接吻)を受け、大蛸は彼女にクンニリングスしている。

右の画のように、背景が喘ぎ声や局部からでる音等、詞書で満たされているのが本編の特徴である[2]

先行する類似作品として、北尾重政の艶本『謡曲色番組』や勝川春潮の艶本『艶本千夜多女志』などが知られており、北斎がこれらを参考にした可能性が考えられる[要出典]

台詞[編集]

大蛸:

いつぞハいつぞハと、ねらいすましてゐたかいがあつて、けう(今日)といふけう、とうとう、とら(捕ら)まへたア。ても(ママ)、むつくりとしたいいぼぼた(ママ)。いもよりハ、なを(尚)、こうぶつだ。サアサア、すつてすつて、すいつくして、たんのふ(堪能)させてから、いつそ、りうぐうへつれていつて、かこ(囲)つておこうか。

『蛸と海女』
女:

ズウツズツズツニ、チユツチユチユツ、ズウツズウツ、フゝゝゝウ。アレ、にくいたこだのう。うフゝゝゝ。ヱゝ、いつそ、アレアレ、おくの、フゝゝゝ、こつぼくちをすハれる(吸われる)ので、いきがはづんで、アゝヱゝモ。イツク(一句)、『それなア、いぼ(疣)で、ヱゝフウフウ、いぼで、ヱゝフウフウ』。そら、われをいろいろと、ヲゝヲゝアレアレ、こりやアどうするのだ。アゝヨウヲゝヲゝヲゝホヲゝ、アゝレヱヲゝヲゝ、いゝいゝ、ヲゝいゝいゝいゝ。ハアゝ、アゝいゝいゝ、ハアいゝ、フゝゝゝウ、フゝゝゝウ、まただヨウヨウ。いままで、わたしをば、人が、アア、フゝゝゝウゝウゝウゝ、たこだ、たこだといつた(言った)がの、ヲゝフゝウゝウゝ、どふして(どうして)どふして、ヱゝヱゝ、この、ヲゝ、ヨヨヨウ、サアデヱハ(さては)、アゝアゝアゝ、ズウズウズウ、ひちやひちや、ぐちやぐちや、じゆつちうちゆちゆちゆ、ぐうぐう、ズウズウ。なんと、八ほんのあしのからミあんばい(塩梅)ハ、どふだ(どうだ)どふだ。あれあれ、中がふくれあがつて、アゝアゝ、ゆ(湯)のやうなゐんすい(淫水)、ぬらぬらぬら、どくどくどく。ヱゝ、モゝウ、くすぐつたくなって、ぞつぞつと、こしにおぼへ(覚え)がなくなって、フゝゝゝウ、フゝゝゝウ。きり(切り)もさかい(境)もなくの、ヲゝヲゝヲゝ、いきつづけ(行き続け)だアな。アゝアゝアゝ、アレアレ、ソレソレ、ウゝゝくゝゝ、フンムフウム、ウゝウゝ、いゝヨいゝヨ。

小蛸:

おやかた(親方)がしまふ(しまう)と、また、おれがこのいぼで、さねがしら(核頭)からけつのあなまで、こすつてこすつて、き(気)をやらせたうへ(上)で、また、すいだしてやるにヨ、チウチウ。

引用[編集]

これは様々な芸術家により引用され、様々な作家にインスピレーションを与えている。

17世紀より、類似したテーマの海洋生物と女性が性行為に及ぶ題材で、多くの根付が彫られている。また現代に於いても、所謂「触手責め」の嚆矢として認識されている。

脚注[編集]

  1. ^ 日野原(2015:363)
  2. ^ 日野原(2015:363)
  3. ^ 沢山(2012)
  4. ^ Vincent Roy (2010年3月18日). “"Le Baiser de la pieuvre", de Patrick Grainville” (フランス語). Le Monde.fr. https://www.lemonde.fr/livres/article/2010/03/18/le-baiser-de-la-pieuvre-de-patrick-grainville_1320802_3260.html 2020年6月24日閲覧。 
  5. ^ Baptiste Liger (2010年2月1日). “L'estampe érotique de Patrick Grainville” (フランス語). LExpress.fr. L'Express. 2020年6月24日閲覧。
  6. ^ Le baiser de la pieuvre - Patrick Grainville” (フランス語). Babelio. 2020年6月24日閲覧。

参考文献[編集]

ウェブサイト

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 鈴木堅弘「海女にからみつく蛸の系譜と寓意 : 北斎画「蛸と海女」からみる春画表現の「世界」と「趣向」」『日本研究』第38巻、国際日本文化研究センター、2008年9月、 13-51頁、 doi:10.15055/00000527ISSN 09150900NAID 120005681482
  • 鈴木堅弘、『日本研究』 第38集、2008年9月30日、国際日本文化研究センター(日文研リポジトリ)