蛸と海女

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『蛸と海女』(部分)

蛸と海女』(たことあま)は、葛飾北斎による1820年頃の艶本喜能会之故真通』(きのえのこまつ)の中の木版画の一枚(春画)。

女性(海女)が2匹のタコに捕らえられ、性的快楽を受けるさまを描いている。小蛸の方からは口吸い(接吻)を受け、大蛸は彼女にクンニリングスしている。

なお、先行する類似作品として、北尾重政の艶本『謡曲色番組』や勝川春潮の艶本『艶本千夜多女志』などが知られており、北斎がこれらを参考にした可能性が考えられる。

台詞[編集]

大蛸:

いつぞハいつぞハと、ねらいすましてゐたかいがあつて、けう(今日)といふけう、とうとう、とら(捕ら)まへたア。ても(ママ)、むつくりとしたいいぼぼた(ママ)。いもよりハ、なを(尚)、こうぶつだ。サアサア、すつてすつて、すいつくして、たんのふ(堪能)させてから、いつそ、りうぐうへつれていつて、かこつて(囲って)おこうか。

『蛸と海女』
女:

ズウツズツズツニ、チユツチユチユツ、ズウツズウツ、フゝゝゝウ。アレ、にくいたこだのう。うフゝゝゝ。ヱゝ、いつそ(いっそ)、アレアレ、おくの、フゝゝゝ、こつぼくちをすハれる(吸われる)ので、いきがはづんで(弾んで)、アゝヱゝモ。イツク(一句)、『それなア、いぼ(疣)で、ヱゝフウフウ、いぼで、ヱゝフウフウ』。そら、われをいろいろと、ヲゝヲゝアレアレ、こりやアどうするのだ。アゝヨウヲゝヲゝヲゝホヲゝ、アゝレヱヲゝヲゝ、いゝいゝ、ヲゝいゝいゝいゝ。ハアゝ、アゝいゝいゝ、ハアいゝ、フゝゝゝウ、フゝゝゝウ、まただヨウヨウ。いままで、わたしをば、人が、アア、フゝゝゝウゝウゝウゝ、たこだ、たこだといった(言った)がの、ヲゝフゝウゝウゝ、どふして(どうして)どふして、ヱゝヱゝ、この、ヲゝ、ヨヨヨウ、サアデウヱハ(さては)、アゝアゝアゝ、ズウズウズウ、ひちやひちや、ぐちやぐちや、じゆつちうちゆちゆちゆ、ぐうぐう、ズウズウ。なんと、八ほんのあしのからミあんばい(塩梅)ハ、どふだ(どうだ)どふだ。あれあれ、中がふくれあがつて(膨れ上がって)、アゝアゝ、ゆ(湯)のやうな(ような)ゐんすい(淫水)、ぬらぬらぬら、どくどくどく。 ヱゝ、モゝウ、くすぐつたく(くすぐったく)なって、ぞつぞつと、こしにおぼへ(覚え)がなくなって、フゝゝゝウ、フゝゝゝウ。きり(切り)もさかい(境)もなくの、ヲゝヲゝヲゝ、いきつづけ(行き続け)だアな。アゝアゝアゝ、アレアレ、ソレソレ、ウゝゝくゝゝ、フンムフウム、ウゝウゝ、いゝヨいゝヨ。

小蛸:

おやかた(親方)がしまふ(しまう)と、また、おれがこのいぼで、さねがしら(核頭)からけつのあなまで、こすつてこすつて、き(気)をやらせた(遣らせた)うへ(上)で、また、すいだしてやるにヨ、チウチウ。

模倣[編集]

江戸時代の代表的な春画として著名であり、その印象深さから何人もの芸術家により模倣されている。

17世紀より、類似したテーマの海洋生物と女性が性行為に及ぶ題材で、多くの根付が彫られている。また現代においても、所謂「触手責め」の嚆矢として認識されている。

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

鈴木堅弘、『日本研究』 第38集、2008年9月30日、国際日本文化研究センター(日文研リポジトリ)