蘋果日報 (香港)
蘋果日報 Apple Daily | |
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種類 | 日刊 |
サイズ | ブランケット判 |
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事業者 | 壹傳媒有限公司 |
本社 |
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代表者 | 黎智英、葉一堅 |
創刊 | 1995年6月20日 |
言語 | 中国語(繁体字) |
価格 |
1部 10香港ドル[1] |
発行数 | 30万部 |
ウェブサイト | http://hk.nextmedia.com/ |
蘋果日報 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 蘋果日報 |
簡体字: | 苹果日报 |
拼音: | Píngguǒ Rìbào |
注音符号: | ㄆㄧㄥˊ ㄍㄨㄛˇ ㄖˋ ㄅㄠˋ |
発音: | ピンクオリーパオ(普通話) |
広東語拼音: | ping4gwo2jat6bou3 |
日本語漢音読み: | ひんかにっぽう |
英文: | Apple Daily |
蘋果日報(ひんかにっぽう[2]、Apple Daily、アップルデイリー)は、1995年に香港で創刊された新聞である。
大きなカラー写真と人目を引く見出しを特徴とする大衆紙であり、自由主義を標榜する反北京・親民主派の代表的な新聞でもある。香港の広東語新聞の中では「東方日報」に次ぐ発行部数第2位となっている。香港の大手メディアグループ壱伝媒(zh:壹傳媒,Next Digital Limited)が100%の株式を保有しており、1995年に壱伝媒の創業者である黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai Chee Ying)が創刊した。台湾に同名の姉妹紙がある。題号は、「りんご日報」、「りんご新聞」、「リンゴ日報」などと日本語に訳されることもある。蘋果日報のアニメーションニュースサービスは、 「蘋果動新聞」という。
特徴[編集]
蘋果日報の分厚さはニューヨーク・タイムズ日曜版に匹敵する。毎日発行される新聞は、「地元ニュース」・「国際ニュース」・「経済」・「エンタテインメント」・「スポーツ」・「その他(科学技術、旅行、グルメ、料理、ファッションなど)」が別々にたたまれている。1部6香港ドルで販売しており、1日の発行部数は30万部に達する。
躍進[編集]
創業者黎智英(ジミー・ライ)は広東省生まれで、小学校卒業後に香港に渡り、裸一貫から大手アパレルチェーンのジョルダーノを築き上げた。1990年にはメディア企業「壱伝媒」を創立して週刊誌「壱週刊」(Next Magazine, 2018年ネットメディア化)を1990年に、その別冊からスピンオフした「壱本便利」(Easy Finder, 2007年停刊)を1991年に創刊し、1995年6月20日に「蘋果日報」を創刊して新聞業界へ進出を果たした。
東方日報(1969年1月22日創刊)、明報(1959年5月20日創刊)、成報(1939年5月1日創刊)、大公報(1938年8月13日創刊)、文匯報(1948年9月9日創刊)など香港のほかの中国語日刊紙と比べ、蘋果日報の創刊は1995年6月20日と若い新聞であるが、創刊後まもなく東方日報に次ぐ香港第2位の部数を発行するに至った。
創刊した1995年当時、香港に全ページカラー印刷の新聞は存在しなかったが、蘋果日報は大部分のページをカラー印刷とした。写真をメインに据え文章をそれに従わせるスタイルや洗練されたエディトリアルデザインを採用するといったビジュアル性重視と、内容面での徹底した娯楽的な大衆紙路線で、しかも他紙より価格を安く抑え、大量の部数を売り上げた。この成功がきっかけとなり、その後全ページカラー印刷に踏み切る。結果、香港返還前の香港新聞界では激しい競争が起こり、蘋果日報の路線や価格競争についてゆけなかった基盤の弱い新聞が多数、廃刊に追い込まれることとなった。
蘋果(りんご)日報という題号は、発行人の黎智英が発案したものであり、黎智英は「もしアダムとイブがリンゴを口にしなかったら、世界に善悪はなくニュースも存在しなかっただろう」と命名の理由を述べている[3]。
台湾の蘋果日報は、2003年に黎智英が他社と組んで立ち上げた姉妹紙である。
扇情性[編集]
内容は芸能人の動向、扇情的で時にやりすぎや出まかせも指摘されるルポルタージュ、企業や政治家のスキャンダル内部告発、流行の着こなし、「バスおじさん」のようなネットの話題など人々が飛びつくものが特に多く、人気と論争のもとになっている。ACニールセンの調査では香港で第2位の売り上げを誇るが、独立機関の調査では人々の蘋果日報の記事に対する信頼性は低い[4][5]。
新聞のレイアウト・デザイン・内容が読者に好まれるように変化し、硬派なデザイン・「読者の知るべきことを伝える」内容から、見やすく派手なデザイン・「読者の知りたいことを伝える」内容へとなってゆく現象(内容的なタブロイド化)を、香港などでは蘋果化と呼ぶこともある。
反政府の論調[編集]
政治的には、香港特別行政区政府や北京の中国共産党政権・中国中央政府に反対し、親北京的でなく、西側メディアや香港民主派(泛民陣営)に近い論調をとる香港でも数少ない新聞である。香港返還前から中国政府に対し激しい批判を加えてきたため、中国大陸では発行が禁止され、現在も蘋果日報のウェブサイトは、「金盾」により中国国内からのアクセスが遮断されている。また論調は「小さな政府、市場重視」の色彩が濃厚である。
2014年6月中旬よりウェブサイトへの接続が断続的に困難になっている[6][7]。
2014年香港反政府デモでは、デモ側を支持する姿勢を明確に打ち出したことから親中派から非難や攻撃を受けた。2015年1月12日には、本社とオーナー宅へ火炎瓶が投げ込まれる事件も発生した[8]。
2019年香港民主化デモでも、オーナー宅へ火炎瓶が投げ込まれたり、記者が襲われるなどしている[9]。
脚注[編集]
- ^ “《蘋果日報》元旦起加價至10元”. 蘋果日報 (香港) (2018年12月20日). 2019年9月28日閲覧。(繁体字中国語)
- ^ 目録情報の基準 第4版|11.3 ヨミの表記及び分かち書き規則
- ^ 黎智英、台湾に挑戦 - 《聯合晚報》 2000.2.21
- ^ 新聞娛樂化-看香港報業的明天 Published in the Political Information Web of Hong Kong
- ^ 傳媒的可信度分數 香港電台 香港中文大學新聞與傳播學院院長 - 蘇鑰機
- ^ 「港蘋果日報網 遭駭客攻擊」中央通訊社2014年6月18日
- ^ 「蘋果日報稱遭駭客攻擊 無法正常運作」自由時報2014年6月18日
- ^ “香港:蘋果日報本社やオーナー宅に火炎瓶”. 毎日新聞社. (2015年1月12日) 2015年1月12日閲覧。
- ^ 「蘋果日報、香港デモ取材中の記者襲撃を非難「報道の自由守る」」ロイター2019年9月25日