蘆屋家の崩壊

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蘆屋家の崩壊』(あしやけのほうかい)は、津原泰水による日本短編集、およびそこに収録された短編のタイトル。1999年に集英社より単行本として発売、2002年に同社より文庫化。2012年に収録作に変更が加わり筑摩書房より再文庫化。〈幽明志怪〉三部作の第一作。

概要[編集]

猿渡という男を語り手とした連作短編集。2006年に発表された連作短編集『ピカルディの薔薇』2012年発売の『猫ノ眼時計』には本作の猿渡と伯爵が引き続き登場する。新書版とちくま文庫版には作者による解説が掲載されている。

登場人物[編集]

詳細は幽明志怪シリーズ参照

猿渡(さるわたり)
一連の短編の語り部。年齢は三十代になるが未だ定職に就けないでいる。とあるきっかけで伯爵と知り合い、運転免許証を持たない伯爵のため、運転手として彼の取材旅行に同行している。
伯爵(はくしゃく)
怪奇小説家。伯爵というのはいつも黒ずくめな彼の服装からきた綽名であり、本名は不明。『水牛群』の時点で三十代の後半だが年齢よりも若く見える。『猫背の女』『超鼠記』には登場しない(猿渡が伯爵と出会う以前のエピソードため)
伊予田(いよだ)
『猫背の女』『埋葬虫』に登場。猿渡の大学からの友人。
落合花代(おちあい はなよ)
『カルキノス』『ケルベロス』に登場。「スクリーム・クイーン」の異名をとる女優。

収録リスト[編集]

収録作品は各版によって微妙に異なっている。

タイトル 新書版 集英社文庫版 ちくま文庫版 備考
反曲隧道 発表時タイトルは「明滅」
蘆屋家の崩壊
猫背の女
カルキノス
超鼠記 - - 初出は『おぞけ』(祥伝社・1999年)ちくま文庫版では『ピカルディの薔薇』に収録
ケルベロス
埋葬虫 ちくま文庫版では「虫」の字が旧字に変更されている
水牛群 初出は『グランドホテル 異形コレクション 9』(広済堂出版・1999年)
奈々村女史の犯罪 - -
跋文(作者自身による解説) -

各話あらすじ[編集]

反曲隧道
猿渡と伯爵が出会うきっかけとなった、大宮のはずれのとあるトンネルで起こる怪異談。
蘆屋家の崩壊
猿渡が大学時代付き合っていた女、秦遊離子。美味しい豆腐を求めて旅をしていた猿渡と伯爵は成り行きで福井県にある彼女の家を訪ねる事になる…
猫背の女
友人のコンサートで席を譲った事から「佐藤美智子」という猫背の女と知り合った猿渡。お礼がしたいという彼女に付き合い一度だけ映画を観に行くのだが、気が乗らない猿渡は嘘を吐いて次の約束をついすっぽかしてしまう。その日から彼の近辺では小火をはじめ、奇妙な現象に見舞われるようになる…
カルキノス
「美味しい蟹が食べられる」という言葉に誘われて、富士市で行われる怪奇映画祭にゲストとして招待された二人は地元の蟹成金郷原の家に泊めてもらうことになるのだが、その夜奇妙な殺人事件が起こる。犯人は南郷の妻が夜毎に見るという「赤い巨人」なのか…
超鼠記
フリーランスで編集業を営んでいる知人、蜷川のオフィスビルに住み込みで働く事になった猿渡。彼のビルは最近鼠が出るようになり、業者に駆除を依頼するのだが、翌日業者の仕掛けた罠に掛かっていたのは一人の少女だった…
ケルベロス
『カルキノス』で知り合った女優の落合花代にある相談を受ける伯爵、彼女の双子の妹葉子は幼少の頃轢き逃げに遭い半身不随の身。それだけにとどまらず、彼女の生まれた村は20年以上祟られ続けているという。原因は彼女の家が「お返し」をしなかったからというのだが…
埋葬虫
旧友の伊予田と偶然再会した猿渡。彼の部下齋条は出張先のマダガスカルで虫に寄生されてしまい余命幾ばくも無いという。伊予田にカメラを託された猿渡は瀕死の齋条が見たがっているという森の写真の撮影を依頼される…
水牛群
再就職が決まり伯爵との交流も途絶えていた猿渡だったが、ある日突然上司の行った不正の責任を凡て押し付けられ馘首。すっかり心身衰弱してしまう。夢うつつで伯爵に助けを求めた猿渡は再び彼の取材旅行に同行する事になる…
奈々村女史の犯罪
「昔、若い作家を殺したわ、きわめて才能豊かな」打ち合わせと称した酒の席で奈々村女史がした奇妙な告白。彼女が銃殺した谷山清治、彼が書いた文章は現実になるという...

関連項目[編集]

脚注[編集]