藤田航生

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藤田 航生
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 青森県弘前市
生年月日 (1997-12-11) 1997年12月11日(26歳)
身長
体重
173 cm
74 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2015年 ドラフト9位
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

藤田 航生(ふじた こうき、1997年12月11日 - )は、青森県弘前市出身[1]の元プロ野球選手投手)、理学療法士。左投左打。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

中学生時代は硬式野球チーム「弘前シニア」に所属していた[2]青森県立弘前工業高等学校では甲子園出場経験は無い[3]。高校通算奪三振率は11.65だった[4]

2015年10月12日に行われたプロ野球ドラフト会議埼玉西武ライオンズから9巡目で指名を受け[5]、契約金1,000万円、年俸500万円(金額は推定)で仮契約を結んだ[6]。背番号は「67」に決まった[7]

西武時代[編集]

2016年は二軍で1試合の登板にとどまり[8]2017年も一軍登板はなく、二軍で3試合に登板し防御率は18.00だった[9]。現役引退時に明かしたイップスの症状は1年目の段階から発症していたとされる。

2018年5月、スリークォーターからサイドスローに転向[10]。同年は二軍公式戦13試合の登板で防御率4.15[11]2019年は二軍公式戦27試合の登板で1勝1敗、防御率5.87と[12]、内容が良くないながらも登板機会を増やしていった。2019年12月31日には一般女性と結婚[13]

2020年は二軍公式戦8試合の登板にとどまり、防御率13.50の成績に終わった[14]。結局5年間で一度も一軍登板がないまま、11月3日に西武より来季の契約を結ばないことが発表され[15][16][17]、現役引退する意向を示した[18]

現役引退後[編集]

戦力外通告を受けて現役引退する意向を示した際、プロ生活の中でイップスになったことを明かした。高校時代に怪我をした際、理学療法士を志した経験があることから、引退後はそういった苦しんでいる人を手助けする活動を行えるようになりたいと語っている[18]。理学療法士を目指して、2021年4月より埼玉県の3年制の専門学校の夜間部に通う[19][20]。また、在学中の昼間は株式会社スマイルランド(カーミニーク)[注 1]上尾TOWER店に勤務し、社会人としてのマナーなども学んだ[21]。2022年5月14日のベルーナドームでの「ライオンズ獅子女デー」で俳優の玉木宏がセレモニアルピッチを務めた際には、藤田が「CAR3219」のロゴの入ったランボルギーニを運転して玉木をマウンドまで送った[22]

2024年3月に専門学校を卒業し[23]、同月に理学療法士国家試験にも合格した[24]。同年4月より、現役時代に所属した西武に理学療法士補佐として所属することとなった[21]

選手としての特徴[編集]

最速140kmの直球に、変化球はスライダーチェンジアップ、縦に割れるカーブを投げる[3]

しかし、プロ生活中にはイップスに悩まされ、現役最終年の2020年の春季キャンプ中の紅白戦では、球速が120km/h程度しか出ず、コントロールも打者の背中を通る投球を連発するほどになっていた[25]。引退決断後の毎日新聞の取材に対して、イップス発症からその後について語っており、1年目の新人合同自主トレーニングでキャッチボール中に暴投した際、キャッチボール相手の先輩選手がボールを走って捕りに行っている姿を見てから、まともに投げられなくなってしまったという。故郷から離れた西武では相談を打ち明けられる相手がおらず、悩み続けて1時間しか眠れないこともあった。3年目の春にようやくトレーナーに自身の状態を打ち明け、投球フォームの転向や、ソフトボールソフトテニスのボール、硬球をランダムに投げる練習などイップスに対するトレーニングを積んだ。結果、二軍での登板数を増やすことができたものの、長続きはせず、ブルペンで肩を作る段階でも怖がってしまう状況だった。イップスによる投球への恐怖を抱える中でブルペン捕手の中田祥多はよく励ましてくれたといい、中田へ感謝の言葉を述べている[19]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]

  • 一軍公式戦出場なし

背番号[編集]

  • 67(2016年 - 2020年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 埼玉西武ライオンズと、西武第二球場の施設命名権スポンサー契約を結んでいる企業。

出典[編集]

  1. ^ 2016プロ野球12球団全選手カラー百科名鑑 廣済堂出版発行(ISBN 978-4-331-80325-7) 82頁
  2. ^ 出身2選手ドラフト指名 後輩意気込む/弘前シニア Web東奥 2015年12月10日掲載
  3. ^ a b 西武 ドラ9弘前工・藤田に高評価「縦カーブ衝撃」 日刊スポーツ 2015年10月28日紙面から
  4. ^ 弘前工の無名左腕藤田が西武9位「素直にうれしい」 日刊スポーツ 2015年10月23日紙面から
  5. ^ 2015年ドラフト会議 全指名選手 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2015年10月22日配信
  6. ^ 2016年度西武ライオンズ選手名鑑 67 藤田 航生 スポニチ Sponichi Annex
  7. ^ 本日12/11「2015ドラフト新入団選手発表会」を実施! 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト 2015年12月11日配信
  8. ^ 2016年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. 埼玉西武ライオンズ. 2016年11月13日閲覧。
  9. ^ 2017年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)
  10. ^ “西武藤田航生は現状維持、対左のスペシャリストに”. 日刊スポーツ. (2018年11月21日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201811210000404.html 2020年11月3日閲覧。 
  11. ^ 2018年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. NPB.jp 日本野球機構. 2020年11月3日閲覧。
  12. ^ 2019年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. NPB.jp 日本野球機構. 2020年11月3日閲覧。
  13. ^ “西武・野田、声優・佳村はるかと結婚”. SANSPO.COM. (2020年1月3日). https://www.sanspo.com/article/20200103-GGND25W5ANJLNJAHGTYJLYK3MY/ 2020年11月3日閲覧。 
  14. ^ 2020年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. NPB.jp 日本野球機構. 2020年11月3日閲覧。
  15. ^ 埼玉西武ライオンズ選手来季契約について”. 埼玉西武ライオンズ (2020年11月3日). 2020年11月3日閲覧。
  16. ^ “西武が3選手に戦力外通告 トラブル続きの相内、18年最多勝の多和田”. デイリースポーツ online. https://www.daily.co.jp/baseball/2020/11/03/0013835670.shtml 2020年11月3日閲覧。 
  17. ^ "埼玉西武ライオンズ選手来季契約について". 公式サイト. 埼玉西武ライオンズ. 3 November 2020. 2020年11月3日閲覧
  18. ^ a b “西武戦力外の多和田「野球を続けていければ」 トラブル続き相内は現役引退へ”. Full-Count. (2020年11月3日). https://full-count.jp/2020/11/03/post956439/ 2020年11月3日閲覧。 
  19. ^ a b イップスで地獄の5年、元西武投手の次の道 苦しむ人の助けに」『毎日新聞』2020年12月28日。2020年12月28日閲覧
  20. ^ 【西武】藤田航生は理学療法士を目指す 就職と通学で2足のわらじも「自分のやりたいこと」…第二の人生、羽ばたく」『スポーツ報知』2021年1月1日。2024年4月8日閲覧
  21. ^ a b 藤田航生 [@ko_ki.1211]「ご報告 4月より理学療法士補佐として【埼玉西武ライオンズ】に所属することになりました。」2024年4月7日。Instagramより2024年4月8日閲覧
  22. ^ 埼玉西武ライオンズ [@lions_official] (2022年5月14日). "「ライオンズ獅子女デー」初日のセレモニアルピッチに俳優の #玉木宏 さんが登場! マウンドへはランボルギーニでライオンズOBの #藤田航生 さんがアテンド!". X(旧Twitter)より2024年4月8日閲覧
  23. ^ 藤田航生 [@ko_ki.1211]「卒業できました。」2024年3月8日。Instagramより2024年4月8日閲覧
  24. ^ 藤田航生 [@ko_ki.1211]「理学療法士国家試験合格できました。」2024年3月21日。Instagramより2024年4月8日閲覧
  25. ^ 120キロ台の直球で背中を通るデスボール連発、最後は死球も・・・大荒れの藤田航生投手の投球! - YouTube

関連項目[編集]

外部リンク[編集]