藤原帰一

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藤原帰一
人物情報
生誕 (1956-06-16) 1956年6月16日(61歳)
日本の旗 日本 東京都
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京大学
イェール大学大学院
学問
研究分野 国際政治学比較政治学フィリピン政治研究
影響を
与えた人物
三浦瑠麗
主な受賞歴 第10回南北文化コミュニケーション賞(2001年)
第26回石橋湛山賞(2005年)(『平和のリアリズム』)
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藤原 帰一(ふじわら きいち、1956年昭和31年)6月16日 - )は、日本政治学者東京大学大学院法学政治学研究科教授。専門は国際政治学比較政治学フィリピン政治研究。

経歴[編集]

東京都出身。東京銀行に勤務していた父の関係で幼少期をニューヨーク近郊で過ごした帰国子女1975年麻布高校卒業、1979年東京大学法学部卒業、1984年同大学大学院博士課程単位取得満期退学。フルブライト奨学生としてイェール大学大学院に留学。東京大学社会科学研究所助手(1984-1987年)、千葉大学法経学部助手・助教授(1987-1992年)、東京大学社会科学研究所助教授(1992-1999年)を経て、1999年4月から現職。その間にフィリピン大学アジアセンター客員教授、米国ウッドローウィルソン国際学術センター研究員、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究院客員教授、英国ブリストル大学客員教授などを歴任。2007年より放送大学客員教授を兼任。

人物[編集]

東京大学では坂本義和、イェール大学ではジェームズ・C・スコットに師事。フィリピン政治研究からスタートし、同国の民主化や政軍関係、民主化過程の比較政治研究などを手がけ、90年代半ばから国際政治に研究の重心を移していった。2001年に刊行した処女単著『戦争を記憶する』が、折からの歴史認識論争のなかで注目された。同時多発テロ事件以後は総合雑誌や新聞など論壇活動が増えていき、テレビ出演も数多い。2010年4月からは2011年9月までテレビ朝日サンデー・フロントライン」のレギュラーを務めた。

近時は『SIGHT』、『東洋経済』、『ダイヤモンド』に登場、ないし定期寄稿している。2011年4月から『朝日新聞』夕刊に月一回のコラム「時事小言」を担当、また『kotoba』(季刊、集英社)では「国際政治の練習問題」を連載した(書き下ろしと合わせ『戦争の条件』に収録)。なお、『青春と読書』(集英社)で「ナショナリスト」を連載したが、単行書にはまとめられていない(2007年7月号-11月号)。また、放送大学にて国際政治の講義を担当している。2013年10月から、大規模オンライン講座(MOOC)の一つである Coursera で、東京大学の提供する二科目の一つとして、 Conditions of War and Peace を開講した。

大学時代は映画ばかり見ていたという映画マニアとしても知られ、『論座』連載をまとめた『映画のなかのアメリカ』のほか、『本』(講談社)では「アンチ・ヒーローのアメリカ」を連載した(2004年9月-2005年9月,単行本未収録)。2007年8月から2012年5月まで、『AERA』で「映画の記憶」を連載した(『これは映画だ!』に収録)。2012年4月には、外国映画ベストサポーター賞(外国映画輸入配給協会主催)を前田敦子とともに受賞。2014年9月現在、『外交』に「戦争と映画」を、また『毎日新聞』日曜版に「映画愛」を連載中。 妻は国際政治学者・インド地域政治研究者の竹中千春立教大学法学部教授。

役職[編集]

東京大学大学院法学政治学研究科副研究科長、総合法政元専攻長、日本比較政治学会前会長、日本国際政治学会理事、日本政治学会前理事、日本学術会議第一部連携会員、Global Governance 編集委員、Journal of East Asian Studies 編集委員、東京大学政策ビジョン研究センターセンター長。

受賞歴[編集]

  • 第10回南北文化コミュニケーション賞(2001年)
  • 第26回石橋湛山賞(2005年)『平和のリアリズム』[1]

著作[編集]

単著[編集]

共著[編集]

編著[編集]

共編著[編集]

論文[編集]

雑誌論文(日本語)[編集]

  • 「イデオロギーとしてのエスニシティー――米国統治下における『モロ問題』の展開」『國家學會雑誌』第97巻7・8号(1984年)
  • 「『世界システム』論の展開――I・ウォーラーステインをこえて」『思想』第738号(1985年)
  • 「国際市場の変動と「開発」政策――ODA分析の前提として」『千葉大学法学論集』第3巻第1号(1988年)
  • 「フィリピンにおける『民主主義』の制度と運動」『社会科学研究』第40巻第1号(1988年)
  • 「援助なんか知らないよ――日本の政府開発援助を考える前に」『平和研究』第13号(1988年)
  • 「民主化過程における軍部――A・ステパンの枠組とフィリピン国軍」日本政治学会編『年報政治学』(岩波書店, 1989年)
  • 「冷戦の後の平和 - 国際政治と日本の選択」『平和経済』第360号(1991年11月)pp.5-16
  • 「国連の二つの顔 - 平和維持をめぐる選択」『軍縮問題資料』第133号(1991年12月)
  • 「田舎の冷戦――統合米軍顧問団とフィリピン国軍再編成 1948-1950」『千葉大学法学論集』第6巻第2号(1991年)
  • 「権力政治と相互依存――鴨武彦『国際安全保障の構想』を中心として」『思想』第803号(1991年)
  • 「米中冷戦の終わりと東南アジア」『社会科学研究』第44巻第5号(1993年)
  • 「冷戦の二日酔い――在比米軍基地とフィリピン・ナショナリズム」『アジア研究』第39巻第2号(1993年)
  • 「田舎の冷戦・都会の冷戦」『総合的地域研究』第5号(1994年)
  • 「専政の平和・談合の平和――比較の中のASEAN」『国際政治』125号(2000年)
  • 「抑止としての記憶――国際政治の倫理化とその逆説」『国際問題』第501号(2001年)
  • 「なぜ国民が語られるのか」『歴史学研究』第747号(2001年)
  • 「戦争はどう記憶されてきたか」『東洋学術研究』第41巻第1号通巻148号(2002年)
  • 「東アジアの平和構想」『Human Security』第5号(2002年)
  • 「忘れられた人々――テロ・カトリーナ・周縁」『国際政治』第149号(2007年)
  • 「アメリカとイスラム――社会通念と政策選択」『東洋学術研究』第47号第1号通巻第160号(2008年)
  • 「民主化過程における宗教」『東洋学術研究』第51巻第1号通巻第168号(2012年)

単行本所収論文(日本語)[編集]

  • 「フィリピンの政治制度 - 法制的側面を中心として」萩原宜之・村嶋英治編『ASEAN諸国の政治体制』アジア経済研究所(1987年)
  • 「フィリピン政治と開発行政」福島光丘編『フィリピンの工業化――再建への模索』(アジア経済研究所, 1990年)
  • 「帝国主義論と戦後世界」大江志乃夫編『岩波講座近代日本と植民地(1)植民地帝国日本』(岩波書店, 1992年)
  • 「『民主化』の政治経済学――東アジアにおける体制変動」東京大学社会科学研究所編『現代日本社会(3)国際比較[2]』(東京大学出版会, 1992年)
  • 「アジア冷戦の国際政治構造――中心・前哨・周辺」東京大学社会科学研究所編『現代日本社会(7)国際化』(東京大学出版会, 1992年)
  • 「政治変動の基本要素」・「政治変動の諸様相」矢野暢編『講座東南アジア学(7)東南アジアの政治』(弘文堂、1992年)
  • 「フィリピンの政党政治――政党の消えた議会」萩原宜之・村嶋英治・岩崎育夫編『ASEAN諸国の政党政治』(アジア経済研究所, 1993年)
  • 「長い世紀末 - 世界戦争・民主主義・国民国家」『神奈川大学評論』第15号(1993年7月)
  • 「私はなぜもういちど選挙にいくことを決めたのか」『別冊宝島189おいしい政治』宝島社(1993年)
  • 「主権国家と国民国家――『アメリカの平和』への視点」山之内靖他編『岩波講座社会科学の方法XIグローバル・ネットワーク』(岩波書店, 1994年)
  • 「政府党と在野党――東南アジアにおける政府党体制」萩原宜之編『講座現代アジア(3)民主化と経済発展』(東京大学出版会, 1994年)
  • 「工業化と政治変動――国家・資本・社会」坂本義和編『世界政治の構造変動(3)発展』(岩波書店, 1994年)
  • 「国際政治と合意」合意形成研究会編『カオスの時代の合意学』(創文社、1994年)
  • 「ナショナリズムは二つの顔」『別冊宝島195地域紛争を知る本』宝島社(1994年)
  • 「官僚と開発――経済発展の政治的条件」岩崎育夫・萩原宜之編『ASEAN諸国の官僚制』(アジア経済研究所, 1996年)
  • 「世界戦争と世界秩序――20世紀国際政治への接近」東京大学社会科学研究所編『20世紀システム(1)構想と形成』(東京大学出版会, 1998年)
  • 「ナショナリズム・冷戦・開発――戦後東南アジアにおける国民国家の理念と制度」東京大学社会科学研究所編『20世紀システム(4)開発主義』(東京大学出版会, 1998年)
  • 「冷戦の終わりかた――合意による平和から力の平和へ」東京大学社会科学研究所編『20世紀システム(6)機能と変容』(東京大学出版会, 1998年)
  • 「ヘゲモニーとネットワーク――国際政治における秩序形成の条件について」東京大学社会科学研究所編『20世紀システム(6)機能と変容』(東京大学出版会, 1998年)
  • 「東南アジアにおける冷戦と国家形成」五百旗頭眞編『「アジア型リーダーシップ」と国家形成』(TBSブリタニカ, 1998年)
  • 「グローバル化の二つの顔――相互依存と覇権秩序」日本比較政治学会編『グローバル化の政治学』(早稲田大学出版部, 2000年)
  • 「内戦と戦争の間――国内政治と国際政治の境界について」日本政治学会編『年報政治学』(岩波書店, 2001年)
  • 「記憶の戦いを超えて」船橋洋一編『いま歴史問題にどう取り組むか』(岩波書店, 2001年)
  • 「国民の崩壊・民族の覚醒――民族紛争の政治的起源」日本比較政治学会編『民族共存の条件』(早稲田大学出版部, 2001年)
  • 「民主化後の東南アジア――東南アジア政治体制の過去と現在」慶應義塾大学地域研究センター編『変わる東南アジア』(慶應義塾大学出版会, 2002年)
  • 「報復戦争のドラマトゥルギー――映画としてのアフガン介入」松原正毅・小杉泰・臼杵陽編『岐路に立つ世界を語る』平凡社(2002年)
  • 「地域の自意識――グローバル化の中のナショナリズム」『講座東南アジア史(9)「開発」の時代と「模索」の時代』(岩波書店, 2002年)
  • 「二つの恐怖の谷間で――冷戦後世界における暴力とアメリカ」小林正弥編『戦争批判の公共哲学』(勁草書房,2003年)
  • 「軍と戦争――アジア史を概観して」青木保ほか編『アジア新世紀(8)構想』(岩波書店, 2003年)
  • 「帝国と大国のあいだ――日本にとってのアメリカ・中国にとってのアメリカ」毛里和子・張蘊嶺編『日中関係をどう構築するか』(岩波書店, 2004年)
  • 「国家形成と地域統合――国際環境のなかの東南アジア」五十嵐武士編『変貌するアジア太平洋世界(2)太平洋世界の国際関係』(彩流社, 2005年)
  • 「軍と警察――冷戦後世界秩序における国内治安と対外安全保障の収斂」山口厚中谷和弘編『融ける境 超える法(2)安全保障と国際犯罪』(東京大学出版会, 2005年)
  • 「比較政治の危機」日本比較政治学会編『比較政治学の将来』(早稲田大学出版部, 2006年)
  • 「ゲートキーパーとリーダーシップ――グローバリゼーションのなかの政策選択のメカニズム」城山英明大串和雄編『政治空間の変容と政策革新(1)政策革新の理論』(東京大学出版会, 2008年)
  • 「帝国は国境を越える──国際政治における力の分布」大芝亮・古城佳子・石田淳編『日本の国際政治学 (2)国境なき国際政治』(有斐閣, 2009年)

外国語[編集]

  • "Peace Research in Japan: A Critical Review." Peace Studies Association of Japan (PSAJ) Newsletter, no.5,1984.
  • "Imagining the Past, Remembering the Future", Social Science Japan, no.3 (1995).
  • "Autocratic Peace or Democratic Peace? Domestic Origins of Regional Order in Southeast Asia", Foreign Relations Journal, vol. 11, no. 2 and vol. 12, no. 21 (1996).
  • "Philippine Studies in Japan", Philippine Studies Newsletter, 1996.
  • "State Formation and Regional Order: Southeast Asia in the International Environment," in Peter King and Kibata Yoichi eds., Peace Building in the Asia Pacific Region, (Allen and Unwin, 1996).
  • "After the Fall: Changes in the Japanese Political Economy", Asian Perspectives, no. 4, 1999.
  • "Histoire et nationalisme", Cahiers du Japon. Hiver 2001.
  • "Ways of Remembering: The Rise and Fall of Hiroshima in Japanese War Memories", Maria Serena Diokno ed., Imagining the Past, Remembering the Future: Memories of War and Violence in Asia, (University of the Philippines Foundation, 2001).
  • "Memory as Deterrence:The Moralization of International Politics", Japan Review of International Affairs, vol. 16, no. 2, 2002.
  • "Patterns of Changes in International Relations: Major Wars and their Aftermath", Emirates Lecture Series 36, 2002.
  • "Political Consequences of Globalization: Japan in Comparative Perspective", Proceedings of the AASREC Regional Conference, edited by the AASSREC and the National Centre for Social Sciences and Humanities of Vietnam, 2002.
  • "The Ending of Wars and International Order: Leadership or Accord?" Social Science Japan no. 26, 2003.
  • "Remembering the War: Japanese Style", Far Eastern Economic Review, December 2005.
  • "The State of Asian Democracies", in Japan Foundation, ed., The Community of Asia: Concept or Reality?, (Anvil, 2006).
  • "Between Terror and Empire: Japan's Response and the Post-9/11 Order", in Glenn D. Hook and Harukiyo Hasegawa, eds., Japanese Responses to Globalization: Politics, Security, Economics and Business, (Palgrave, 2006).
  • "Imagining the Past: Memory Wars in Japan", Policy and Society, vol. 25, no. 4, 2007.
  • "Japan's Misfiring Security Hedge: Discovering the Limits of Middle-Power Internationalism and Strategic Convergence" (with H.D.P.Envall) in William Tow and Rikki Kersten, eds., Bilateral Perspectives on Regional Security: Australia, Japan and the Asia-Pacific Region (Palgrave Macmillan, 2012), pp. 60-76.
  • "Keizai-Kyoryoku: On the Life and Times of Japanese Economic Diplomacy," in William T. Tow, David Walton, and Rikki Kersten, eds., New Approaches to Human Security in the Asia-Pacific: China, Japan and Australia (Ashgate, 2013), pp. 93-106.

脚注[編集]

  1. ^ 第26回受賞:藤原帰一教授 - 石橋湛山記念財団

外部リンク[編集]