著作権マーク

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著作権マーク

著作権マーク(ちょさくけんマーク)またはコピーライトマーク(copyright mark)とは、大文字Cを丸で囲んだ記号(©)であり、音声録音[1]以外の作品の著作権表示に使用される記号である。

この記号の使用は、アメリカ合衆国の著作権法英語版[2]や、国際的には万国著作権条約[3]に規定されている。ただし、ベルヌ条約の下では、ほとんどの国で著作権マークによる明示をしなくても著作権を得ることができる。例えば、アメリカ合衆国は1989年3月1日に著作権表示の要件を廃止したが、それ以前に発表された作品では、著作権マークが表示されているか否かは、法的に重要である。

歴史[編集]

作品の著作権を示す記号の先駆は、1670年代のスコットランドの年鑑に見られる。その書籍には、その真正性を示すための紋章が印刷されていた[4]

著作権表示は、アメリカ合衆国の1802年の著作権法によって初めて規定された[5]。それは、"Entered according to act of Congress, in the year         , by A. B., in the office of the Librarian of Congress, at Washington."(        年、ワシントンにある議会図書館司書の事務所にA. B.が議会制定法英語版に従って記入した。)のように長いものであった。一般に、著作権表示は著作権で保護された作品自体に表示されていなければならなかったが、絵画のような美術作品の場合には、美術作品が設置されるべき物体の表面に刻印されていてもよい[6]。1874年、"Copyright, 18        , by A. B."と大幅に短縮された表示でも可能とするよう著作権法が改正された[7]

著作権マーク©は、1909年の著作権法(Copyright Act of 1909)第18条[8]で導入され、最初は絵画、グラフィック、彫刻作品にのみ適用された[9]。1954年、出版された著作物にもこの記号の使用が拡大された[9][10]

1909年の著作権法は、既存の著作権法を完全に書き直し、改訂することを意図していた。この法案の草案で最初に提案されたように、著作権の保護を受けるためには、芸術作品そのものに"copyright"という文言またはその認可された略語を入れることが要求された。この芸術作品には絵画も含まれていたが、額縁は取り外し可能であることから議論が起こった。1905年と1906年に行われた法案についての著作権保持者間の会議では、芸術家組織の代表者はこの要件に反対し、作品自体に作者名以外の文言を書くことを望まなかった。妥協案として、作品自体に書かれる作者名の横に、比較的邪魔されない記号(大文字のCを丸で囲んだ記号)を書き足す案が出された[11]。実際に、ハーバート・パトナム議会図書館司書の指導の下、著作権委員会がまとめた1906年の議会に提出された法案は、特別な著作権マーク、丸で囲まれた文字Cを、"copyright"やその略語"copr."の代わりに使用することができるが、それは芸術作品などの限られたカテゴリについてのみ使用でき、通常の書籍や定期刊行物は含まれないとしている[12]。1909年の著作権法は、1946年に合衆国法典第17号に組み込まれた時点でも変更されなかった。1954年の改正で、全ての著作物について記号©が"Copyright"または"Copr."の代替として許可された[10]

現在のアメリカ合衆国を含むベルヌ条約の加盟国では、著作権を確立するのに著作権表示を行う必要はなく、著作物の作成時に自動的に著作権が確立する[13]。アメリカ合衆国は1989年にベルヌ条約に加盟した。ほとんどの国がベルヌ条約に加盟しているため、著作権を得るために著作権表示を必要としない。

アメリカ合衆国の著作権表示[編集]

アメリカ合衆国では、1989年3月1日以前には以下の形式の著作権表示が必要とされた[14]

  • ©記号、または"Copyright"(あるいはその略語の"Copr.")という文言
  • その作品の最初の出版年
  • 名前、その省略形、または一般に知られている名称のいずれかによる著作権の所有者の識別

例えば、2011年に初めて出版された作品の場合は、以下のようになる。

© 2011 John Smith

この表示は、かつてはアメリカ合衆国で著作権保護を受けるためには必要だったが、ベルヌ条約に加盟している国では必要ない.[13]。アメリカ合衆国は1989年3月1日にベルヌ条約に加盟した[15]

デジタル表現[編集]

タイプライターASCIIベースのコンピュータシステムでは、この記号は長らく利用できなかったため、(C)と表現するのが一般的だった。

Unicodeでは、U+00A9 © copyright sign (HTML: © ©)として割り当てられている[16]。Unicodeには他にU+24B8 circled latin capital letter c (HTML: Ⓒ)とU+24D2 circled latin small letter c (HTML: ⓒ)もある[17]。これらは、著作権マークがフォントや文字セットで利用できない場合(一部の朝鮮語コードページなど)に代替として使用されることがある。

Windowsでは、Altを押しながら0 1 6 9を押すことで入力できる。Macintoshでは、オプションキーを押しながらgを押すことで入力できる。Linuxでは、compose O Cコンポーズキー英語版シーケンスで入力できる。

関連する記号[編集]

  • レコード原盤権マーク英語版(℗) - 大文字のPを丸で囲んだ記号であり、録音の原盤権を指定するために使用される[18]
  • コピーレフトマーク - 著作権マークを左右反転させた記号であり、コピーレフトのシンボルとして使用される。法的には意味を持たない[19]
  • 登録商標マーク(®) - 大文字のRを丸で囲んだ記号であり、公式の事務所に登録されている商標(登録商標)を指定するために使用される。
  • マスクワークマーク(Ⓜ) - 大文字のMを丸で囲んだ記号であり、マスクワーク英語版(半導体集積回路の回路配置)の表示に使用される[20]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ これはレコード原盤権マーク英語版(℗)で示される。
  2. ^ 合衆国法典第17編第401条 17 U.S.C. § 401
  3. ^ Universal Copyright Convention, Article III, §1. (Paris text, July 24, 1971.)
  4. ^ Mann, Alastair J.; Kretschmer, Martin; Bently, Lionel (2010). “A Mongrel of Early Modern Copyright”. In Deazley, Ronan. Privilege and property: essays on the history of copyright. Open Book Publishers. ISBN 978-1-906924-18-8. 
  5. ^ Copyright Law Revision Study Number 7, page 6”. 合衆国著作権局. 合衆国政府印刷局. 2013年6月14日閲覧。
  6. ^ Copyright Act of 1870, §97.
  7. ^ 1874 Amendment to the Copyright Act of 1870, §1.
  8. ^ Copyright Act of 1909, §18
  9. ^ a b Copyright Law Revision: Study 7: Notice of Copyright. Washington, D.C.: 合衆国政府印刷局. (1960). p. 11. http://www.copyright.gov/history/studies/study7.pdf. 
  10. ^ a b An Act to amend title 17, United States Code, entitled "Copyrights", Pub.L. 83–743, 68 Stat. 1030 1954年8月31日制定.
  11. ^ Arguments before the Committees on Patents of the Senate and House of Representatives, conjointly, on the bills S. 6330 and H.R. 19853, to amend and consolidate the acts respecting copyright. June 6–9, 1906. 合衆国政府印刷局. (1906). p. 68. https://books.google.com/books?id=ZlA-AAAAYAAJ&pg=PA68&cd=2#v=onepage. 
  12. ^ “Proposed Copyright Legislation”. The Writer XVIII (6): 87. (1906年6月). https://books.google.com/books?id=fEhppVLGxR0C&pg=PA87&dq=%22proposed+copyright+legislation%22&lr=&ei=5XL3StfCJKO8zgSt2dW5Aw#v=onepage&q=%22proposed+copyright+legislation%22. 
  13. ^ a b Molotsky, Irvin (1988年10月21日). “Senate Approves Joining Copyright Convention”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1988/10/21/arts/senate-approves-joining-copyright-convention.html 2011年9月22日閲覧。 
  14. ^ 合衆国法典第17編第401(b)条 17 U.S.C. § 401(b)
  15. ^ Circular 38A: International Copyright Relations of the United States. 合衆国著作権局. (2014). p. 2. http://copyright.gov/circs/circ38a.pdf 2015年3月5日閲覧。. 
  16. ^ https://www.unicode.org/charts/PDF/U0080.pdf
  17. ^ https://www.unicode.org/charts/PDF/U2460.pdf
  18. ^ Stephen Fishman (2010), “The Copyright Symbol”, The Public Domain, p. 356, ISBN 978-1-4133-1205-8, https://books.google.co.uk/books?id=4WKTNLRtUAsC&pg=PA356 
  19. ^ Hall, G. Brent (2008). Open Source Approaches in Spatial Data Handling. Springer. p. 29. ISBN 3-540-74830-X.  Additional 978-3-540-74830-4. See Open Source Approaches in Spatial Data Handling - Google ブックス, page 29
  20. ^ Federal Statutory Protection for Mask Works (Copyright Circular 100)”. 合衆国著作権局. pp. 5 (2012年9月). 2014年3月22日閲覧。