筵
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筵(むしろ)とは、藁(わら)やイグサなどの草で編んだ簡素な敷物。菰(こも)とも呼ばれる。
代表的な製品にござ(茣蓙)がある。
概要[編集]
住宅などの建築資材などにも用いられたほか、天皇や貴族の通路に敷物(現代の赤絨毯に相当するもの)として用いられることもあった。
農村では、手軽な現金収入となる内職仕事の一つであり、盛んに造られた。百姓一揆の際には筵に要求を書き上げ、筵旗として用いられることもあった。
歴史[編集]
製法が成立した年代は不明であるが、日本では古くから造られており、奈良時代には畳(筵に縁取りをした畳の原形)へ派生している。
筵道[編集]
天皇や貴人が歩く道筋や神事で祭神が遷御する通り道に敷く筵の道のことで、筵の上に白い絹を敷く場合もある[1]。「えんどう」または「えどう」と言う。平安時代に宮中で舞が演じられる際に庭に敷かれる筵の道も筵道と呼ぶ[2]。春日大社の式年造替で仮殿の「移殿(うつしどの)」から本殿まで祭神が通る道に敷かれるものは「清薦(きよごも)」と呼ばれ、明治以降は同大社の旧神領の農家が稲わらで作ってきた[3]。これは神職が正遷宮前に精進潔斎のために泊まる斎館にも敷かれる。出雲大社の涼殿祭(すずみどのさい)では筵道に真菰が敷かれる。
脚注[編集]
- ^ 『大辞泉』えんどう(筵道)
- ^ 第49回 『年中行事絵巻』巻十「女踏歌」を読み解く絵巻で見る 平安時代の暮らし、三省堂、 2016年 5月 21日
- ^ 筵道に清薦敷き詰め - あす正遷宮 祭神が本殿へ/第60次春日大社式年造替奈良新聞、2016年11月5日