茨城県沖地震

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茨城県沖地震(いばらきけんおきじしん)とは、茨城県沿岸沖合を震源として起こる地震で、過去に数回発生している。このため、本稿においては発生年を付して「西暦年茨城県沖地震」と呼称することにより区別する。

概要[編集]

茨城県沖では太平洋プレートと陸のプレート(北アメリカプレート)境界で、M 6.7〜7.2の地震が繰り返し発生している。震源位置などから1920年代、1943年、1960年代、1982年、2010年前後の地震がこのタイプの地震とみられ、ほぼ同じ震源域を持っていると考えられる[1]。この震源域には少なくとも2つのアスペリティがあると考えられ、同時あるいはある程度の間隔で破壊されるとみられる[2]。 平均発生間隔は、21.9年である[2]

また、茨城県沖では日本海溝から太平洋プレートが、日本列島(東日本以北)を載せている陸のプレート(北アメリカプレート)の下に沈み込んでいる。さらに、茨城県の南部ではフィリピン海プレート相模トラフから前述の2つのプレートの間に割り込む形で沈み込んでいて、複雑な構造になっている。このことから地震の巣になっており地震活動が活発な地域である[3]

さらに東北地方太平洋沖地震の震源域となっており、2011年3月11日にMw 7.7の余震と見られる地震が発生している(詳細は後述)。地震調査研究推進本部では今後もM 7を越える余震が発生する可能性があるとしている[4]

主な地震[編集]

1896年茨城県沖地震[編集]

1896年(明治29年)1月9日22時17分頃に発生した地震。地震の規模はマグニチュード(M) 7.0。

各地の震度(強震以上)
震度 都道府県 市区町村
千葉県 海上郡銚子町
栃木県 宇都宮市
東京府 東京市
福島県 北会津郡若松町
山梨県 甲府市
新潟県 新潟市
秋田県 秋田市

1923年茨城県沖地震[編集]

1923年(大正12年)6月2日02時24分頃に北緯35度55.7分 東経141度29.0分 / 北緯35.9283度 東経141.4833度 / 35.9283; 141.4833で発生した地震。震源の深さは36km、地震の規模はM 7.1。約3時間後の同日05時15分に北緯35度44.1分 東経141度14.8分 / 北緯35.7350度 東経141.2467度 / 35.7350; 141.2467でM 6.8、最大震度5の余震が発生。

本震の各地の震度(震度4以上を観測した市町村)
震度 都道府県 市区町村
4 千葉県 海上郡銚子町

1924年茨城県沖地震[編集]

1924年(大正13年)8月15日03時02分頃に北緯36度24.5分 東経141度23.9分 / 北緯36.4083度 東経141.3983度 / 36.4083; 141.3983で発生した地震。地震の規模はM 7.2。本震の約9分前(02時53分)にM 5.6の前震が発生していた。本震から約5時間後の同日08時27分にM 6.8、10日後の8月25日にM 6.7の余震が発生。

本震の各地の震度(震度4以上を観測した市町村)
震度 都道府県 市区町村
5 福島県 石城郡平町
4 福島県 福島市

1943年茨城県沖地震[編集]

1943年(昭和18年)4月11日23時46分頃に北緯36度14.6分 東経141度25.7分 / 北緯36.2433度 東経141.4283度 / 36.2433; 141.4283で発生した地震。震源の深さは約9km。地震の規模はM 6.7。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)
震度 都道府県 市区町村
4 福島県 福島市 平市
茨城県 新治郡石岡町 筑波山測候所

1961年茨城県沖地震[編集]

1961年(昭和36年)1月16日16時20分頃に北緯36度7.9分 東経141度46.5分 / 北緯36.1317度 東経141.7750度 / 36.1317; 141.7750で発生した地震。震源の深さは約48km。地震の規模はM 6.8。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)
震度 都道府県 市区町村
4 茨城県 石岡市 館野観測所
千葉県 銚子市

18日20時19分頃にM 6.4、21時12分頃にM 6.5。19日0時41分頃にM 6.5と規模の大きな地震が続発した。この地震で2つのアスペリティのうち東側が破壊されたとみられる[2]

1965年茨城県沖地震[編集]

1965年(昭和40年)9月18日1時21分頃に北緯36度19.0分 東経141度28.0分 / 北緯36.3167度 東経141.4667度 / 36.3167; 141.4667で発生した地震。震源の深さは約40km。地震の規模はM 6.7。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)
震度 都道府県 市区町村
4 福島県 福島市 郡山市 白河市 平市
茨城県 水戸市 石岡市
千葉県 銚子市

この地震で2つのアスペリティのうち西側が破壊されたとみられる[2]

1982年茨城県沖地震[編集]

1982年(昭和57年)7月23日23時23分頃に北緯36度11.0分 東経141度57.0分 / 北緯36.1833度 東経141.9500度 / 36.1833; 141.9500で発生した地震。震源の深さは約30km。地震の規模はM 7.0。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村) 
震度 都道府県 市区町村
4 福島県 福島市 郡山市 いわき市 
茨城県 水戸市 石岡市
千葉県 銚子市

2008年茨城県沖地震[編集]

茨城県沖地震(2008年)
茨城県沖地震の位置(日本内)
茨城県沖地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2008年5月8日
発生時刻 1時45分(JST
震央 日本の旗 日本 茨城県
北緯36度13.7分
東経141度36.5分(地図
震源の深さ 51km
規模    気象庁マグニチュード(Mj)7.0
最大震度    震度5弱:茨城県水戸市栃木県茂木町
津波 微弱[5]
地震の種類 海溝型地震[6]
被害
死傷者数 負傷者6人[5]
被害地域 日本の旗 日本
出典:特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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2008年(平成20年)5月8日木曜日1時45分に北緯36度13.7分、東経141度36.5分[6]で発生した地震。震源の深さ約51km[6]、地震の規模はマグニチュード(Mj)7.0、モーメントマグニチュード(Mw)6.9。茨城県水戸市栃木県茂木町で震度5弱を観測した[7][8]。また前震活動が活発で5月7日夕方頃からM 4~5の地震が発生し、直前の1時02分には、北緯36.23度・東経 141.95度でM 6.4、震源の深さ約60km、1時16分にはM 6.3、震源の深さ18kmの地震が発生している[9]。共に、プレート間地震。2つのアスペリティのうち前震で東側の領域、本震で西側の領域が破壊されたとみられる[2]

本震に対しては緊急地震速報が発表され、関東地方のほとんどと東北地方の一部が対象地域となった。しかし、発表までおよそ1分程度時間がかかったため、すでに警戒地域となった場所のほとんどで揺れを観測していたとみられている。

また、震度5弱を観測した栃木県茂木町の観測について、数百メートル程度離れたところにある別の観測機では震度3の揺れだったこと、周辺住民などから震度5弱の情報に対して疑問の声があったこと、また設置環境不備などにより当該観測点を移設することになった。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)[編集]

震度 都道府県 市区町村
5弱 茨城県 水戸市
栃木県 茂木町
4 宮城県 栗原市 登米市 美里町 大崎市 角田市 岩沼市 蔵王町 大河原町 丸森町 石巻市
福島県 福島市 郡山市 白河市 須賀川市 二本松市 国見町 田村市 いわき市 葛尾村 南相馬市 会津若松市 猪苗代町
茨城県 日立市 常陸太田市 高萩市 笠間市 ひたちなか市 茨城町 東海村 常陸大宮市 那珂市 小美玉市 土浦市 石岡市 下妻市 取手市 つくば市 鹿嶋市 潮来市 阿見町 河内町 坂東市 稲敷市 筑西市 かすみがうら市 神栖市 行方市 桜川市 鉾田市 常総市 つくばみらい市
栃木県 大田原市 那須町 小山市 二宮町 益子町 市貝町 高根沢町 下野市
埼玉県 大利根町 春日部市 宮代町
千葉県 銚子市 旭市 多古町 香取市 成田市 印西市 白井市 本埜村

東北・関東地方の広域で震度3以上を観測したほか、北海道から奈良県・大阪府・兵庫県までの広範囲で震度1以上を観測した。大阪管区気象台においても揺れが観測されている。

東北地方太平洋沖地震[編集]

2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震震源域には茨城県沖も含まれ、この地震による多数の余震が発生している。

その他の茨城県沖を震源とする地震[編集]

ここでは、茨城県沖を震源とするものの、地震の規模や震源域により茨城県沖地震に分類されない地震を扱う。

1938年[編集]

1938年5月23日午後4時18分頃、北緯36度20分 東経141度11分 / 北緯36.34度 東経141.19度 / 36.34; 141.19を震央として発生した地震。震源の深さは0km。地震の規模はマグニチュード(Mj)7.0、モーメントマグニチュード(Mw)は7.7。地震断層による最大すべり量は5.7mと大きく、震央位置も繰り返し地震よりも北側にあることから繰り返し発生する地震と扱っていない。福島県小名浜で83cmの津波を観測[2]

この地震を一連の塩屋崎沖地震の前駆活動としたり[10]、塩屋崎沖地震の一つとすることもある[11]

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)[編集]

震度 都道府県 市区町村
5 福島県 福島市 いわき市 猪苗代観測所
茨城県 水戸市 石岡市
4 岩手県 水沢観測所
茨城県 筑波山測候所
宮城県 仙台市
栃木県 日光市 足尾測候所 宇都宮市
群馬県 前橋市
埼玉県 熊谷市 秩父市
神奈川県 横浜市 横須賀観測所
山梨県 甲府市

2000年[編集]

2000年(平成12年)7月21日(金曜日)午前3時39分頃(北緯36.5度、東経141.1度)に発生した地震。震源の深さは約49km。地震の規模はマグニチュード 6.4。

各地の震度(震度4以上を観測した市町村)[編集]

震度 都道府県 市区町村
5弱 茨城県 水戸市 常陸太田市 高萩市 笠間市 御前山村
栃木県 市貝町
4 福島県 郡山市 白河市 棚倉町 いわき市
茨城県 日立市 北茨城市 ひたちなか市 茨城町 美野里町 内原町 常北町 桂村 岩瀬町 東海村 那珂町 瓜連町 大宮町 山方町 緒川村 金砂郷町 水府村 里美村 十王町 土浦市 つくば市 鉾田町 北浦町 江戸崎町 玉里村 八郷町 新治村 関城町 明野町 真壁町 協和町 石下町 三和町
栃木県 今市市 湯津上村 那須町 益子町 芳賀町 氏家町 高根沢町 南那須町 烏山町 小川町
埼玉県 加須市 大利根町 宮代町
千葉県 佐原市

また、防災科学技術研究所が設置した強震観測網によれば茂木町で震度5弱相当(計測震度4.9)の揺れを観測した[12]

2011年[編集]

茨城県沖地震(2011年)
茨城県沖地震の位置(日本内)
茨城県沖地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2011年3月11日
発生時刻 15時15分34秒(JST
震央 日本の旗 日本 茨城県
北緯36度6.5分
東経141度15.9分(地図
震源の深さ 43km
規模    モーメントマグニチュード(Mw)7.7
最大震度    震度6強:茨城県鉾田市
地震の種類 海溝型地震
被害
被害地域 日本の旗 日本
出典:特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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東北地方太平洋沖地震本震発生直後の2011年3月11日15時15分34秒頃には、茨城県沖を震源とする、気象庁マグニチュード(Mj)7.6、気象庁発表のモーメントマグニチュード(Mw)7.7、アメリカ地質調査所(USGS)発表のモーメントマグニチュード7.9[13]の地震があり、茨城県鉾田市で最大震度6強を観測するなど北海道から関西地方まで広い範囲で揺れが観測された。この地震は東北地方太平洋沖地震の最大余震であり[14]、メカニズムは西北西-東南東に圧力軸をもつ逆断層型でプレート境界型地震である。震源域は繰り返し地震のアスペリティより西側に位置し、すべり量が大きいことから繰り返し発生する地震とは扱っていない[2]。断層の大きさは70キロ四方、最大すべり量は4.9m[15]でおもなすべりは破壊開始点より沖合いの浅い場所で発生した。大きなすべりが起きた場所は本震のすべり域の縁辺部にある[16]。はっきりとした津波の観測記録は分からないが、震源位置や深さ、地震の規模、メカニズム等から津波が発生したと考えられ、本震による津波の後続波に影響を与えたとみられる[17]

各地の震度(震度5弱以上を観測した市町村)[編集]

各地の震度は次の通り。

震度 都道府県 震度観測点
6強 茨城県 鉾田市
6弱 茨城県 神栖市
5強 茨城県 水戸市 日立市 常陸太田市 笠間市 茨城町 東海村 那珂市 城里町 小美玉市 土浦市 取手市 鹿嶋市 潮来市 稲敷市 筑西市 行方市 つくばみらい市
栃木県 真岡市
千葉県 銚子市 東金市 旭市 多古町 匝瑳市 香取市 成田市
5弱 茨城県 高萩市 笠間市 ひたちなか市 大洗町 常陸大宮市 古河市 石岡市 結城市 龍ケ崎市 下妻市 取手市 牛久市 つくば市 美浦村 阿見町 河内町 八千代町 守谷市 利根町 坂東市 筑西市 かすみがうら市 桜川市 常総市
栃木県 大田原市 那須町 小山市 真岡市 茂木町 市貝町 芳賀町 高根沢町 那須烏山市 下野市
千葉県 神崎町 東庄町 大網白里町 九十九里町 芝山町 一宮町 長生村 白子町 香取市 横芝光町 山武市 千葉市中央区 千葉市若葉区 成田市 佐倉市 市原市 浦安市 八街市 印西市 栄町 富里市 いすみ市
福島県 白河市 鏡石町
埼玉県 加須市 川口市 春日部市 草加市 八潮市 吉川市 宮代町
東京都 江戸川区
神奈川県 二宮町

脚注[編集]

  1. ^ 茨城県沖の地震の震源位置地震調査研究推進本部
  2. ^ a b c d e f g 三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)、地震調査研究推進本部
  3. ^ 茨城における地震水戸地方気象台
  4. ^ 今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧 (PDF)地震調査研究推進本部
  5. ^ a b 平成20年5月 地震・火山月報(防災編)気象庁
  6. ^ a b c 2008年5月8日01時45分頃の茨城県沖で発生した地震の震源要素の更新等について (PDF) 気象庁 平成20年5月8日発表
  7. ^ 茨城県沖で強い地震、水戸市などで震度5弱 出典:『ウィキニュース』(ベータ版)
  8. ^ 緊急地震速報利用者協議会
  9. ^ 5月8日茨城県沖地震の前震活動とその位置地震調査研究推進本部
  10. ^ 東北日本太平洋側における津波の波源地震 第2輯 Vol.27 (1974) No.4 P.321-337 331頁, JOI:JST.Journalarchive/zisin1948/27.321
  11. ^ 1938年塩屋崎沖地震群の震源モデルの特性化と地震動評価日本建築学会構造系論文集 Vol.73 (2008) No.633 P.1951-1958
  12. ^ 防災科学技術研究所: “強震観測網”. 2014年3月16日閲覧。
  13. ^ Magnitude 7.9 - NEAR THE EAST COAST OF HONSHU, JAPAN USGS
  14. ^ 余震活動の領域内で発生したM6.5以上もしくは震度5弱以上を観測した地震(気象庁)
  15. ^ 3月11日茨城県沖の地震 - 近地強震波形による震源過程解析(暫定)-(気象庁)
  16. ^ 気象庁技術報告 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震調査報告 第1章 地震(気象庁)
  17. ^ 気象庁技術報告 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震調査報告 第2章 津波(気象庁)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]