花窗玻璃 シャガールの黙示

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
花窗玻璃(はなまどはり)
シャガールの黙示
著者 深水黎一郎
発行日 2009年9月7日
発行元 講談社
ジャンル 推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 新書判
ページ数 311
コード ISBN 978-4-06-182671-7
Portal.svg ウィキポータル 文学
[ Wikidata-logo-en.svg ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

花窗玻璃 シャガールの黙示』(はなまどはり シャガールのもくじ)は、深水黎一郎による日本推理小説

講談社ノベルスより書き下ろしで刊行され、第十回本格ミステリ大賞にノミネートされた。またその年の黄金の本格にも選出されている。

フランスランスにあるランス大聖堂を舞台としているが、登場人物の一人が書いたという設定の、作品の大部分を占める作中作は、東海散士黒岩涙香などの文体を髣髴とさせる、カタカナを一切使わない文体で書かれている。ちなみに花窗玻璃とはステンドグラスのこと。また紋中紋間テクスト性といった現代文学の技法なども使われ[1]、単なる推理小説の枠を越えた、技巧的・文学的にも価値の高い作品である。仕掛けの完成度の高さもさることながら、本作の事件を通じて“芸術探偵”へと成長していった少年の物語としても秀逸である[2]。2015年に河出文庫より文庫化される際に『花窗玻璃 天使たちの殺意』と改題された。

あらすじ[編集]

フランス・ランス大聖堂から男性が転落死した。地上81.5メートルにある塔は、出入りができない密室状態で、地元の警察は自殺と断定。だが半年後、また大聖堂で死体が発見される。2人の被害者の共通点は、死の直前に大聖堂の軸上祭室を飾る、シャガールの花窗玻璃を見ていたことなのだが……。

登場人物[編集]

神泉寺瞬一郎(しんせんじ しゅんいちろう)
芸術一家神泉寺家の末裔で、世界を股にかけるフリーター。作中作の記述者。
海埜(うんの)
瞬一郎の母方の伯父。警視庁捜査一課の警部補。
凱瑟琳(カトリーヌ)
ランスの学生寮の女管理人。寮生から母親のように慕われている。
高緹耶(ゴーチエ)
その前夫。ランス大聖堂の塔から墜落死した。その直前に大聖堂の後ろ陣で、シャガールのステンドグラスをじっと見つめていた。
安妮(アンヌ)
カトリーヌとゴーチエ氏の間の子供。
夏綠蒂(シャルロット)
次女。カトリーヌと2番目の夫の間の子供。
伊莎貝爾(イザベル)
寮に住む画学生。スペインからの留学生。日本製のバイクに乗っている。
克勞德(クロード)
寮に住む学生。気弱で黒縁眼鏡をかけている。
保羅(ポール)
寮に住む学生。コルシカ島出身。人の噂話が好きな冷笑家。
喬治(ジョルジュ)・洛蘭(ローラン)
ランス大学の歴史学の元教授。
讓(ジャン)
大聖堂の近くに屯している浮浪者。
奧古斯特(オーギュスト)
大聖堂の近くに屯している浮浪者。ゴーチエ氏が転落死した夜、大聖堂の上空に天使を見たと言い張る。後日シャガールのステンドグラスの前で、死体となって発見される。
馬汀(マルタン)
ランス警察の刑事

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 深水黎一郎「『オリエント急行の殺人』をめぐるエトセトラ」『ハヤカワミステリマガジン』2017年3月号 p.36
  2. ^ 宇田川拓也「新刊めったくたガイド」『本の雑誌』2009年11月号 p.41