自己肯定感

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自己肯定感(じここうていかん)とは、自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉であり[1]自尊心英語: self-esteem)、自己存在感、自己効力感英語: self-efficacy)、自尊感情などと類似概念であり同じ様な意味で用いられることがある[2][3]。現在、これらの言葉は多義的に用いられることが少なくなく、結果としてあらゆる肯定的な心理的要素を表現する包括的名称(umbrella term)となっているという指摘もある[4]

「自己肯定感」という言葉は1994年高垣忠一郎によって提唱された[5]。高垣は自身の子どもを対象にしたカウンセリングの体験から、当時、没個性化が生じていた子どもの状態を説明する用語として「自己肯定感」を用いている[5]

その後、日本の子どもの自己評価がアメリカ合衆国中華人民共和国大韓民国の子どもの自己評価に比べて有意に低いことが日本青少年研究所の調査報告などで指摘されるようになり、日本の教育現場において「自己肯定感」が注目されるようになった[5]

自己肯定感が提唱されてから年月が経ち人々に広まり多様な解釈がなされるようになった。「自己効力感」「自己有用感」「自己効用感」などが「自己肯定感」として語られる事があるが、このような語られ方をするだけでは不十分だと考える、と高垣は述べている[6]

教育再生実行会議による第十次提言では、「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」が掲げられている[7]

自己肯定感に関する批判[編集]

上記の通り、自己肯定感と自尊心は同じ様な意味合いで用いられる[3]ため、自己肯定感を論じる時には自尊心に関する批判や批判的研究が用いられることがある[4]

詳しい批判は自尊心 § 自尊心に関する批判を参照。

出典[編集]

  1. ^ 自己肯定感”. 実用日本語表現辞典(Weblio). 2019年1月25日閲覧。
  2. ^ 「自尊感情」? それとも、「自己有用感」 ? (PDF)”. 国立教育政策研究所 (2015年). 2019年1月25日閲覧。
  3. ^ a b 中間 玲子 (編著) 『自尊感情の心理学: 理解を深める「取扱説明書」』 金子書房 2016 ISBN 4760826564 p.117
  4. ^ a b 中間 玲子 (編著) 『自尊感情の心理学: 理解を深める「取扱説明書」』 金子書房 2016 ISBN 4760826564 p.ⅰ-ⅶ
  5. ^ a b c 吉森丹衣子「大学生の自己肯定感における対人関係の影響 (PDF) 」 『国際経営・文化研究/Cross-cultural business and cultural studies』21(1)、淑徳大学国際コミュニケーション学会、2016年12月1日、 179-188頁。
  6. ^ 高垣忠一郎 (2009年6月). “〔退職記念最終講義〕 私の心理臨床実践と「自己肯定感」” (PDF). 立命館産業社会論集 第45巻 (第1号). http://www.dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8732247_po_03-02.pdf?contentNo=1&alternativeNo=. 
  7. ^ 竹内健太. “子供たちの自己肯定感を育む― 教育再生実行会議第十次提言を受けて ― (PDF)”. 参議院常任委員会調査室・特別調査室. 2019年1月29日閲覧。

参考文献[編集]

  • ロイ・バウマイスター (著), ジョン・ティアニー  (著), 渡会圭子 (翻訳) 『WILLPOWER 意志力の科学』インターシフト 2013 ISBN 4772695354
  • 中間 玲子 (編著) 『自尊感情の心理学: 理解を深める「取扱説明書」』 金子書房 2016 ISBN 4760826564

関連項目[編集]