脇谷洗堰
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脇谷洗堰(わきやあらいぜき)は宮城県石巻市にある洗堰であり、北上川と旧北上川を分流する施設である。1916年に着工し、1917年に竣功した。オリフィスを用いた分流施設であることから歴史的・文化的に価値が高く、2004年に土木学会選奨土木遺産に認定された。
歴史[編集]
北上川流域は昔から農業や物資の運搬などに北上川を利用してきた。しかし一方で洪水の度に甚大な被害が出た。下流の旧北上川流域では1600年以降113回の洪水が発生している。北上川流域の洪水被害は、堤防が破壊され被害が拡大する、本川の洪水が支川に逆流し氾濫する、洪水後すぐには減水せず農作物が採れなくなる、など深刻であった。明治時代にも大規模な洪水が発生し、1910年(明治43年)の二度の大洪水を受けて政府は北上川下流の改修工事に乗り出した。柳津から飯野川間12kmを開削し洪水時には新旧二つの河川に分流するように工事は行われた。この北上川第一期改修工事(1911年~1934年)において新たに開掘されたのが現在の北上川本川である。同時に、北上川本川と旧北上川に計画的に分水するための施設として鴇波洗堰とともに建設された。1947年のカスリン台風、1948年のアイオン台風の被害の後には旧北上川への分水量を調節するため脇谷水門も併設された。
構造[編集]
脇谷洗堰の構造は、オリフィス(洗堰の穴から水を流す構造)をもつ固定堰で、幅2.35m、高さ1.65m、長さ9.0m、6門で構成されている。生態系に影響を与えないように、右岸側に魚道がある。平常時には、堰の下を通って、旧北上川に水を支給する。また、洪水時には、堰の上だけを通って流水させることで、旧北上川の流量・水位が軽減され、支川への逆流も緩和される。これらによって、平常時・洪水時に一定量になるように、流水を旧北上川と北上川に分派させている。
- 脇谷閘門
脇谷閘門とは、水位差のある北上川本川と旧北上川間の船の通行のために、脇谷洗堰に併設された施設である。1925年7月に着工され、1931年12月に竣功した。閘室はコンクリート製であり、規模は(上流側幅7.9m、高さ(4.8m+4.8m)、下流側幅7.9m、高さ(4.1m+4.1m))、ゲート間60.0m であり、上下それぞれに2段式ローラーゲートが備えられ、水位調節を行っている。
所在地[編集]
関連項目[編集]
座標: 北緯38度36分6.6秒 東経141度17分26.5秒 / 北緯38.601833度 東経141.290694度