耳石
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耳石(じせき)は、脊椎動物の内耳にある炭酸カルシウムの結晶からなる組織である。いわゆる平衡胞に含まれ、平衡感覚と聴覚に関与する。耳砂、聴石、平衡石、平衡砂などとよばれる[1]。ヒトのものは聴砂とも呼ばれる。
卵形嚢で水平方向、球形嚢で垂直方向に、耳石を含んで並んだ平衡砂膜(耳石膜)がある。それぞれ水平・垂直方向を検知する[2]。
魚類のものが有名で、特にイシモチの名はこれにちなむものである。多くの魚類は耳石によって属や種を同定することができるようになっている[3]。
剥離したものの粉が三半規管に侵入することで、良性発作性頭位めまい症の一因となる。
用語
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研究
[編集]年齢推定
[編集]その断面は木の年輪のような同心円状の輪紋構造がみられ、1日に1本が形成される。これを日輪(にちりん)と呼び、年齢推定を日単位で行うことができる。
2006年には耳石による年齢推定法により、ニホンウナギの産卵場所の特定などにも活用されている。
生態推定
[編集]魚を摂食する動物の糞や消化器内容物からも見つかるため、どのような生物をどの程度食しているか判別できる。また、耳石の大きさは魚の体長と体重にも比例するため、成長速度、移動する範囲や餌の量など多彩な研究に用いられる[5]。
耳石は化石としても発見されるため、古代の生息環境や種類などの推定にも活用される[6]。
耳石温度標識法
[編集]耳石温度標識法とは、孵化前の魚卵の温度を急激に変更することで特徴的なリンクを付けられ、放流した魚かどうか見分けられるようにする方法である[7]。
関連会合
[編集]- 国際耳石シンポジウム(International Otolith Symposium) ‐ 4年に一度開催している耳石の研究を発表しあう会合。
出典
[編集]- ^ 「平衡石」 。
- ^ 有賀誠司、伊藤洋右、水嶋章陽『完全版 人体の全解剖図鑑』p340
- ^ 飯塚, 景記; 片山, 知史 (2008-12). “日本産硬骨魚類の耳石の外部形態に関する研究”. 水産総合研究センター研究報告 (25): 1–222. ISSN 1346-9894 .
- ^ Schwarzhans, Werner; Carnevale, Giorgio (19 March 2021). “The rise to dominance of lanternfishes (Teleostei: Myctophidae) in the oceanic ecosystems: a paleontological perspective”. Paleobiology (Cambridge University Press (CUP)) 47 (3): 446–463. Bibcode: 2021Pbio...47..446S. doi:10.1017/pab.2021.2. ISSN 0094-8373.
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- ^ Arim, Matías; Naya, Daniel E (2003-01-01). “Pinniped diets inferred from scats: analysis of biases in prey occurrence” (英語). Canadian Journal of Zoology 81 (1): 67–73. doi:10.1139/z02-221. ISSN 0008-4301 .
- ^ “小さいからこそ価値がある!極小の化石たちが明らかにする大昔の地球の姿。最新の研究を取材した”. 47NEWS. 2025年4月19日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “漁獲激減のサケ 繁殖に新事実|NHK”. NHK NEWS WEB. 2025年4月19日閲覧。