美少女ゲームの臨界点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

美少女ゲームの臨界点』(びしょうじょゲームのりんかいてん)は東浩紀が責任編集を務めたビジュアルノベル評論誌。

2004年夏と冬のコミックマーケットで販売された同人誌だが、2003年12月から2005年1月にかけて配信されたメールマガジン「波状言論」の増刊号として刊行された。ISBNが付記され、一部の一般書店でも販売されていた。

AIR』『CLANNAD』(Key)を中心に、美少女ゲームの物語性に着目した批評や座談会で構成されているが、論調などは美少女ゲーム情報誌『Colorful PUREGIRL』の影響を強く受けており、同時発売の『はかぎくす!!』はその休刊を大きく取り上げていた。

一方で、KeyやLeafの「セカイ系」とも呼ばれていたシナリオ重視型作品を極端に贔屓し、それ以前の美少女ゲームの代表的作品をほとんど無視していることや、「新伝綺」のキャッチフレーズで『ファウスト』の主力となりつつあったTYPE-MOONを批判していたことから、「葉鍵史観」と強く批判された。そのため、『美少女ゲームの臨界点+1』ではニトロプラスから虚淵玄でじたろう鋼屋ジンを加え、論の補強を図っている。

座談会の一部は、講談社BOXから刊行された『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』に再録されている。

執筆陣のうち、夜ノ杜零司と夜ノ杜双成は変名での参加となっている。編集には当時の「波状言論」スタッフであった佐藤心前島賢、丹羽洋介などが参加していた。

刊行リスト[編集]

  • hajou books 1 波状言論臨時増刊号『美少女ゲームの臨界点 HAJOU HAKAGIX』
  • hajou books 1.1 『はかぎくす!!』
    • 波状言論(東浩紀個人事務所)、2004年8月 - 同人誌(コピー誌)、『美少女ゲームの臨界点』と同時発売
    • 東浩紀、加野瀬未友、佐藤心、更科修一郎、丹羽洋介、夜ノ杜双成
    • 小説 東浩紀「デスイラストーリー 萌えと愛と脳内と(Death編)」
    • 小説 夜ノ杜双成(よのもり ふたなり)「夜ノ杜サーガ ラヴレター・フロム・チェーンソー・マン(圧縮版)」
  • hajou books 2 『美少女ゲームの臨界点+1』

関連項目[編集]

  • 新現実 - 文芸誌・批評誌。『美少女ゲームの臨界点』は、東浩紀が『新現実』を自由に編集できたとしたら行ったはずの企画を実現したような本であるとのこと(『美少女ゲームの臨界点』裏表紙参照)
  • ファウスト (文芸誌)
  • Colorful PUREGIRL

外部リンク[編集]