緊急災害対策派遣隊

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九州北部豪雨の被災地にて緊急災害対策派遣隊を激励する国土交通大臣石井啓一(左手前)(2017年7月9日

緊急災害対策派遣隊(きんきゅうさいがいたいさくはけんたい、英称:Technical Emergency Control Force)は、地震水害土砂災害等の大規模自然災害に対応するため、被災自治体等が行う被災状況の迅速な把握、被害の発生及び拡大の防止、被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施するために国土交通省に設置されたものである。英称の略でもあるTEC-FORCE(テック・フォース)で呼ばれることが多い。

発足の経緯[編集]

災害復旧は、施設を管理する各自治体が災害が発生する都度、体制をとって対応してきたが、被害が起こる前の事前準備という側面で見ると、特に大規模な災害が発生した地域においては人的にも技術的にも十分な事前の準備ができていたとは言えなかった。そこで、今後増大するであろう自然災害への対応の迅速化と充実を目指し、事前に隊員を指名し研修を実施するとともに必要な資機材の準備を行い、地方公共団体の支援を実施する目的で創設された。

  • 2012年(平成24年)5月29日に東日本大震災における問題点を解消し、今後発生が想定される首都直下地震東海・東南海・南海地震等の大規模災害時において、全国からのTEC-FORCEの迅速な派遣や、派遣隊の組織を超えた被災地での統合的な運用などが可能となるよう「緊急災害対策派遣隊の設置に関する訓令」を定めた。大臣の指揮監督のもと、被災地での指揮監督権を現地の地方整備局長等に集約するなど指揮命令系統の明確化を図るとともに、TEC-FORCEを専門的に担当する事務局を設置して具体的な活動計画の策定や隊の管理・運営を行うこととした。 [1]

概要[編集]

国土交通省本省、国土技術政策総合研究所国土地理院地方支分部局地方整備局地方運輸局地方航空局)、気象庁に設置される。

具体的な任務は「被災状況の迅速な把握」「被害の発生及び拡大の防止」「被災地の早期復旧」であり、「先遣班」「現地支援班」「情報通信班」「高度技術指導班」「被災状況調査班」「応急対策班」(以上、国土技術政策総合研究所・地方整備局が担当)「輸送支援班」(地方運輸局が担当)「地理情報支援班」(国土地理院が担当)「気象・地象情報提供班」(気象庁が担当)で構成される。

災害対策用機械[編集]

先遣班

先遣班が使用するものに各地方整備局が所有する災害対策用ヘリコプターがある。

  • 「みちのく」(ユーロコプターAS332L2) - 東北地方整備局
  • 「ほくりく号」(ベル412EP) - 北陸地方整備局
  • 「あおぞら」(ベル214ST) - 関東地方整備局
  • 「まんなか」(ベル412EP) - 中部地方整備局
  • 「きんき」(ベル412EP) - 近畿地方整備局
  • 「愛らんど号」(ベル412EP) - 四国地方整備局、
  • 「はるかぜ」(ベル412EP - 九州地方整備局
情報通信班
衛星通信車
  • 衛星通信車 - 災害現場における通信手段の確保や情報収集を行う。
  • 衛星小型画像転送装置 - Ku-SATとも呼び、可搬型で災害現場に搬入し、カメラ(ビデオカメラ等)で撮影した画像を通信衛星JCSAT)を利用して画像伝送する。なお、リアルタイムの動画像伝送が可能。 
応急対策班
  • 排水ポンプ車
  • 遠隔バックホー
  • 照明車
  • 土のう造成機
  • 橋梁点検車
  • 対策本部車-災害現場で打合せ等に使用する。
  • 大型土のう袋詰機(九州地方整備局)[2]
  • 遠隔ラフテレーンクレーン(北陸地方整備局)

国内派遣活動[編集]

  • 2008年6月:岩手・宮城内陸地震被災地に先遣班、高度技術指導班、土砂災害危険箇所点検緊急支援チーム、応急対策班(照明車、遠隔バックホウ、排水ポンプ車を配備)、情報通信班(衛星通信車、Ku-SATを配備)を派遣。派遣された人数は、437人、機械37台であった。
  • 2009年7月:平成21年7月中国・九州北部豪雨に本省2人、中国地整42人、中部・近畿・四国地整15人派遣。排水ポンプ車5台、照明車7台等を山口県防府市等に派遣[3]
  • 2009年8月:平成21年台風第9号の被害に近畿地方整備局は8人派遣。衛星通信車1台、照明車5台等を兵庫県佐用郡佐用町等に派遣[4]
  • 2010年7月:梅雨末期の豪雨の被害に対して広島県庄原市に17日より国土技術政策総合研究所2人、河川局4人、中国地整6人、土木研究所2人を派遣。
  • 2010年9月:平成22年台風第9号の大雨に中部地方整備局は、静岡県駿東郡小山町からの依頼により、9月10日から10名を派遣。[5]
  • 2010年10月:鹿児島県奄美大島における奄美豪雨 (2010年) 被害に対して、21日より九州地整、26日より本省高度技術支援班を派遣。照明車、衛星通信車、防災ヘリはるかぜ、愛らんどを派遣。
亘理町での排水作業状況
  • 2011年3月:東北地方太平洋沖地震被災地に12日に災害対策ヘリコプター7機、先遣班、被災状況調査班、高度技術支援班等を派遣[6]。22日から全国各地方整備局のTEC-FORCEが市町村支援班として、12自治体の災害対策本部及び現地で活動。津波により多くの浸水地域が発生しており、行方不明者の捜索活動の支援及び早期復旧を図るべく排水ポンプ車により24時間体制で排水作業を実施。現在は石巻市、東松島市、亘理町、相馬市等に集中的に配置、排水作業を実施。
  • 2011年7月:平成23年7月新潟・福島豪雨の被害に対して本省、東北地整、北陸地整、関東地整、中部地整から延べ198人と排水ポンプ車43台、照明車44台、災害対策ヘリコプター4機を新潟県福島県に派遣。[7]
  • 2011年9月:平成23年台風12号の被害に対して三重県に5日より国土技術政策総合研究所1人、水管理・国土保全局1人、道路局1人、中部地整2人と排水ポンプ車30台、照明車17 台を派遣[8]。8日より現地踏査による被災状況調査を開始するため、被災状況調査班等を関東地方整備局、北陸地方整備局、中部地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、九州地方整備局より、計27班、105名を追加派遣[9]
  • 2012年7月:平成24年梅雨前線豪雨の被害に対して大分県竹田市の要請により13日より河川・道路施設の被害状況調査、復旧方針の技術的支援のため九州地方整備局より6名を派遣。また白川水系白川、菊池川水系合志川(国土交通省管理区間)および白川水系黒川(熊本県管理区間)で発生した堤防決壊等の被害状況についての調査、復旧方針の技術的支援や助言のため、熊本県熊本市等へ国土交通省水管理・国土保全局、国土技術政策総合研究所、九州地方整備局より9名を7月12~13日に派遣[10]
  • 2013年10月:平成25年台風第26号の被害に対して10月16日より二次災害の防止、砂防・道路施設の被害状況調査、復旧方針の技術的支援のため大島町に夜間における救助救命活動を支援する大型照明車5台、被災地の通信を確保するための衛星通信車等合計13台を派遣[14]
  • 2014年2月:2月14日から16日の平成26年豪雪に対し、関東・北陸地方整備局より埼玉県秩父市へ TEC-FORCE を延べ 35 人・日派遣し、県道210 号中津川三峯停車場線の除雪支援を実施、また、中部地方整備局より群馬県及び静岡県御殿場市へ TEC-FORCE を延べ 107 人・日派遣し、除雪支援を実施[15]
  • 2014年8月:8月8日に山口県岩国市で発生した土砂災害について、山口県の要請に基づき二次災害の防止のため現地調査に国土技術政策総合研究所より2名、中国地方整備局より4名を派遣[16]
  • 2014年8月:広島市で発生した土砂災害に対して8月20日より二次災害の防止や早期復旧のため14班57名を派遣[17]
  • 2014年8月:京都府福知山市で発生した8月16日から17日にかけての大雨による、冠水被害に対して近畿地方整備局は緊急災害対策派遣隊(TEC- FORCE)3班16名を8月18日に派遣[18]
  • 2014年9月:9月27日に発生した御嶽山の噴火の二次災害防止対策として、救助・下山支援及び被災状況把握、応急対策実施ため、9月27日~10月15日まで最大19名派遣[19]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 国土交通省緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の更なる体制強化を図ります (PDF) - 2012年5月29日国土交通省記者
  2. ^ 大型土のう袋詰機が中国地方へ出発します”. 国土交通省九州地方整備局. 2018年7月20日閲覧。
  3. ^ TEC-FORCE隊員による活動状況(7月30日現在)をお知らせします。 (PDF) - 2009年7月30日国土交通省中国地方整備局記者発表
  4. ^ {{{1}}} (PDF) - 2009年8月12日国土交通省近畿地方整備局記者発表
  5. ^ TEC-FORCEの派遣について(静岡県駿東郡小山町) (PDF) - 2010年9月9日国土交通省中部地方整備局記者発表
  6. ^ TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の派遣について (PDF) - 2011年3月12日国土交通省東北地方整備局記者発表
  7. ^ 平成23年7月新潟・福島豪雨の被害状況等について(第14報) (PDF) - 2011年8月22日国土交通省記者発表
  8. ^ 平成23年台風第12号に伴う三重県の大雨災害に対し、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を三重県(熊野市等)に派遣します (PDF) - 2011年9月4日国土交通省記者発表
  9. ^ 平成23年台風12号に伴う大雨災害に対し全国の地方整備局から緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を奈良県、和歌山県、三重県に派遣します (PDF) - 2011年9月8日国土交通省記者発表
  10. ^ 平成24年7月11日から続く梅雨前線による大雨の被害状況等について(第7報) (PDF) - 2012年7月11日国土交通省記者発表
  11. ^ 平成24年7月17日からの大雨による被害状況について(第14報) (PDF) - 2013年8月3日国土交通省記者発表
  12. ^ 台風18号災害の自治体への支援状況について 近畿TEC-FORCE活動通信(台風第18号)第2号 (PDF) - 2013年9月20日国土交通省近畿地方整備局記者発表
  13. ^ 台風18号災害の自治体への支援状況について 近畿TEC-FORCE活動通信(台風第18号)第8号 (PDF) - 2013年9月26日国土交通省近畿地方整備局記者発表
  14. ^ 台風26号に対する国土交通省の対応 TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の広域派遣による被災自治体支援(第2報)”. 国土交通省関東地方整備局. 2014年6月8日閲覧。
  15. ^ 平成 26 年(2014 年)豪雪について 2 月14日から16日の大雪等の被害状況等について(26 報)”. 内閣府. 2015年3月8日閲覧。
  16. ^ 山口県岩国市で発生した土砂災害に対する現地調査の実施について”. 国土交通省中国地方整備局. 2014年8月31日閲覧。
  17. ^ TEC-FORCEの広域派遣による広島県広島市支援”. 国土交通省. 2014年8月31日閲覧。
  18. ^ 緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を福知山市に派遣します”. 近畿地方整備局. 2016年9月25日閲覧。
  19. ^ 御嶽山の噴火状況等について”. 内閣府. 2015年3月8日閲覧。
  20. ^ 長野県北部を震源とする地震の被害状況等について平成26年12月1日”. 内閣府. 2015年3月15日閲覧。
  21. ^ 平成27年9月関東・東北豪雨による被害状況等について(平成28年2月19日)”. 内閣府. 2016年9月4日閲覧。
  22. ^ 熊本地方の地震に関する九州地方整備局の活動状況(1)”. 国土交通省九州地方整備局. 2016年4月15日閲覧。
  23. ^ 熊本県熊本地方を震源とする地震について(第18報)”. 国土交通省. 2016年4月24日閲覧。
  24. ^ 台風第10号による被害状況等について(第7報)”. 国土交通省. 2016年9月3日閲覧。
  25. ^ 中国地方整備局からTEC-FORCEを追加派遣します~鳥取県中部で発生した地震への対応(第7報)~”. 国土交通省中国地方整備局. 2017年8月9日閲覧。
  26. ^ 平成28年10月鳥取県中部地震の体制及び災害状況等 平成28年10月28日10:00現在”. 国土交通省中国地方整備局. 2017年8月9日閲覧。
  27. ^ 6月30日からの梅雨前線に伴う大雨及び台風第3号による被害状況等について(第10報)”. 国土交通省. 2017年8月9日閲覧。
  28. ^ 筑後川水系花月川の被災状況把握のためドローンによる調査を実施”. 国土交通省九州地方整備局. 2017年8月9日閲覧。
  29. ^ 国道211号の道路啓開作業の見通しについて~今後1週間を目途に緊急車両の通行を目指します~”. 国土交通省九州地方整備局. 2017年8月9日閲覧。
  30. ^ 国道211号の道路啓開作業の完了について”. 国土交通省九州地方整備局. 2017年8月9日閲覧。
  31. ^ 国土交通省TEC-FORCEの活動状況(H30.7.9)【広島県】”. 国土交通省中国地方整備局. 2018年7月13日閲覧。
  32. ^ 全国のTEC-FORCEが岡山県内の被災地に向け出発しました”. 国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所. 2018年7月23日閲覧。
  33. ^ 前線の影響による降雨による災害支援のため緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)が出発します”. 国土交通省四国地方整備局. 2018年7月13日閲覧。
  34. ^ TEC-FORCE をさらに追加派遣~被災状況の調査を加速化し、迅速な復旧・復興を支援~”. 国土交通省. 2018年7月20日閲覧。
  35. ^ 海洋環境整備船「おんど2000」「クリーンはりま」による漂流物の回収”. 国土交通省中国地方整備局. 2018年7月23日閲覧。
  36. ^ 平成30年7月豪雨に伴う瀬戸内海の漂流物 海洋環境整備船による漂流物の回収状況”. 国土交通省四国地方整備局. 2018年7月23日閲覧。

外部リンク[編集]