絡新婦の理

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絡新婦の理
ジャンル ミステリー伝奇
小説:絡新婦の理
著者 京極夏彦
出版社 講談社
レーベル 講談社ノベルス
発売日 1996年11月
漫画
原作・原案など 京極夏彦
作画 志水アキ
出版社 講談社
掲載誌 マガジンSPECIAL
レーベル 講談社コミックス
発表号 2015年No.6 - 2017年No.2
巻数 全4巻
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絡新婦の理』(じょろうぐものことわり)は、京極夏彦の長編推理小説妖怪小説。百鬼夜行シリーズ第五弾である。

書誌情報[編集]

あらすじ[編集]

刑事・木場修太郎は、近頃世間を騒がせている「目潰し魔」の捜査に奔走する内、榎木津との共通の友人で映画会社を経営する川島新造が何らかの手がかりを持っているのではないかと踏む。しかし、彼は「蜘蛛に訊け」との謎言葉を残して行方をくらませる。

聖(セント)ベルナール女学院の生徒・呉美由紀と渡辺小夜子は、学院内に飛び交う噂話を追っていたが、望めば人殺しさえ行う悪魔「蜘蛛」とそれを崇拝する「蜘蛛の僕」の存在を知る。教師・本田幸三から酷い仕打ちを受けていた小夜子は半ば勢いに任せ、「本田を殺してくれ」と「蜘蛛」へ叫ぶ。そんな時、美由紀らは嘗て「蜘蛛の僕」の一員であったらしい麻田夕子と接触するが、3人ともに窮地に陥っていく。

伊佐間一成は、釣りに訪れた房総半島興津町で呉仁吉という老人と意気投合する。漁師であった彼の「収集物」の価値を精算すべく伊佐間は、旧知の間柄である今川雅澄を招請する。折りしも近在の旧家・織作家の大黒柱、雄之助の葬儀の最中であり、織作家の使用人である出門耕作から「ついでに、残った骨董品の精算もして貰いたい」と請われ、今川と伊佐間は連れ立って「蜘蛛の巣屋敷」と渾名される織作の屋敷へと赴く。そこで彼らは織作家の事件に巻き込まれることになってしまう。

目潰し魔と絞殺魔、二つの事件を裏で操り、完全犯罪を目論む「蜘蛛」とは果たして何者なのか。拝み屋・中禅寺秋彦は自ら蜘蛛の手中へと踏み込み、織作家に憑いた闇を落とす。

登場人物[編集]

主要登場人物[編集]

中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)
安倍晴明の流れを汲む陰陽師にして拝み屋であり、古本屋を営む。屋号である「京極堂(きょうごくどう)」があだ名となっている。非常に博学な人物である。
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
「薔薇十字探偵社」の破天荒な私立探偵。中禅寺と関口の旧制高等学校の一期先輩。特殊な能力を持っている。
中禅寺敦子(ちゅうぜんじ あつこ)
京極堂の妹で新聞記者。
今川雅澄(いまがわ まさすみ)
伊佐間の依頼で呉老人の漂流物の鑑定にやってくる。
益田龍一(ますだ りゅういち)
刑事を辞め、榎木津の下へやってくる。
伊佐間一成(いさま かずなり)
釣りに訪れた房総半島で呉仁吉という老人に出会う。
木場修太郎(きば しゅうたろう)
青木文蔵(あおき ぶんぞう)
長門五十次(ながと いそじ)
木下圀治(きのした くにはる)
世間を騒がせている「目潰し魔」の捜査をしている。
関口巽(せきぐち たつみ)
小説家で鬱病を患っている。京極堂の友人(京極堂は知人と称す)。本作では事件に直接関わらず、ラストに登場。

聖ベルナール女学院[編集]

柴田勇治(しばた ゆうじ)
柴田家の養子で柴田財閥総帥。前は聖ベルナール女学院で理事長を務めていた。物腰柔らかな好青年だが、場の空気を読もうとしない無神経な面もある。美由紀の証言に益田と共に興味関心を示す。
呉美由紀(くれ みゆき)
2年生。水産会社社長令嬢。親友の渡辺小夜子の身を案じて行動するうち、学院内で起こった事件に巻き込まれてしまう。
渡辺小夜子(わたなべ さよこ)
2年生。網元の娘だが家が傾いている。本田幸三を酷く憎み、噂に聞いた呪いを掛けて殺したいと願う。
麻田夕子(あさだ ゆうこ)
2年生。代議士の娘。「蜘蛛の僕」のメンバーで、山本から売春行為を疑われていた。美由紀と小夜子に「蜘蛛の呪い」について語る。
坂本百合子(さかもとゆりこ)
1年生。聖ベルナール女学院に伝わるという、「黒い聖母の呪い」を美由紀と小夜子に教える。
本田幸三(ほんだ こうぞう)
聖ベルナール女学院の教師。学院内の男性教諭の中では最も若い。小夜子に不貞な関係を強要したことで彼女から怨みを買っていた。
海棠卓(かいとう すぐる)
柴田財閥の関係者で、勇治の腰巾着。露骨にずる賢く振舞おうとする割にそれ程利口ではなく、美由紀から売春組織の組員を聞き出そうとする。柴田家と学院の保身を第一に考える卑劣な男。

織作(おりさく)家[編集]

織作碧(おりさく みどり)
織作家の四女。聖ベルナール女学院2年生。信仰に厚く、天使のような風貌と振る舞いで、他の者の尊敬を集めている。
織作 雄之助(おりさく ゆうのすけ)
織作家の三代目当主で真佐子の婿。突然の病で亡くなったため、毒殺の噂も流れている。
織作真佐子(おりさく まさこ)
雄之助の妻で、紫・茜・葵・碧ら四姉妹の母親。いかなる時も毅然としている気丈な女性。
織作紫(おりさく ゆかり)
織作家の長女。生まれつき病弱で、物語開始時点で既に故人。
織作是亮(おりさく これあき)
茜の婿で聖ベルナール女学院の理事長。雄之助から目をかけられ、織作家の次期当主と目されていたが、実際は無能な人物で、今は一族中から冷ややかな目で見られている。現在は自暴自棄になり、茜に辛く当たっている。
織作茜(おりさく あかね)
織作家の次女。気が弱く、謙虚な姿勢を崩さない。夫である是亮の乱暴な態度と雑言に耐える貞淑な妻。
織作葵(おりさく あおい)
織作家の三女。女性の権利向上の為の活動をしており、発言は常に論理的で厳しいが、男尊女卑を匂わせる発言をした人間には高圧的な態度をとる。両親とは折り合いが悪い。
織作五百子(おりさく いおこ)
織作家の最古老にして四姉妹の曾祖母に当たる。高齢のためほぼ寝たきり状態。茜に世話されている。
出門耕作(でもん こうさく)
織作家に古くから仕える、朴訥で忠実な使用人。是亮の父親でもある。
奈美木セツ(なみき セツ)
織作家の若い家政婦。勤務歴は二年。そそっかしくお喋りな少女。会ったばかりの今川から「セッちゃん」と呼ばれる。織作家の内部事情に詳しい。
続編の『百器徒然袋――風』にも登場。

左門町婦女目潰し殺人事件関係者[編集]

矢野妙子(やの たえこ)
第一の被害者。平野が借りていた家の大家の娘。何かと平野を気に掛けていた。
川野弓栄(かわの ゆみえ)
第二の被害者。房総にあるクラブ「渚」のママ。売春組織とも繋がりがある。
山本純子(やまもと すみこ)
第三の被害者。聖ベルナール学院の教師で舎監。厳格で生徒から嫌われており、死してなお陰口を叩かれている。呪い殺されたと噂される。
前島 八千代(まえしま やちよ)
第四の被害者。呉服屋の女将。過去に売春をしていた。
前島貞輔(まえしま さだすけ)
前島八千代の夫。猜疑心が強く、臆病な小物。妻の浮気を疑い尾行していたところ、妻と並んで歩く大柄な男を目撃した。
多田マキ(ただ マキ)
前島八千代の遺体発見現場だった連込宿の女主人。したたかな老婆。入る者には無頓着だが、出て行く者には厳しい。鳥目。
高橋志摩子(たかはし しまこ)
第五の被害者。「紅蜘蛛」の異名をとる娼婦。元は素人娘だったが、米兵に暴行された事により離婚され、街娼になり今に至る。
平野祐吉(ひらの ゆうきち)
元彫金工。精神科医時代の降旗の最期の患者。仕事道具の鑿で次々と女性の目を潰す目潰し魔として指名手配されている。喜市の友人。「視線恐怖症」とされている。

その他[編集]

降旗弘(ふるはた ひろむ)
元精神科医。『狂骨の夢』で居候していた教会を出て、徳田里美の収入に頼って生活している。
かつて平野祐吉を視線恐怖症と診断している。
杉浦隆夫(すぎうら たかお)
元小学校教師。ふとした事がきっかけで子供が怖くなり、職を辞して引きこもるようになる。妻が家を出た後もそのまま暮らしていたが、失踪してしまう。
杉浦美江(すぎうら みえ)
杉浦隆夫の妻。旧姓は伊藤。葵の影響で女性拡権論者となった。腑抜けた夫に愛想がつき、別居中。離婚を考えるようになり、失踪中の夫を探すため薔薇十字探偵社を訪れる。
竹宮潤子(たけみや じゅんこ)
池袋にある場末の酒場「猫目洞(ねこめどう)」を営んでいる気風のいい女主人。通称「猫目のお潤」。京極堂たちの馴染みで、降旗曰く学歴が高いらしい。
川島新造(かわしま しんぞう)
木場修太郎の悪友。池袋で「騎兵隊映画社」という会社を興している。丸坊主に兵隊服、黒眼鏡と外見はかなりの強面。前島八千代が最後に会った人物とされ、殺害容疑が掛けられるが、他に目的があり逃亡する。
川島喜市(かわしま きいち)
平野祐吉の友人という男。名字が一緒ということで新造への容疑がさらに深まることになる。
呉仁吉(くれ にきち)
呉美由紀の祖父。息子夫婦と折り合いが悪く、今も房総の漁師小屋で一人で暮らしている。出門耕作の知り合い。
徳田里美(とくた さとみ)
元従軍看護婦。現在は娼婦。狭い長屋の路地を抜けた古いアパートに降旗と同棲している。
石田芳江(いしだ よしえ)
房総のとある小屋に住んでいた女性。売春行為を行っていたとされる。8年前に小屋の中で首を吊って死亡した。
中条高(なかじょう こう)
質屋の店主。根は臆病だが、普段は横柄な態度をとっている。

警察[編集]

津畠(つばた)
千葉県警の刑事。虎魚のような顔をした大男。高圧的な態度をとる。
磯部(いそべ)
千葉県警の刑事で、津畠の同僚。自身の境遇に不満を感じているらしく、常に愚痴をこぼしている。
加門(かもん)
四谷署の刑事。馬面の男。木場と共に目潰し魔事件の捜査にあたる。
七条(しちじょう)
四谷署の刑事。栄螺のような顔をしている。目潰し魔事件を担当しており、川島新造の行方を追う。

用語[編集]

左門町婦女目潰し殺人事件(さもんちょうふじょめつぶしさつじんじけん)
左門町で女性ばかりが狙われた連続殺人事件。被害者は全員両目を抉り取られていた。一連の事件から、平野祐吉が犯人として浮上する。
聖ベルナール女学院(せいべるなーるじょがくいん)
房総のとある山中にある基督教の女学院。柴田財閥によって建てられた私立学校。現在の理事長は織作是亮。
黒い聖母(くろいせいぼ)
学院の一区画に安置された真っ黒な聖母像。夜になると動くといわれる。
蜘蛛の僕(くものしもべ)
「呪いの儀式」を知った者を引き入れる、学生による謎の組織。
織作家(おりさくけ)
紡績業で一代の富を築き上げた財閥。柴田財閥に劣らぬ力を持っている。雄之助の代になり、柴田財閥と手を組んだ。女性が多く生まれるため、他所から婿養子をとっている。

漫画[編集]

志水アキにより漫画化され、「マガジンSPECIAL」で連載された。

書誌情報[編集]

関連項目[編集]