結月ゆかり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

結月 ゆかり(ゆづき ゆかり、Yuzuki Yukari)は、VOCALOMAKETSの企画によりAH-Software(株式会社AHS)が2011年12月22日に発売した音声合成用の音源、およびそのキャラクター。ヤマハが開発した歌唱用の音声合成技術「VOCALOID」を採用した「VOCALOID3 結月ゆかり」と、エーアイが開発した話し言葉用の音声合成技術「AITalk」を採用した「VOICEROID+ 結月ゆかり」の二種類の製品が発売されており、それぞれパソコン上で歌声、話声を合成することが出来る。

製品[編集]

結月ゆかりは、それまでの他の同種の製品と異なり、企業主導ではなく、VOCALOIDを用いた音楽作品を発表している音楽家(ボカロP)ら7人から成るクリエイターチーム「VOCALOMAKETS」(ボカロマケッツ、運営は株式会社BumpyFactory)の企画により生まれた製品である[1][2]。元々はボカロP同士の雑談が発端で、VOCALOMAKETS発起人の一人であるBumpyうるしが運営しているBumpyFactoryを通じてヤマハにVOCALOIDの企画を持ちかけたが、自分たちだけでの実現は困難であったことから、2009年11月に当時VOCALOID製品販売への参入を控えていたAHSをヤマハから紹介され、VOCALOMAKETSの監修のもと、AHSが開発、販売を担当し製品化されることとなった[3][1]。また、AHSは、VOCALOIDに加え、VOICEROIDシリーズとしてAITalkを使用した文字読み上げソフトの販売も行っており、VOCALOMAKETSはVOCALOIDとともにVOICEROIDも同じ声で発売することもAHSに持ちかけた[4]

開発に際しVOCALOMAKETSは、開発のための出資や、製品としての方向性の決定、音声担当者の選定、キャラクターデザインの依頼、VOCALOIDに同梱のexVOICEの収録の提案などを行った[1][5]。音声担当者の選定ではVOCALOMAKETSが候補者を用意しオーディションを行い、AHSからの技術的なアドバイスを踏まえて、声優の石黒千尋が選ばれた[6][5]。VOCALOIDとAITalkはシステムが異なり、どちらのシステムにも適した声の人も少ないため、VOCALOIDとVOICEROIDで同じ声を出すのは困難と見られていたが、石黒千尋の声はそのどちらにも適しており、さらに編集作業で調整を重ねることで、同じ音声が作成されるようにした初めてのVOCALOIDとVOICEROIDの同時発売が実現した[4]

「結月ゆかり」という名前の由来は「VOCALOIDに縁のある人達が音(月)を結ぶ(英語意訳:She unites you all with her voice.)」ということから来ており、「月」がキーワードとなっている[7][8]

VOCALOID3 結月ゆかり[編集]

「VOCALOID3 結月ゆかり」は、ヤマハの歌声合成技術、VOCALOIDに対応したボーカル音源で、パソコン上でメロディと歌詞を入力することで歌声を作成することができる。エンジンのバージョンはVOCALOID3。声質はしっとりと大人っぽい歌声で、音を延ばしたときの人間らしさや、息づかいの再現など生っぽい音づくりが重視されており[2]、「伸びやかな高音域が特徴で、1980年代から現在のアイドルポップスに加え、バラード、アニメソング、などさまざまな音楽ジャンルに対応する[1]」とされる。得意なテンポは60-120、得意な音域はD2〜F4。

結月ゆかりの声のブレス(息継ぎ)や各種のセリフ、エフェクトなど、作曲に使える音源が非圧縮Wave形式の音声素材集「exVOICE」が同梱されている[2]。「exVOICE」は発売後も追加音声の提供が行われている[2]

VOICEROID+ 結月ゆかり[編集]

VOICEROID+ 結月ゆかり
開発元 AH-Software
初版 2011年12月22日
対応OS Windows XPVista7
使用エンジン AITalk
種別 音声合成、入力文字読み上げ
公式サイト VOICEROID+ 結月ゆかり
テンプレートを表示

「VOICEROID+ 結月ゆかり」は、エーアイが開発したコーパスベース音声合成方式の音声合成技術「AITalk」を使用したソフトで、テキストを入力することで、話し言葉を作成することができる。

音楽製作においても、セリフを曲中に入れる場合、VOCALOIDは歌声を作成するためのシステムであるために、話し言葉を作成するには適していないが、結月ゆかりはVOCALOIDと同じ声のVOICEROIDにより、そうした曲の作成を容易にしている[9]。VOCALOIDと異なり、ライセンス上パッケージの購入だけでは音声の利用範囲が非営利目的に限定されているが、楽曲の一部としての利用に限り商用利用できる「楽曲用ライセンス」が2013年8月から販売されている[10]

なお、「VOICEROID+ 結月ゆかり」に収録されている音声は、AITalk開発元であるエーアイの製品にも使用されている。エーアイでは「すみれ」という名前がつけられており、キャラクターイラストも結月ゆかりとは異なるものが用いられている[11]

キャラクター[編集]

製品のキャラクターイラストはイラストレイターの文倉十が手がけた[1]。プロフィールは以下のように設定されている[7]

  • 誕生日(発売日):12月22日
  • 年齢:18歳
  • 身長:159cm
  • 体重:非公開

メディアミックス[編集]

主な音楽CD[編集]

「結月ゆかり」が曲に使用されていることが明記された主なCD。

タイトル アーティスト レーベル 発売日
POP★sTAR the VOCALOID オムニバス VOCALOID RECORDS 2012年12月19日
V Love 25 -Exclamation- オムニバス BinaryMixx Records 2013年1月9日
みんな幸せにな~れ! うたたP feat. 初音ミク、MAYU、結月ゆかり EXIT TUNES 2013年4月17日

KarenTによる配信[編集]

以下は、クリプトン・フューチャー・メディアのレーベル「KarenT」により、iTunes Storeなどで、「結月ゆかり」の名前が明記された楽曲や楽曲が収録されたアルバム。

タイトル アーティスト リリース日
〆 -Deadline Clean Tears 2012年8月22日
Delights! S TakeponG 2012年9月19日
弓月のアルナスル As'257G 2012年11月9日

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c d e 「AHSから前代未聞のVOCALOID3が登場。実力派ボカロPが企画プロデュースした結月ゆかりってどうスゴイ?」『ボカロ Plus vol.2』 徳間書店、2011年、14--17頁。ISBN 4197203438
  2. ^ a b c d “「Music Maker MX」と新ボカロ「結月ゆかり」が同時発売”. ASCII.jp (アスキー・メディアワークス). (2011年12月1日). http://ascii.jp/elem/000/000/653/653126/ 2011年12月17日閲覧。 
  3. ^ 「小林オニキスのボカロPですが何か!? 34」、『週刊アスキー』第872号、アスキー・メディアワークス、2012年3月、 124--125頁。
  4. ^ a b 「小林オニキスのボカロPですが何か!? 36」、『週刊アスキー』第874号、アスキー・メディアワークス、2012年4月、 168--169頁。
  5. ^ a b 「AHSから前代未聞のVOCALOID3が登場。実力派ボカロPが企画プロデュースした結月ゆかりってどうスゴイ?」『ボカロ Plus vol.9』 徳間書店、2013年、121--122頁。ISBN 978-4197203604
  6. ^ 「小林オニキスのボカロPですが何か!? 35」、『週刊アスキー』第873号、アスキー・メディアワークス、2012年3月、 122--123頁。
  7. ^ a b 『ボカロ Plus vol.4』 徳間書店、2012年、38-39頁。ISBN 978-4197203482
  8. ^ VOCALOMAKETS FAQ よくある質問 「結月ゆかりとは誰ですか?」”. 2013年1月6日閲覧。
  9. ^ 「新提案! ボカロ曲を作ってみよう」、『DTM magazine』第19巻第2号、寺島情報企画、2012年2月、 30頁。
  10. ^ “エーアイとAHS、音声合成ソフト「VOICEROID」楽曲用ライセンスを販売開始”. マイナビニュース (マイナビ). (2013年8月2日). http://news.mynavi.jp/news/2013/08/02/175/index.html 2013年8月9日閲覧。 
  11. ^ “音声合成AITalk(R)の話者に新たに女性2名が追加!2012年1月10日より提供開始”. ドリームニュース (グローバルインデックス). (2011年12月22日). http://www.dreamnews.jp/?action_press=1&pid=0000043878 2013年1月6日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]